when to cry
-chapter 2-
夏服になっても、の制服の着方は変わらなかった。
むしろ、夏は暑いからと言って、下に着ているキャミソールを学校で脱ぐことが多かった。
その度に、教員の江古田と生徒会の小田桐に注意をされている。
だが、彼女は相手にしていなかった。
それに対してどうしようもない特別課外活動部は、新しいペルソナ使いを探すことに集中することにした。
そして、ゆかりの懸命の調査をきっかけに、山岸風花という生徒がタルタロスに閉じ込められていることが分かった。
『今夜、山岸風花の救出作戦を行う』
生徒会室で作戦会議をしようとした美鶴だったが、は捉まらなかった。
仕方なく、彼女のケータイにメールを送信する。
すると、数秒で返事が来た。
『ごめん、今夜は仕事で行けない』
にもシャドウ討伐に集中してほしいところだが、山岸風花の救出は突然決まったことだ。
これも仕方ないことかもしれないと、美鶴はため息をついた。
「あの、はじめまして。山岸風花です」
6月13日の夜。
寮に帰ってきたは、初めて風花と対面した。
特に動じることも無く、は答えた。
「どーも。です」
そのままは上の階へ移動してしまい、風花は戸惑った。
自分は何か気分を害するような事をしただろうか、と。
落ち込みながらパソコンに触れていると、が再びロビーへ戻ってきた。
その手には、何か握っているようだ。
風花に近づいて、それを手渡した。
「ふーちゃんに似合いそうだから、あげる」
「え?」
手のひらを見ると、そこにはカーネーションをあしらったヘアピンが二つ。
風花がの顔を見上げると、彼女は微笑んでいた。
その笑みにつられて、風花も微笑む。
「ありがとうございます。大切にしますね」
「うん、ふーちゃんなら大事にしてくれると思う」
「ふーん。風花のあだ名は、『ふーちゃん』か」
その様子を聞いていた地獄耳の順平が、あだ名に関して指摘する。
それで風花は、初めてあだ名をつけられていた事に気付いた。
だが、本人は、そのあだ名を嫌がっているわけではなさそうだ。
「あ、そういえば、先輩は知ってますか?」
「でいいよ。知ってるって、何が?」
ヘアピンの効果か、すっかり打ち解けた風花はに話しかけた。
大型のシャドウが満月の夜に現れることに関して。
「そうなの?それじゃ、満月の日は仕事いれないようにしなきゃね」
とは言っても、まだシャドウと戦ったことも無いけど。
笑って告げた台詞に、ロビーにいたメンバーが全員、声を上げた。
「そういえば、そうだな。俺も見たことないぞ、が戦ってるのを」
「当たり前っスよ。何せ、リーダーのアイツがパーティに含んでないんスから」
「それ以前に、先輩のペルソナの能力って何なのか聞いてないよね」
今夜はタルタロスには行けそうに無いかもしれない。
皆がに目を向ける中、リーダーはのんびりしていた。
彼が彼女を討伐メンバーに選ばない理由はあった。
しかし、それは本人が秘密にして欲しいとの事だったので、何も口にしていないのだ。
「私の能力は聞いても面白くないよ。人の役に立たないし」
「役に立つかどうかは、実戦で見てみるしかないな」
美鶴の突然の提案に、が慌てて止める。
だが、他は乗り気でタルタロスに向かうことを決めた。
項垂れるにそっと彼が近寄る。
彼の気配に気付いたは顔を上げた。
「ああ、リーダー。やっぱ隠し通すのは無理だったみたい」
は自虐的に笑う。
彼はタルタロスへ行くのを止めさせると言ってくれたが、は断った。
「いいよ、ありがとう。別に大した秘密じゃないしね」
準備してくるわ、と頼りない足取りで部屋へ戻っていった彼女を彼は心配そうに見送った。
「さぁて、シャドウ♪シャドウ♪」
「ちょっとは静かにしてよね、順平」
「でもよ、かっこよくね?先輩の武器が拳銃って」
「そりゃまぁ・・・確かに?」
「二人とも、何をごちゃごちゃ喋ってる。早く行くぞ」
どうしてもの戦っている姿が見たいと言って、普段は四人編成のパーティが五人になっていた。
美鶴と風花は、一階で待機している。
タルタロスに入って、階段を捜し歩く。
運が良いのか、飛ばされるところは全て近くに階段があった。
そのため、シャドウと出くわす事もなく上へ上がっていく。
「また近くに階段があるな。今日はやけに運が良い」
早く番人タイプのシャドウと戦いたくて仕方がない明彦は、楽しそうに言う。
だが、順平とゆかりは残念そうだ。その傍らで彼は良かったね、とに告げる。
は微妙な気持ちで頷いた。
なにしろ、腹を括ってシャドウと戦ってやろうと力んだのに、戦闘がないのだ。
喜んでもいいのか分からない。
最後までシャドウを見る事もなく、番人が待つ階まで辿り着いた。
一旦転送機で下まで戻ろうと指揮をとる彼が言うと、の活躍を期待していた二人は渋々了承した。
その後、リーダーはに小声で下で待機しててもいいと気を遣ってくれた。
彼の優しさに胸を打たれ、は笑って答えた。
「じゃあ、お言葉に甘えようかな。あ、でもあの二人はどうしよう?」
が心配するのを放って、彼は順平とゆかりの元へ歩んだ。
そして、の実戦の相手がいきなり番人タイプではキツいだろうから、は連れて行かないことを伝える。
ブーイングは起こったが、そこに美鶴や明彦の賛同も加わり、は一階で待機することになった。
「結局、先輩のペルソナって、どんなのだろう」
「ゆかりッチ。俺、いい事思いついたんだけど」
「何よ?期待しないで聞いてあげる」
「ひでぇな。幾月さんなら、知ってるかと考えたのに」
「そっか!あの人なら、皆の能力を把握してるはずよね!」
「そうそう、だから今度聞いてみようぜ?」
「あんた、なかなか考えたわね」
何やら企む二人であったが、シャドウと戦う事に集中した為、すぐにその事を忘れてしまっていた。
-back stage-
管理:6月ってもう夏服だっけ?そして、結構、出てきた主人公(笑)
山岸:そこまで出すなら、台詞あたえてあげればいいのに。
管理:だから、あまり固定したくないんだよ、イメージを。
岳羽:どうして、それにこだわるわけ?
管理:ゲーム中でも選択肢があるだけで主人公喋らないじゃん。だから皆様のイメージ崩したくないの。
明彦:やけに考えた意見を言ってるが、この先もこの調子だと、正直辛くないか?
管理:辛いよ、そこが絵を描けるかどうかの違いで辛いよ。
伊織:漫画だったら、喋らなくても他に表現方法あるもんな。ま、がんばれよ。
2006.10.28
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