ハロウィンの夜
=後編=







 「はいはい!男子だけ、全員こっちに集合!」


さんに誘われたから仕方なく黒崎の家に来れば、王様の衣装を着た奴に呼ばれた。
黒崎達は何時もの事なのか、嫌がることもなく集まっていく。


 「おい、石田。お前もだ。」


睨むほどの事かは分からないが、仕方なく歩み寄った。
一体、何をしようとしているんだ?


 「石田。抜け駆けは止めようぜ。」


辿り着いたやいなや、意味不明な事を言われる。
抜け駆け?何に関して?


 「ケイゴ、ちゃんと説明しろ。」


黒崎が問いただせば、彼は黒崎を嘲笑った。


 「馬鹿だなぁ、お前達は。よく考えろ、石田がの衣装を作ったんだぞ。」


何か問題でもあるのだろうか。
茶渡君もついていけてないようだ。



 「要するに、ケイゴはさんのスリーサイズを聞きたいんでしょ。」



小島君の発言に、僕の眼鏡がずり下がる。
・・・なんだって?


 「その通り!特注ってことは、サイズも分かってるんだろ?さぁ、吐け!吐くんだ!」


肩を掴んで揺らされても、知らないものは知らない。
黒崎達が止めてくれるかと思ったけど、誰も止めに入らなかった。


 「ちょ、ちょっと待て。君たち、僕を助けようとは思わないのか?」

 「あ?なんで助けなきゃならねぇんだよ。」

 「僕たちも興味あるからね。」

 「皆・・・知りたい。」


おいおいおい。
茶渡君までも何を言ってるんだ?


逃げ場が無くて困っていると、さんが救いの手を差し伸べてくれた。


 「ちょっと、浅野。石田君を苛めない。」

 「苛めてないって!裏切り者にはそれ相応の罰を与えようとしてるだけだ!」

 「いや、意味分かんないから。」


騒ぎに気づいた井上さんと有沢さんも近寄ってきた。


 「そんな馬鹿放っておきなよ、。」

 「あ、そうだったね。」


浅野君に足を出そうとしていたさんは冷静になったのか、小島君から料理を受け取った。


 「ひでぇよ、有沢。てか、なんでは俺だけ名字で呼ぶわけ?」

 「水色がそう呼べって言ったから。」


別にいいじゃないか。僕なんて、まだ君付けなんだぞ。
それを口にしたかったけど、黙っておいた。
そんな事をすれば、僕の気持ちがばれてしまう。


 「あ、そういや石田君だけ呼び方違ったな。」


僕の心を察したのかどうかは分からないが、さんは口を開いた。
今が呼び名を変えてもらえるチャンスだ。


 「僕の事はうりゅ・・・」

 「別に構わねぇだろ、そのまんまでも。」


黒崎め。僕の邪魔をするな!
だけど、他の三人も彼の意見に賛成した。


 「そうそう、そのまんまの方が石田も馴染んでるだろうしさ!」

 「彼って優等生だから、君付けが様になってるよね。」

 「が気にすることじゃない。」


彼らに矢を構えたい気分を懸命に押さえ込み、代わりにさっきまで話していた事を彼女にばらした。


 「そうだ、さん。彼らが僕に君のスリーサイズを聞いてきたんだけど。」

 「・・・は?何で石田君に?」

 「石田、てめぇ!それでも友達か!」


・・・浅野君は本当に良い性格をしている。
有沢さんだけがこの状況を理解しているようで、彼を拳で黙らせた。


 「私、石田君にサイズ教えたことあった?」

 「僕の記憶が正しければ、普段着る服のサイズを聞いたことあるだけだな。」


それだけで服とは作れるものだ。
・・・まぁ、それでサイズの予想がつけれることもあるけど。


 「なんだ、期待して損しちゃった。」


小島君があっさりと答えを受け入れた。
他の二人も残念そうにしている。


とりあえずこの件は片付いたかと思えば、さんが身支度を始めていた。


 「もう帰るのか?」

 「一護と同じで、門限が厳しいんでね。」


時計を見てみれば、9時前。
門限でなくとも帰らなければならない時間帯だ。


 「なら、僕が送っていくよ。」


帰り道が一緒だからね、と微笑むとさんは微笑み返してくれた。


 「抜け駆け厳禁だろ!」


倒れていた浅野君が叫ぶと、再び有沢さんが殴り倒した。
それを見てか黒崎達は黙り込んだので、その隙にさんを連れて外へ出て行った。



 「だけど、何で私のスリーサイズを知りたいんだろ?」


まだ理由が分かっていないさんは頭を傾けた。
僕が思うに、そういう仕草にやられたのかもしれない。


 「ねぇ、石田君は私のスリーサイズ知りたい?」

 「聞かなくても大体、予想はつくかな。」


今の僕の格好に合わせて、パイプをくわえる素振りを見せた。
その言動からさんには僕が何も知らない事が伝わったようだ。


 「あはは!探偵さんには何もかもお見通し?」

 「一つだけ分からないんだけどね。」

 「なになに?」

 「この質問にさんがどう答えるかなんだけど。」


彼女の目を捉えて、伝えた。


 「Trick or treat?」

 「うーん。あげる物、何も持ってないなぁ。」

 「じゃあ、悪戯だ。」


さんの唇をすばやく奪えば、彼女は顔を赤くしたまま質問を返した。


 「何かあげたら、反応は変わってた?」

 「お礼にキスをしてたかな。」

 「・・・だったら、後でお菓子をあげなくちゃね。」



彼女は僕の手をとると、自分の家へと急いでいった。












-back stage-

管理:ま、間に合ったよ、ハロウィン・・・
雨竜:先に挨拶をしろ、挨拶を!
管理:ああ、そうでした。7800を踏んでくれたあいか様にお届けですのよ!
雨竜:彼女のおかげで、僕の作品が増えていくね。
管理:あははは。そうだねぇ・・・とりあえず、イベントネタをやってみて思ったよ。
雨竜:何を?
管理:リクで無い限り、絶対にイベントをネタにした作品は書くまいと。

2005.10.30