「何で、そんなに急ぐわけ?」
「いいから、黙って僕についてきてくれ。」
先約
授業が終わり、は仲良く雨竜と登下校している・・・はずだった。
「走らなくても、時間は早く過ぎないよ」
「時間を元に戻すことも出来ないだろう」
の手を引きながら走る雨竜は、何かを恐れているようだ。
そんなことを知らないは、ただついていくのに精一杯。
「あかんで、女の子を無理やり走らせるなんて」
ふと頭上を見上げると、屋根に死神である市丸ギンがいた。
「あ、ギン!久しぶりだね!」
「女の子に叫ばせるのもどうかと思うけどね」
ギンを歓迎するとは対象に、雨竜はぼそりと言い返す。
すると、ギンは二人の前に降り立った。
「これで、文句ないやろ?」
「大有りだ」
「すごい・・・死神って色々できるんだね」
二人の男が火花を飛び散らそうとする中、は平然とギンの行動に感心している。
は元々霊力を持っていなかったのに、と雨竜はそんなを見て、心の中で嘆いた。
自分とあの人に関わったせいで、死神と喋れるほど強くなってしまったと。
「せやけど、ホンマに久しぶりやなぁ」
「そうだね。前にご飯一緒に食べた以来かも」
「僕に会えんで、寂しかった?」
「んー・・・寂しかった!」
「嬉しいわぁ」
ギンは雨竜の前であるにも関わらずを抱きしめる。
しかし、雨竜はがもらした言葉の方にショックを受けていた。
「」
「何、雨竜?」
「こいつと何時ご飯を食べたんだい?」
「・・・何時だっけなぁ」
相変わらず抱かれながらも明らかにしらばっくれるを雨竜は更に問いただす。
「そういえば、学校で一回だけ昼食を一人で食べた日があったな」
「え、あ、あったっけ?」
「その日やったら、僕と公園で食べた日とちゃうん?」
頑張って誤魔化そうとしたの努力はむなしくもギンによって、失敗に終わった。
「何で、僕に何も言わずに行ったんだ!」
「だ、だって言ったら言ったで怒ると思って・・・」
「当たり前だ!死神と二人きりになるなんて、危険だろう。特にこいつとは!」
「そうですよ、さん。そういう時はアタシの店に来てください」
またややこしい人物が現れた、とギンも雨竜も思う。
そして相変わらず、は暖かく迎えた。
「喜助さん、こんな所でどうしたんですか?」
「いやね、私のさんがまた変なモノに絡まれてないか心配で来て見たんですよ」
「心配ありません、には僕がついてますから」
「そうやで。には僕がおるし」
霊力が高まってしまった為、今のは虚が獲物にしても可笑しくない人物となった。
魂を食べられないようにと雨竜も喜助も心がけているので、彼女が一人にならないようにしているのだ。
しかし、虚が見える者が合計で四人いることも危険である。
この霊力の多さに虚が寄ってくるからだ。
一刻も早くの安全のためにも、三人の男は二人きりになりたいと願う。
「さぁさ、こんな人達は放っておいて、アタシの店にどーぞ」
「あ、でも今日はこれから雨竜の家に行かないと」
「えぇー。久しぶりに会うたんやから、僕と遊んでや」
「そうだよね。ギンとは滅多に会えないんだっけ」
「そうそう。せやから、僕と誰もいない所に・・・」
「そんなことより、前にさんが言ってた品を取り入れたんですよ。如何です?」
「う゛。それを言われたら、そっちも気になるかも」
「では、店の方へ行きましょうか」
勝手にの取り合いを始めた二人に遅れをとってしまった雨竜は、口を挟む事も出来なくなってしまった。
落ち込んでいると、二人に腕を引っ張られて困っていたが雨竜の元へ歩み寄った。
「ごめんね、雨竜。待たしちゃって」
「え?」
まさか来るとは思っていなかった雨竜は驚くが、快く受け入れた。
「いいのかい、あの二人は」
「うん。それとも、約束を破って欲しかった?」
そのつもりがないのは、のあどけない笑顔で分かる。
「それじゃあ、行こうか」
慌てる必要もなくなり、の手をとると雨竜はゆっくりと帰路をたどった。
-back stage-
管理:まさにミラクル!1055をゲットしたあいか様の3回目のキリリクです。
雨竜:それのどこがキリ番なんだい?
管理:「いちまるごーごー」!すごく良い数字じゃなくて?
雨竜:・・・センスを疑うな。
管理:君に言われたくないね。言ってくれたあいか様に失礼だし。
雨竜:な!?い、今のは冗談に決まってるだろう。
管理:どうだか。この作品はあいか様のみお持ち帰り/返品可能です。
2005.09.24
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