when to cry
-chapter2.5-



この間の礼だと言って、はバイト先にリーダーを連れてきた。
ファッションデザイナーの友人は、男用の服も作っているらしい。
その中で気に入ったものがあれば貰ってくれと、彼を呼んだのだ。

しかし、肝心の友人は、違う目的でそれを許可したようだ。

「へえ、格好良いじゃない。新しい彼氏」
「誤解を招く言い方をしないの。新しいって何よ、新しいって」

私が彼氏を現場に連れ込んだことなんて無いのに。
なにやらブツクサと言っているを放って、友人はリーダーの腕を引っ張った。

「ちょっと待ってよ、彼をどうする気?」
「一緒に新しいカタログのモデルになってもらう気」

嫌なら嫌だと言ってね、とはリーダーに言うが、彼は興味があるらしかった。





「なかなか、絵になってる。ね、リーダー?」
「うん」

撮られたばかりの写真を広げ、彼は楽しそうなと会話が弾んだ。
スタッフからの評判も良い。

だが、これはまだ序盤だったらしい。
カメラマンは、二人を現場に呼び戻した。

「次、撮るよー」
「あんなに撮ったのに?」
「あれぐらいの接触で終わるわけないでしょう!」

せいぜい、背中合わせや腕を組んだぐらい。
それでも照れくさかった彼は、その発言に驚かされた。

まだ冬服で助かったのかもしれない。
残念に思えたが、今の自分では恥に耐えられそうに無かった。

「ほら、君。動いちゃダメだよ」

カメラマンに注意され、無理です、と叫びそうになる思いを飲み込む。
彼はの下敷きにされた挙句、彼女の顔が近くにあるのだ。
額にキスをするかのように微笑むに対し、鉄の仮面をもたなければ、オッケーをもらえなかっただろう。

次に、二人は向き合って座った。
視線がおぼろげなの首筋に口を近づかせる。
冬服だというのに、その服は胸元がぽっかりと開いているものだ。
赤と黒の二色が、まるで彼を吸血鬼かのように魅せた。


他にも色々とポーズをとらされた後。
カメラマンが褒美としてワンショットだけ自由に撮らせてくれることになった。

「どんな写真、撮ろうか?」

モデルをすることに慣れてるからか、どんなことがあっても、は平然としている。
彼は、それがなんだか悔しかった。

それを悟ったのか、デザイナーが彼を手招きする。
耳元で提案されたものを採用することにした。




「これは、私の担当じゃないはずだけど?」

デザイナーが他にも手がけているという下着を身につけ、は顔を赤くしている。
騙された、とひたすら呟く彼女を見て、さすがにリーダーは可哀想に思えた。
しかし、スタッフ達は滅多に無い機会だと言わんばかりに楽しんでいる。

「それじゃ、そこに寝転がってね」

床がシーツで埋め尽くされている。
指示通り、覆いかぶさったリーダーの首に左腕を回すと、が小声で伝えた。

「リーダー。まさか、謀ったわけじゃないよね」

なんとも言えず、無言で返す。
その間にも指示が出され、彼は彼女の右肩に触れ、ブラジャーの紐を下ろした。
最後に、キスをするかしないか、微妙な距離を保って顔を近づけさせた。

「はい、オッケー!」

満足げに散るスタッフにより、彼も動こうとする。
それをが引き止めた。

「絶対に仕返ししてやるから」

鼻の頭をかする程度に唇を触れさせて、は彼の体の下から抜ける。
その笑みにやられた彼は、弱々しくその場に寝転んだ。


だが、最後の一枚と、今日の撮影でいらなくなった写真全てを持ち帰っていたことを彼女は知らなかった。










-back stage-

管理:番外編的な話を公開だったり。
岳羽:2話目にして、すごい接近じゃないの!
伊織:いいなぁ、羨ましいぜ・・・
管理:原作沿いだから、間に入れるのも微妙かと思って別区分です。
山岸:やっと公開できた、て感じなんだね。
桐条:話は私達との会話の可能性もあるんだろうな?
管理:もちろんであります。

2007.06.25

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