『今日の貴女の運勢は、最悪。拾い物をすると良いでしょう。』
1.ここが君の家
今朝の占いの助言に従ったつもりはなかったけど。
自然と従う結果となった。
「今日から、ここが貴方達の家よ。」
キョロキョロと家の中を物色する赤い髪の犬に。
おおきに、と関西弁で接してくる狐。
人を動物に例えてしまうのは失礼かもしれないが、
本人たちが良いと言ってるのだから構わないだろう。
「で、二人は何か名前の希望とかある?」
今言わなきゃ後悔するわよ、と脅してみた。
実際、私には名前をつけられるセンスは持っていないと思う。
最終的に『ポチ』と『ゴン』で決めるつもりだ。
「ギンって呼んでくれたら、嬉しいんやけど。」
「恋次だ。」
それが彼らの本名なのか。そんなことは、どうでもよかった。
ただ、私は彼らの存在を必要としているだけだから。
「なぁんだ。ポチとゴンにしようと思ったのに。」
「なんなんだ、そのネーミングセンスの無さは・・・」
「あ、やっぱり恋次じゃなくてポチにしよう。」
「はぁ?ふざけんな。」
「ポチ〜?ご主人様に向かって、その態度はダメだよ?」
「・・・恋次がいいんです、お願いします。」
「お願いされちゃった。どうしようか、ギン?」
「まぁ、聞いてやってもええんとちゃいます?」
「じゃあ、恋次ね。私には違和感があるけど。」
くれぐれも電子レンジと間違えないようにしなければ。
今日から飼い始めるペットの名前に一段落がつき、
次にどこに彼らを寝かせるかを考える。
「ところで、ご主人様。僕ら、ご主人様の名前を知らないんやけど。」
「あぁ。よ。」
「様、か。これからよろしく頼んます。」
「・・・いくら主人だからって、『様』はつけないといけねぇのか?」
「もちろん、つけなくていいわよ、ポチ。」
「・・・つけりゃ、いいんだろ。」
「ポチにはマナーから躾けていった方がいいかな。」
「ごめんなさい、様。俺が悪かったです。」
大きく和式な家に私一人が住んでいるから、彼らの部屋には困らない。
適当にどこかで寝るように命じるほうが簡単かもしれない。
「じゃあ、私もう寝るね。ギンも恋次も、勝手にどこでも寝ててちょうだい。」
「ほんなら、お言葉に甘えて。」
ギンは私の寝室にまでついてきて、しいてあった布団にもぐりこむ。
「おやすみなさい、様。」
「誰が一緒に寝て良いと言った?」
「嫌やなぁ。ペットていうんは、寂しがりややねんで。」
「だから恋次と他で寝れば良いでしょう。」
「誰だって、ご主人様と眠りたいに決まっとるやないの。」
「あ、だったら俺も様の隣で眠ります。」
恋次まで何を言っているんだか。
私が二人を求めるまで、放っておいて欲しいんだけど。
「せめて、隣の部屋で寝てなさい。でなきゃ明日のご飯はヌキよ。」
「僕は様を食べられたら、十分ええねんけど。」
「ゴン、早くしなさい。」
「・・・はい。」
よほど私のつけようとした名前が嫌だったのか。
これからは、有効に使っていくとしよう。
・・・なんで、この狐は夜這いに来るかなぁ。
「何やってんの、ゴン。」
「ありゃ。起きてましたか。」
ゴン、という名はこの狐にはもう効かないらしい。
他に手を打つ方法はないものかと思考をめぐらす。
「で、何しにきたわけ?」
「様が一人でも寂しくないように来たんやで。」
「当然かのごとく言わないでくれる?」
「せやかて、ホンマの事やろ。」
笑っている顔を見つめるが、彼の真意はつかめない。
一体、私に何を求めているんだろう、この男は。
「寂しいんやろ?せやから、見ず知らずの僕らを招きいれた。」
「さあね。もう寝なさい、ゴン。」
「そない冷たくせんでもええやん。夜は主従関係なしで、な?」
ギンの手がすでに私の肌に触れているが、動揺はしない。
むしろ、歓迎している可能性が高かった。
「・・・そんなにやって欲しいと思ってるような素振りしてるかな。」
「少なくとも、僕はそう思ったんやけど。」
「そう。なら、私を抱いて。」
待ってましたと言わんばかりにギンの手は動き始めた。
そして、私は隣でもう一匹のペットが起きていることを知りつつ、甘い夜に浸った。
-back stage-
ギン:なんや、いきなりヤってるんやな。
恋次:市丸隊長・・・はっきりと言わなくてもいいですから。
管理:そんな、ポチ。この程度の文で照れてて、どうするの!
ギン:そうやで、ポチ。自分かて、を抱くかも・・・
恋次:お、俺が!?そ、そんな、そんなのは・・・
管理:有り得る。てか、お話上なるよ。
恋次:えっ。(ドキドキ)
管理:あー、変に期待してやんの♪
ギン:まだまだやなぁ、ポチ。
恋次:・・・お前ら、騙したなー!
2005.09.12
ぶらうざでお戻り下さいませませ