「全く、こんな問題も解けないのかい?」
ずれているわけでもないのに、眼鏡を中指でかけなおす。
分からないものは分からないんだから、仕方ないじゃない。
心の中では思っていても、絶対に口には出さない。
そうしたら『別に、僕は教えなくても構わないんだよ』とか偉そうに言うだろうから。
「。やる気あるの?」
「あります・・・かね?」
自信なさげに答えた私に雨竜は何も返事をしない。
「仕方ない。少し遊ぶか。」
そう言うなり雨竜は紙に問題を書き始めた。
x りゅ x
x = う
この問題は簡単そうだ。
xが『う』なんだから、問題のxに『う』を当てはめるだけ。
「『うりゅう』でしょ。」
「さすがに分かるか。」
「そこまでバカじゃありません。」
仕返しついでに自分の気持ちも一緒に伝えようと鉛筆を握った。
x + y = ?
x = さ・3 y = か・2
どうだ。我ながら、なかなか考えたと思う。
雨竜が悩んでるなんて、相当難しい問題出しちゃったかな。
「分かる?」
「ああ。」
あれ、分かっちゃいましたか。残念。
「だけど、。この『・』を使ったら、掛け算になるんだけど。」
「え、そうなの?」
「・・・そういうことだろうと思ったよ。もっと単純に作ればよかったのに。」
「と、とりあえず答え分かったんなら言ってよ!」
雨竜が呆れた気がするのは気のせいでないかもしれない。
問題が書いてある紙に答えである2文字を書いた。
『すき』
「これを言いたかったんだろう?」
「おー、正解。じゃあご褒美をあげましょう。」
自信ありげに答えられると、こっちが恥ずかしい気持ちになる。
照れ隠しのつもりで頬にキスをした。
雨竜は照れたのか、顔を合わそうとせずに紙に何か書く。
キス = 好き
「はこの公式を使うんだろうけど。」
かちゃ、と音がした方を見ると、唇に何かが重なった。
何が起こったのか分からない私の前には、眼鏡をはずした雨竜の顔。
「僕の公式はこれだから。」
キス = 愛してる
-back stage(あとがき)-
雨「センス悪いな。」
管「あれ、雨竜はそういう人じゃなかった?」
雨「・・・他の人たちのと比べると、僕たちのは随分と甘いようだけど。」
管「(ギクッ)そ、そうかなぁ?」
雨「これって分岐夢だろう。もうちょっと平等に書いた方がいいんじゃないか。」
管「では、平等に雨竜と様のラブラブ度を下げて・・・」
雨「ま、待て!これでいい!これがいい!」
2005.08.31
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