歴史の授業は、退屈だ。
別に、嫌いな科目ではない。
だけど、歴史というのは、昔話を語られてるものだから、聞くだけで子守唄のように聞こえる。
「そして、この時・・・」
しかも、教えてる朽木先生の声がリラックスできるんだよね。
透き通るような綺麗な声だから、歌でも歌ってるみたい。
ああ。
今日も、黒板に書いてある事をノートへ書き写すだけになる。
周りを見ずとも、深い眠りへとつくクラスメートがいることが分かる。
時折、ごつんと机に頭をぶつける、鈍い音が聞こえるからだ。
「。」
今、先生が私の名前を呼んだ気がしたけど、きっと違うよ。
歴史上の人物名でも言ってるんだ。
「。」
また自分の名前が聞こえる気がしたけど、私じゃないはず。
窓から入る、太陽の光を浴びられて気持ちが良いなぁ。
「聞いてるのか、。」
そっとおでこに何かを感じ、頭をゆっくりと上げると、先生が目の前に立っていた。
彼の腕をたどってみると、私の頭へとつながる。
それでやっと、先生が私のおでこを触っていたことに気づいた。
「眠るなら、勝手にすれば良い。だが、授業の邪魔はするな。」
はい、先生。質問があります。
私の睡眠が、どうやって授業に影響してるのでしょうか?
そう顔が訴えていたのか、先生は、珍しくため息を吐いた。
「先程から、頭を机にぶつけていて、騒がしかったぞ。」
鈍い音が耳に入っていたと思ったのは、私のせいだったか。
先生は、私に反省文を書くように伝えて、授業を続けた。
私は、今度は邪魔しないように、最初から頭を机に置いて眠った。
「。反省文は、書けたのか?」
放課後になって、購買へお菓子を買おうとした矢先、朽木先生に出会ってしまった。
書けたのか、と言われても、あの後書く暇なんてなかったです。
授業があったから、という理由で書きませんでした。
まぁ、始めから書く気はないんだけど。
正直に伝えるのは気が引けたが、書く気がないという事以外は、そのまま彼に言ってみた。
すると、意外なことに、先生は許してくれた。
「そうだったな。今日の授業は、午後だった。では、何故、今ここにいる?」
ほっとしたのもつかの間、先生は痛いところをついてきた。
まさか『友達と今から食べるんです』と言えば、怒られるだろう。
それこそ、反省文を書く気が無い事を伝えてしまう。
「えーと。書きながら食べるものをと思いまして。」
苦し紛れに答えると、やっぱり先生は眉間に皺を寄せた。
「一つの事をやる時に、他の事を・・・」
「しては駄目ですよね。ごめんなさい。」
「そうだが、たまには良いだろう。」
「はい?」
これはまた、意外な答えが。
驚いている間、先生は何か考えていた。
「。何か推薦する菓子は、あるか?」
「へ?」
「今日は、特別に奢ってやる。」
すごく嬉しいんだけど、やっぱり反省文は書かなくちゃ駄目か。
友達と喋る事を諦めて、先生に自分の好きなお菓子を買ってもらった。
そのまま教室へ戻ろうとすると、先生が引きとめてきた。
「何ですか?」
「教室で食べるのか。」
「ええ、筆記用具とかも教室にあるし。」
「駄目だ。職員室で食べなさい。」
何で職員室みたいな窮屈な思いをする所で、食べなきゃならないの。
しかも、反省文をそんな所で書いてたら、ますます落ち込んじゃうよ。
「どうした。早く来い。」
先を進む先生が、振り向く。
どうしよう、ちゃんと自分の気持ちを言った方が良いかな?
「職員室じゃ集中しにくいです。」
「何をだ。」
何を、と言い返されるとは思わなかった。
反省文を書かせるんでしょう?と聞けば、先生は首をかしげた。
「私が、何時書けと言った?」
「・・・でなきゃ、私にお菓子を買うなんて事しないんじゃ?」
「そのような理由で買った覚えは無い。」
先生の考えが、私には全く見えない。
もう単刀直入に聞こう。
「私は、何のために職員室へ向かうんですか。」
「その菓子を私と食するためだ。」
「反省文は?」
「そのような暇はないだろう。書かなくても良い。」
お茶の誘いを受ければ、面倒な事は無いみたい。
あまり先生の思ってることは読めないけど、話すだけなら良いかと思って、後をついていった。
-back stage-
管理:びゃっくん、書きにくいよ!
白哉:勝手に書きにくくしたのだろう。
管理:ぐっ・・・だ、だって、びゃっくんは、恋愛には奥手だろうから。
白哉:私が彼女を誘ったかも自分で理解していないと?
管理:恐らくは。(苦笑)
白哉:・・・・・・・・・
管理:こ、今度書かせていただく時があれば、甘いのを書かせていただきます!
2006.04.23
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