「うわ、かなり怪我を負ってるわー」
血だらけの俺を見てもソイツはビビッてる素振りはなかった。
逆に楽しそうに笑っていた気がする。
looking for your smile
四番隊の人間なんて腰抜けが多い。
「更木隊長、また派手にやってきましたね」
「誰のせいだ、誰の」
はそんな四番隊にいる一隊員。
だが、他の奴らとはかなり性格が違った。
「人の仕事増やさないで下さいよ」
「そのおかげで俺に会えるんだ、感謝しろ」
「有難迷惑です」
「一応、喜んでんじゃねぇか」
「隊長相手に『迷惑』の言葉だけで言うのは失礼かと思いましたから」
他の奴らと態度も違う。
この俺に楯突きながらもは器用に手を動かした。
「終わりましたよ。お大事に」
「何だ?やけに早いな」
「あれだけの怪我なら、その程度ですよ」
俺があからさまに舌打ちをすれば、は怪訝そうに見返した。
「何がそんなに不満なんです?」
「テメェが笑わねぇのが不満なんだ」
初めて会った時も笑わなかっただろうが。
それを伝えると、は眉間に皺を寄せた。
「血をダラダラと流してる怪我人に微笑みかけろというなら、卯ノ花隊長にでもお願いして下さい」
「別にそんな事は求めてねぇよ」
「でしたら、治療とは関係ないですよ」
では仕事があるので、というとは俺を放って治療室から出て行った。
またアイツの笑った顔が見れなかったか。
なかなか手ごわいもんだな。
一度だけ、が笑った顔を見たことがあった。初めて出会った時だ。
意識が危ういほどに血を流していた時、その怪我を見て微笑を浮かべたのを見た。
その笑顔をまた見たいと思った俺は、それから通い始めたのには笑わねぇ。
よっぽど血の量が多くなければ駄目なのかと怪我を増やしてみるが、効果は無かった。
俺らしくもねぇ事をすれば、ツケが回ってきやがった。
久しぶりの虚退治で、怪我を負った。
怪我自体は軽いもんだったが、ここ最近血を流しすぎでぶっ倒れた。
かっこわりぃ。
この俺が貧血か。
やちるが呼んだらしい四番隊の人間に身を任せていれば、聞き覚えのある声がした。
「こんだけの怪我で倒れちゃってるよ、この人」
誰のせいだと口答えをしようとを見れば、ようやく見たかった顔が目の前にあった。
「好きだ、」
初めて会った時から、ずっと言いたかった言葉が今は簡単に口にできた。
「あまり無茶はしないで下さいね」
笑みを崩さないまま俺の目を見てくれたことに安堵しつつ、俺は静かに眠りについた。
<おまけ>
「何だ、この料理・・・」
が世話してくれるっていうから、文句も言わずに飯を待っていれば。
食卓には、焼き魚にほうれん草と春菊の和え物、貝類の味噌汁に白いご飯。
そして・・・納豆。
「今、貴方は鉄分不足ですからね。ちゃんと全部食べてもらいますよ?」
ひょっとして、俺はとんでもねぇ奴を好いてしまったかもしれねぇ。
-back stage-
管理:7722番をゲットされた沙羅様のリクエストでした。
剣八:とりあえず、ここではのが何で怪我した時のみ笑ってたか言った方がいいんじゃねぇか?
管理:そうですね。簡単にいえば、「母性本能」です。
剣八:・・・血を見て騒いだわけじゃねぇのか。
管理:そんな様でも夢見たい人って、いるのかなぁ。(いれば書くけどシリアス・ダークになるだろう)
剣八:俺は納豆を飯に出さねぇ奴なら、誰でもいい。
管理:(まだ根に持ってるよ、この人)
2005.10.30
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