お遊戯
「やった!勝ったー!」
せっかくの非番の日なのだからと、剣八は恋人のもとへと急いだ。
だが、手遅れだった。
「何やってんだ、おめーら」
「トランプ!」
先回りしていたやちるが答えた。
もさほど困っている様子ではない。
「剣ちゃんも一緒にやろ!」
「やらねーよ」
「やろうよ、剣八。楽しいよ?」
の頼みなら仕方ないと思い、剣八はの隣に腰を下ろした。
「じゃあ、次は双六ね!」
楽しそうにやちるとゲームの準備をすると、サイコロを転がす順番を決めた。
「やってらんねぇ」
剣八は双六だけでなく、その後次々と遊んだゲームすべてに負けてしまった。
負けることが大嫌いな彼にしては、よく今まで我慢してこれたと褒めてやって良いほどだ。
「あはは!剣ちゃん、また負けたー」
「うるせぇ、もう気がすんだろ。帰れ」
逆に勝ち続けていて機嫌が良いやちるは、素直に帰っていった。
急に静かになった部屋が耐えられなくなったのか、が話しかけてきた。
しかし、今の彼にはタブーである会話を。
「今日は楽しかったねー」
「そうだな」
負け続けていて楽しいわけが無い。
答えた剣八の声はかなり低かった。
「今日は運が悪かっただけだよ、きっと」
今更、励まされても嬉しくともなんともない。
ふてくされている剣八をどう元気付ければいいか、は悩んだ。
「そうだ。きっと遊んだゲームが悪かったんだよ」
「あぁ?」
「相性が悪かっただけだよ」
微笑みかけるを見て、剣八は何を言ってるのかが理解できなかった。
だが、次の瞬間、良い事を考えた。
「そうかもな」
「でしょ、でしょ」
また笑ってくれて、は安堵した。
その後、何が待ち受けているかも知らないで。
「だったら、自分でゲームを作れば良いだけだ」
「自分で?」
「悪い結果にはならねぇだろ」
「なるほどね。で、言うからにはあるんでしょ、新しいゲーム?」
待ってましたと言わんばかりに、剣八の顔はにやついた。
「一対一で、音を上げた方が負けだ」
「圧倒的に剣八が有利じゃない」
「だが、どっちが負けても負けた気はしねぇはずだ」
「ふうん。剣八が負けても?」
「・・・気に食わねぇけどな」
「それじゃ、負けた気がしないゲームじゃないよ」
が呆れて部屋から去ろうとすると、彼女の腕が引っ張られて床に転げた。
「ちょっと。そのゲーム、まさか・・・」
「あぁ、言い忘れてたが」
の体に覆い被ると、今日一番のにやついた顔が見下ろしていた。
「このゲームの参加者は、俺とお前のみだ」
-back stage-
管理:いいのかなぁ、初の剣八がこんなんで。
剣八:書いておきながら、それを言うんじゃねぇよ。
管理:うーん。強引なのが好きなんだけど、難しいね。
剣八:ところでよ。俺がを一度も呼んでねぇのは、どうすんだ。
管理:・・・え゛?
2005.09.29
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