横を見れば、紙パックのジュースをチビチビ飲むクラスメートの姿。
ストロー
隣に座るは、何時でも何処でも紙パックの飲み物を手にしている。
そして、頻繁にストローを口に銜える。
授業中も例外ではない。
しかし、それに対して文句を言う教師は滅多にいなかった。
成績が良いこともあるし、害を与えることも無いからだ。
「あ、新商品」
昼食を買ってクラスに帰ってきた俺の手に、は目をやる。
どうやら、俺のジュースを狙っているようだ。
「やらねぇぞ」
新商品を手にすれば、が俺を見てくる事は分かっていた。
だけど顔を合わせるだけで、なんだか照れてくる。
「黒崎のけちんぼ」
「何とでも言え」
少しだけでも会話が出来た事に心を躍らせていると、はまだ俺の飲み物を眺めていた。
「ねぇ、見せて?」
自分の飲み物のストローを加えながら、聞かれた。
嫌われたくない気持ちから、仕方なく開けて間もないジュースを手渡した。
すると、しばらくラベルを見ていたは俺のジュースを飲んだ。
文句の一つでも言おうかと口を開けば、彼女の手から違うジュースが差し出された。
さっきまで、が口にしていたジュースだ。
「交換」
断らせる気のない笑顔で言われ、俺は諦めてから代わりのジュースを受け取った。
だが、明らかに感じなければならないはずの重みが感じられなかった。
「おい。空じゃねえか」
「それ、2時間目に飲み終えちゃったから」
「はぁ?なんで飲み終えたのを捨てなかったんだよ」
「お金がないからでーす」
悪気も無く俺のジュースを飲み続けるにはため息か出てこない。
なおもストローを口にくわえながら、は続けた。
「いいじゃん、私と間接キッスするチャンスあげたんだし」
「は!?」
思わず叫んでしまったが、よくよく考えればそうだ。
あぁ、中身が空だということを後で言うべきだった。
ジュースを持っている手が震える。
「残念?」
は俺を嘲笑した。
「んなわけ」
「あるんでしょ」
否定してみてもの考えは変わらないようだ。
「ほら」
ふてくされて机にうつ伏していると、がジュースを返してきた。
「一口だけね」
「元々、俺のだっての」
「要らないなら、あげなくてもいいんだけど?」
俺はからかわれてるのか?
どうせ俺に断る理由なんて無いのを知っているはずだ。
「くれ」
「嫌」
人が素直に頼めば、断りやがって。
落胆した俺をは声に出して笑う。
「分かりやすいなぁ、一護」
・・・て、ちょっと待て。こいつ、俺を下の名前で呼んでるのか?
「やけに馴れ馴れしくなったな」
「気のせいじゃない?」
注意してみても流されてしまった。
「ま、これからも楽しませてもらうよ」
ジュースを俺の机に置いたまま、は新しい飲み物を買いに出かけていった。
俺は、帰ってきた後も苛められることを忘れて、飲むか飲まないかにしばらく悩まされた。
-back stage-
管理:一護夢。です。
一護:それしか言うことねぇのか。ていうか、何で俺は苛められてるんだ?
管理:・・・一護は苛められる方が好き。
一護:お前の気分の問題かよ。俺以外にもいるだろ、そういうキャラ。
管理:いないよ?しいて言えば、花太郎。
一護:おいおい、恋次とか吉良ってやつとか・・・
管理:あれは両方行ける。てか、吉良は黒推薦。
一護:(俺はいけねぇのかよ!?)
2005.10.11
ブラウザでお戻りくださいませ