昼でさえ誰も寄り付こうとしない公園で独りぼっち。
どこにも居場所がない私には、相応しい場所。

ここで、私は、ある人をずっと待ってる。





はじまりと、おわり





この公園に来たばかりの頃は、ただ誰かに構って欲しい為だけに、最初の友達と契約をした。
その友達は、私が約束を守れば、ずっと友達でいてくれると言った。
だから、私はそれに従った。



私に近寄る人はほとんどが、見慣れない着物を身にまとって、腰には刀が添えられてる。
その人達を友達に紹介すれば、良い。

紹介した後、どうなったかなんて知らないけど。
二度と会うことは無かったな。



仕方ないよ、それが最初の友達との約束だから。
でないと、その友達は私と一緒に遊んでくれないって言うんだ。


だから、友達が求める人が近寄れば、また紹介だけする。
ほら、また黒い着物を着た人が来た。


 「私は、。暇なら一緒に遊んで?」


ブランコに腰を下ろす私を訝しそうに見つめる貴方の名前は?


 「黒崎一護」


貴方のその太陽を思い出させる色の髪は、始まりを告げる色なのか。
それとも、終わりを告げる色なのか。

どっちでも良い事だけどね。





一護と名乗る貴方は、優しいことに毎日私に会いに来てくれた。
初めて、独り占めしたいと思ってしまった。



『黒い着物を着て、刀を腰にそえた人を見かけたら、すぐに知らせる』



そんな約束をしていたはずなのに。
破って、しまった。



 「は、いつまでここにいる気だ?」


また、この質問だ。
疑問には思うだろうね、昼夜問わずこの公園にいるんだから。
だけど、私は真面目に答えるわけない。


 「友達が100人できるまで」

 「で、俺は?」

 「八人目」


先が遠いな、とぼやく一護を無視して、話を続けた。


 「一人目の友達以外は皆どこかにいっちゃったけどね」

 「どうして?」

 「そういう約束なの」


どんな約束か、と次に一護は、問いたかったんだろうけど。
彼がそれを問う事はなかった。

最初の友達が、彼を見つけてしまったから。









気付けば、目の前には血だらけになって倒れてる一護がいた。


私は何が起こったのか見ていない。
目を瞑っていたから。


私は何が起こったのか知らない。
耳を塞いでいたから。


私は何が起こったのか聞き出せない。
口が開かないから。


だって、私のせいだなんて思いたくないから。
これは、友達がやっただけで、私は何にも関わりがないんだから。


視界がぼやけるのは、見ようとしないから。

何かが頬を伝う感覚も私の気のせい。

悲しいなんて思ってない。




 「なんで・・・泣いてるんだよ」


ゆっくりと体を起こした一護を私はただじっと見つめるだけ。
眉間の皺は更に濃くなる。


 「何か言えよ」


沈黙が耐えられないなら、そのまま眠っていれば良いのに。


 「遊ぼう、一護?」


私はまるで、眠たりたがっている親に、声をかける子供のようだ。
しゃがみこんで目線をあわせれば、頭を撫でてくれた。


 「また今度な」


切なそうに微笑む一護と指切りをして。
私は、その場を離れた。







今日も私は、誰も寄り付かない公園で独りぼっち。


最初の友達とは、二度と会うことは無かった。
きっと、私が一護を紹介しなかったから、怒って何処かへ行ったんだ。





貴方の髪の色は、終わりを示す夕日の色か。
始まりを意味する、朝日の色か。


私は、ただ、貴方が来るのを今日も待つ。










-back stage-

管理:ちょい意味不明な結局何したかったんだ的お話。
一護:そんな事言われて喜ぶやつが、どこにいる?
管理:すまん。シリアスを目指してたら、ずれていったんだよ。
一護:(珍しく謝ってるな)どこを目指してたんだ?
管理:企画夢に奉げる作品のお題。
一護:ボツにしたからって、こっちに回すな!

2006.02.15

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