「で?何が分からねーんだ?」
これ、というばかりに課題を一護の前に差し出す私。
それをしばらく見つめた後、彼はこっちを見てきた。
「確かにお前じゃ、これ無理だろうな。」
あ、なんか今の台詞、微妙にむかつくんですけど。
なんで私じゃ無理なのかな。
「お前ってさ、言いたい事はストレートに言うだろ?」
「うん。」
「だから、分からねーんだよ。」
一護曰く、このお話は伝えたくても伝えられないもどかしさの気持ちでつまっているらしい。
そのもどかしさが嫌いな私には、理解できないんだって。
「失礼な。私にだって、もどかしい気持ちは分かるよ。」
一護に気持ちを伝えようにも伝えられない時と同じでしょ?
今、思わず口にしてしまいそうになってしまったが。
そんなことが出来る時点で、もどかしい気持ちは知らないのかもしれない。
案の定、一護は疑わしい目で私を見てくる。
「へぇ〜?例えば、何にもどかしい気持ちを抱いてんだよ?」
「私が一護に好きだって気持ち、いつ伝えようかな、とか。」
「・・・それ、スラッと言っちまえるお前は絶対に『もどかしさ』を知らねぇな。」
あぁ、本当だ。言ってしまった。
ま、いいや。言えなくて心の中がすっきりしなかったんだから。
「で?一護は私のこと、どう思う?」
上目遣いで聞いてみれば。
一護の顔は真っ赤で、言葉がでないようだ。
「真っ赤になってるだけじゃ、分からないよー。」
「ま、真っ赤になんかなってねー!」
「なってるから、言ってるのに。」
「う、うるせぇ・・・まさか宿題やってる時に告られるとは思わねぇだろ。」
「そう?そっかぁ。じゃあ、とりあえず今日はこれで。」
「へ?」
「課題、自分でなんとかするよ。ありがとね、一護。」
「は?」
「今日は帰って、ゆっくり返事を考えてよ。」
静かに考える場所欲しいだろうからさ、と加えると私は一護を強制的に部屋から追い出す。
そしてドアを閉めようとすると、一護の足が挟まって閉められなかった。
「勝手に帰すな!」
「だって、考える時間欲しいでしょ?」
「必要ない。」
「じゃあ、一護は私のこと、どう思ってる?」
今ここで答えられるっていうから、もう一度質問したのに。
相変わらず顔を手で覆って、恥かしそうにしている。
「答えられないんでしょ?」
「・・・勇気ってもんが必要なんだ。」
「ふーん。その勇気ってのはいつ出てくるの?」
「・・・今だ!」
突然叫んだかと思うと、一護は私の肩を掴み、
でも私の顔は見ないで床に向かって叫んだ。
「俺もお前のことが好きだ!」
「おぉ。そうか、そうか。なら両想いだね。」
あっさりと答えを受け止めた私が気にくわないのか、落ち込んだ目で見つめてくる。
「なに?」
「お前さ・・・一生『もどかしい』気持ちなんて分からねーだろうな。」
「いいんだよ、分からなくても。一護とは両想いでしょ?それで十分。」
ちょうど目の前にあるから、額にキスすると、
一護の顔がまた真っ赤になる。
「もしかして、初めてキスされた?」
「・・・お前、『恥じ』ってのも知った方がいいぜ。」
「あぁ。それが今の一護の状態?」
「・・・・・・」
自分の思うように、したいように行動する私の相手はなかなか疲れるようだ。
-back stage(あとがき)-
一「おい。なんで俺は苛められてるんだ?」
管「苛めてますか?からかわれてるだけっスよ。」
一「ゲタ帽子の口調も止めろ。てか、の名前すら呼んでねーし。」
管「呼びたい?呼びたいんスか?」
一「だから、その口調は」
管「はい、では様どーぞ!」
一「『俺だって、の事が・・・好きなんだよ。』」
管「良くできました♪」
一「(今のは強制的に言われた気もする)」
2005.08.20
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終わったから、寝室へ戻るわ