どうしても、どうしても。
そんな姿をした貴方を受け入れることができないんです。
愛しい姿
朝一番に、最も会いたい人と顔を合わせるのは幸せだ。
所属が同じなら、会えるのは当たり前ではあるけど。
でも、最も見たくない姿で出会うというのは不幸せ。
「。目を合わせたなら、挨拶しろ」
図体がでかいと態度もでかくなるんだろうか。
なんて事を私は心に思っていただけだった。
「何考えてるかぐらい、俺にも予想はつくぞ」
コツンと軽く頭を叩かれた。
そういう気持ちを読み取れるのに、何で肝心な事には気付いてくれないんだろう。
「恋次。髪の毛にゴミついてる」
私は嘘をついて、恋次を屈ませる事に成功した。
手の届く場所に彼の頭があることを確認すると、手を後頭部へと移す。
綺麗に髪をまとめている紐を解いた。
「また引っかかったね」
その深紅色の髪が広がるのを私は嬉しそうに見て言った。
だけど、恋次は気に食わない様子だ。
「。何度それをやったら、気が済むんだ」
「少なくとも十回ぐらいじゃすまないかな」
「まだする気か!?」
さて、捕まる前に逃げますか。
瞬歩である程度距離をとってから、恋次に叫んだ。
「返して欲しかったら、追いかけてきてね」
ちゃんと手に紐を握り締めると私は気配を消して、いったん隠れた。
そして、その後を追う恋次にこっそりついていった。
「おい!を見なかったか?」
恋次が最初に向かったのは、十一番隊。
きっと、私が弓親と仲が良いからここに来たんだろうな。
「?今日はまだ来てないよ」
「っていうか、またやられたのか?」
「言うな。」
一角に痛いところをつかれちゃったね、恋次。
一目散に次の場所へ行った彼の後姿を見て、一角は呟いた。
「いい加減、予備のでも用意しときゃいいのにな」
「そんな事しちゃったら、楽しめないじゃない」
今の発言は絶対に恋次に言わないでもらうために口を挟んだ。
私の出現に弓親は大して驚いていない辺り、私が登場する事は予想してたみたいだ。
「もだよ。いつまで、こんな事してるつもり?」
「あの馬鹿が、私を追っかける必要がないことに気付いたらかな」
「だったら、一生無理かもな」
何気に恋次が可哀相な扱いになってる気がする。
とりあえず、次に彼がどこに向かうか分からないので用事を済ませてから後を追った。
「雛森!見なかったか?」
やっと恋次の姿を発見すれば、彼は五番隊の桃に会いに行っていた。
なるほど、他の私と仲の良い人物に聞くのもありだね。
だけど、彼女も私の手がかりなんて掴んでません。
「ちゃん?出勤前に会ったよ」
「それから、会ってねぇのか」
「うん。ちゃんが、どうかした?」
これが何回目となる訪問かも分からないのに。
桃は、目の前の恋次は髪がほどけていても全く気にしてない。
この気遣いのない質問は、彼をさらに傷つけることになるだろう。
「いや、ありがとな」
次はどこに行くんだろう?
「今日は一日を見ていないネ」
勇気出したね、恋次。
まさか十二番隊にまで足を運ぶとは思わなかったよ。
「そうですか。ありがとうございました」
おお。さすがに隊長相手には、礼儀がなってる。
関心して十二番隊を去っていく恋次を追いかけようとすると、声をかけられた。
「貴様もそんなくだらない事をしているのなら、仕事をしてはどうかね」
「あ、あはは。ばれちゃいました?」
「私を甘く見ては困るナ」
適当に受け流すと、私は慌てて恋次の後を追った。
「なら、先ほど来たぞ」
もう降参なのか、恋次は六番隊へ戻っていた。
今回も私の勝ちで終わるのかな?
「何時っすか!?」
「貴様が仕事を放っていた隙に、素早く仕事を済ませていたな」
朽木隊長を怒らせてまで、恋次をからかう気はない。
恋次が詰所を回っている間、少しずつ仕事に手をつけてました。
「ちっ。今回も負けかよ」
「まだ勝負は終わっていないだろう。は今、すぐそこに居る」
ちょっと気を緩めて、霊気を流した途端に隊長に指された。
こっそりと襖の隙間から二人の会話を聞いていた私は、慌ててその場から離れた。
「見つけた!」
全力疾走で追いかけてくる人に私が勝てるわけがない。
いとも簡単に捕まった私は、壁と恋次に挟まれた。
「ったく。なんで、いつも取るんだよ」
ずっと握っていた手を無理やり開かされて、紐は持ち主の手中に戻った。
まだ結びなおそうとしない恋次の顔を直接見れなくて、綺麗に手入れされた彼の長い髪の毛に触れた。
「こっちの方が格好良いと思うんだもん」
髪を下ろした姿が大好きで大好きで。
それが私の好きになった恋次の姿だったから、髪をまとめてる姿は大嫌いだ。
だから、自分が見たい姿にさせる為に何時も無理やり解いていた。
「馬鹿だろ、お前」
お互い様だと思うな。
十回もやられてたら、予備を用意するよ、普通は?
ゆっくりと顔を上げれば、恋次の紅い紅い髪が広がっていて。
優しい、甘いキスをしてくれた。
-back stage-
管理:結局、何がしたかったのか分からないお話に。
恋次:自分で言うなよ。
管理:とことん、主張したいんです!恋次の髪下ろした姿万歳!と。
恋次:・・・描け。
管理:描けたら、苦労しない。てか、最後の恋次の台詞に違和感が。
恋次:は?何が可笑しいっていうんだ?
管理:私は、『馬鹿だろ、お前』よか『阿呆やろ、お前』の方が馴染みが・・・
恋次:んな無茶言うんじゃねぇ!
2005.01.22
ブラウザでお戻りくださいませ