なんでか分からないけど、私はとんでもない拾い物をした気がした。



4.じっとしてて



 「なぁ、また散歩に行きたいんやけど。」


ペットの面倒をちゃんと見ることは大切である。
テレビでそんな事を言っていても、いつもの私なら聞き流していた。


だけど、この二匹を拾ってから一週間。
身の回りでは奇怪な出来事が起こっていた。




何かが違う。




その何かが何かは分からないけど、二十四時間監視されているような視線を感じいていた。
外にでると、余計にだ。


いい加減この居心地の悪さをどうにかしたい。
そう思っていた時に散歩を頼まれたので、私は快く連れ出すことを受け入れた。







 「夜は静かでええな〜。」


二匹を連れてまた夜の散歩。
ギンと共に恋次をからかって時間を過ごした。


 「本当に、恋次って遊び甲斐があるよね。」

 「おま・・・様に言われたくありません。」


ああ、つまんない。
もう抵抗する事を覚えてしまってるよ。


残念だなぁと思っていると、この二匹とは別の、もう一匹のペットの気配を近くに感じた。



駄目だよ、今は。
そこで少し待っていて。



なにやら周囲を気にしている二匹に対して、私は告げた。


 「ギン、恋次。家まで自分で行けるよね。先に帰ってて。」

 「は?何で、急に・・・」

 「ポチ。命令には従いなさい。」


恋次を睨みつけて黙らせるが、ギンは黙らなかった。


 「せやけど、様を夜道一人にするなんて危険やないですか。」

 「平気だって。今の世の中、物騒な事なんて滅多に起きないんだから。」

 「でも・・・」

 「後でコンビニで何か欲しいもの買ってあげるから。」


無理やり二匹を先に帰らせると、私はすぐさま待たせている一匹の元へと走った。


恋次とギンを拾う前に見つけた、もう一匹のペット。
硬そうなお面を被った獣の頬を撫でてやる。


 美味そうな匂いがする。


低く体の芯にまで響くその声に私は驚きを隠せなかった。


 「美味しそう?私は食べても不味いんじゃなかったっけ?」


 お前のまとっている匂いが美味いんだ。


大きな顔を私の体に擦りつけるように匂いを吸い込む。
一体、何の匂いがこれを喜ばせているのだろう。


 食っても良いか?


聞かれても、何のことだか分からない。
でも軽い気持ちで肯定すれば、大変なことになりそうだとは勘で分かった。


 「駄目。もう少し我慢して。」


私がその匂いの原因をつきとめるまで。
すると、このペットは舌打ちをしてまた何処かへと消えていった。










 「はい、お土産。」


コンビニで買って帰ったプリンとケーキを恋次に渡すと、紅茶の用意をすべくお湯を沸かす準備をした。


 「お、季節限定。」


早速お菓子を確認して喜んでいる恋次を見ていると、自然と笑みが浮かんだ。
本当に可愛い動物だ、レンジは。
あっ、いけない。恋次だった。


 「二人で仲良く食べてよ。」

 「様は?」

 「甘い物は嫌いだって言ったでしょ。」

 「よっしゃ!なら、俺はこれを・・・」

 「主人よりも先に口をつけようだなんて、いい度胸ね、ポチ?」

 「な!?お前は食べないんだろ?」


もう忘れちゃったのか、この馬鹿犬は。
せっかく学んだと思ったのに、また敬語がなくなってしまってる。


 「様がお茶を用意するまでは、待っておいた方がええんちゃう?」

 「まぁ・・・確かに飲み物は欲しいな。」

 「ポチのために淹れてるわけじゃないんだけど?」

 「・・・お願いします、様。」




こうやって楽しんでる間も何かが私を監視している気がする。
もう一匹のペットによれば、私は美味しそうな香りをまとっているらしい。


謎がもう一つ増えてしまったことに、私はため息をつくことしかできなかった。









-back stage-

管理:ちょっと進展。微妙に進展?
恋次:お前、これちゃんと話浮かんでるのか?
管理:失礼な。浮かんでなきゃ書けないでしょうが。
ギン:・・・最初に考えとった案と大分それてきたような・・・
管理:若干変わっただけ!大まかな流れは変わってない!
恋次:ふぅん。(怪しいな)

2005.11.27

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