「ねえ。剣八って好きな人、いる?」
隊首室のソファに腰をかけての第一声に、部屋の主はさほど反応しなかった。
質疑応答
「何だ、急に」
「この間さ。流魂街に遊びにいったのよ」
何をしたのかは聞いていない、と思いつつ剣八は最後まで言わせておく。
「小さい女の子がね、男の子に聞いたの」
「さっきの質問をか?」
「うん。懐かしいなぁと思って」
その時の様子をまた思い出したのか、は微笑んだ。
剣八は何が懐かしく思えるのかも微笑ましく思えるかも分からなかったが、質問に答えるべく口を開いた。
「だからといって、俺に聞く必要は無ぇだろ」
の隣に腰をかけると、剣八は腕をの肩に回した。
「お前以外に誰がいるんだ」
「・・・可愛げがないなぁ、剣ちゃんは」
素直に自分の意見を述べたにも関わらず、は頬を膨らませた。
彼女が怒っていることは、自分の呼び名が変わったことで分かる。
「何が気に食わねぇんだ?」
「別に。剣ちゃんに怒ってるだなんて、言ってないよ?」
「だったら、その呼び方は止めろ」
「剣ちゃん」
「やっぱ怒ってんじゃねぇか」
「怒ってないよ」
勝手にしろ、と呟けばの攻撃はさらに増した。
「剣ちゃ〜ん♪剣ちゃ〜ん♪剣ちゃ〜ん♪」
「やかましい」
「そうやっていちいち突っ込むから、からかうのが楽しくて止めないんだよ」
何時の間に趣旨が変わっていたんだ。
嘆きながらも、剣八は苛立ち始める。
「・・・」
「あれ、剣ちゃん?」
「・・・」
もう関わらないでおこうと口を閉ざした剣八だったが、は気にしないようだ。
「まぁ、いいや。ところでさ、剣ちゃん」
「いい加減にしろ」
さすがにずっとからかわれているのに我慢が出来ず、再び口を開いた。
「嫌に決まってるでしょ」
しかし、は考えを変えてくれない。
痺れを切らした剣八は、思わぬことを口にしてしまった。
「いい加減にしねぇとお前をチャン付けにしてやるぞ」
彼の発言には吃驚したが、その様子を鮮やかに想像ができる。
剣八が恥かしくとも実行するよう、は嘲笑した。
「是非とも、して欲しいね」
が察したとおり挑発にのった剣八は、耳まで真っ赤になって呟いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ちゃん・・・」
「・・・ぶっ。あははははは!」
静かだった部屋がの笑い声で包まれる。
「笑うな!」
「だ、だって!その仏頂面で怖い人相の剣八が、チャン付け!」
苦しそうにお腹を押さえながらも、はひたすら笑う。
「はははははは!」
「黙れ」
剣八が頼むような思いで言っても、聞いてくれない。
舌打ちをすると、剣八は無理やり自分の口で彼女の口を防いだ。
部屋に静けさが戻り、は自分の身を剣八に身を任せた。
「お前は好きな奴がいるのか?」
初めから彼女の質問にこのように答えていれば良かった。
今更気づいたことだったが、剣八は気にしないことにした。
「いるよ。目の前に」
またこの部屋に違った騒音が部屋の中に広がっていった。
-back stage-
管理:5200番を踏んで下さったサクさんのリクでした。
剣八:サク以外は持って帰ったり、文句言ったりするんじゃねぇぞ。
管理:いや〜、しかし楽しかったね。剣八さんを苛めるの♪
剣八:てめぇ。いい度胸してんじゃねぇか。
管理:あ゛・・・いえ、その・・・
剣八:稽古つけてやるよ。
管理:いやぁぁぁぁ!(逃避)
2005.10.23
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