香ばしい匂いに包まれて
「私、冬獅郎の作った料理を食べてみたいなぁ」
普段から甘えてきて困ったもんだっていうのに、はまた甘い声を出して俺と目を合わせた。
「如何してだ」
「誰だって、好きな人の手料理を口にしたいじゃない」
「・・・それ、逆じゃねぇか?」
普通なら食べさせてやりたいと思うんだが。
口答えをすると、は頭を傾けて聞いてきた。
「冬獅郎、私の手料理食べたい?」
「・・・遠慮しとく」
ていうか、あれは『料理』でなくなってるだろ。
に料理を食べさせられた時の事を思い出すだけで、背筋が凍る。
「だーかーら、冬獅郎が作って?」
こいつの嫌な過去の経験によって、俺は作らざるをえなくなった。
「よし、こんなもんだろ」
ったく、何が悲しくて男が女の為に料理しなきゃならねぇんだか。
だが、自分の命が大事な俺としては、反論はできなかった。
料理もあとは煮物の準備をするだけだった。
と言っても、だしの味付けと煮物にする物を切って煮込めば良いだけ。
じっくりと煮込むのを待とうと、俺は台所から離れた。
「もう終わったの?」
「まだだ。もうちょっと待ってろ」
そう伝えればは暇だ、とぼやきつつ俺の膝を枕にして寝転んだ。
「ところでさ、冬獅郎」
程よい暖かさを膝で感じたことによって消えそうになった意識を起こされた。
「何だ」
「焼き芋でも作ってるの?」
「へ?」
俺が作ってるのは、煮物のはず・・・
ふと息を吸い込むと、何だか焦げ臭い匂いがしていた。
「しまった!」
気づいた時にはもう遅かった。
慌てて火を止めてみたが、中は真っ黒になっていた。
鍋も底が黒くなっちまってる・・・
「おい、。何で気づかなかった?」
「ふーん。焼き芋じゃなかったんだ」
俺が言いたいのは、そんな事じゃない。
「とりあえずできたのを食べようよ。あれから1時間待たされたんだから」
勝手に出来上がっていた品を皿にもると、は一人で食べ始めた。
・・・・ちょっと待て、一時間って言ったか?
「何で起こさなかった!」
「気持ちよさそうに寝てたし、焼き芋の香りかと思って」
ああ、そうだったな。
お前に聞いた俺が馬鹿だったんだ。
「美味しいねぇ」
呑気に食べているの姿を見て、俺は二度とこいつの為に料理はしないと誓った。
-back stage-
管:レポート放ったらかしで書いちゃったぜぃ☆
日:星なんてとばしてる場合か!それより、そんな年齢でもないんじゃ(殴
管:アニブリ観て、朴さんの声に萌えて書いてしまいました。
日:ん?てことは何か?俺自身とは・・・
管:あんまり関係ないだろうね。
日:なにぃ!?
2005.11.24
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