「さん。いい加減にしてくれないかな?」
私だって、どうにかしたいよ。
でも止められないんだから、仕方が無い。
今日も順調に捻くれてます。
「なんで、石田君の言う事を聞かなきゃならないの」
繋ぐ糸
「あぁ、もう!イラつく!」
教室で叫ぶ私を周りの人たちは、またかと呆れる。
「さん。無駄に体力を消耗するのもどうかと思うよ。」
そんな事を隣でボソっと言うんじゃないよ、石田君。
何時ものように勉強している彼を睨みつける。
「煩いなぁ。石田君には関係ないでしょ」
「関係あるから、言ってるんだろう」
引き出しから裁縫道具を出すと、石田君はいつもの糸を取り出した。
「誰が君の制服をきれいにしてあげてると思ってるんだい?」
招かれるので、仕方なくイスを近づけさせる。
だけど、素直に破れた所を教えることができないから、ただ座ったまま。
「今日はスカートか」
「ち、違うよ。ブラウスです」
「スカートだろう?」
「違うってば」
「動かないで」
3秒もかからずに破れていた部分を修復された。
何時もながら、その腕はすばらしいと思う。
だけど、石田君は女の子のスカートの端を持つことが恥かしくないのかな。
下にはスパッツ穿いてるから、見るものなんてないけどさ。
・・・いや、私には色気の欠片もないからか?だから平気なのか?
だって、井上さんには照れた顔をしたことあるもん。
「で、今度は何が・・・」
「別になんでもない」
「隠しても、無駄だよ」
「隠してなんかない。言う気がないだけだってば」
「嘘をつくな。現に・・・」
私の髪に手を伸ばすと、石田君は葉っぱを見せつけた。
「葉っぱに埋もれなきゃ付かない物がある」
どうして、こうも目ざといの。
観念して、何が起こったかを手短に伝えた。
「木に飛び移ったけど、落ちた」
「落ちた!?大丈夫なのか?」
さすがにこれには驚いたのか、石田君の顔が近くに寄ってきた。
こっちの方が私は辛いって!
普段では絶対に近距離で見られないから、緊張する。
「ちょ、石田君。顔近いってば」
「当たり前だろ。心配なんだ、さんの脳がこれ以上可笑しくなってないか」
・・・あ、むかつく。
私のときめきを返して欲しい。
「これ以上ひどくなるわけないでしょ!」
「それもそうだね」
いや、今の意見をあっさり受け入れられても困るし。
それってつまり、私を阿呆扱いしてるわけではないですか。
「普通の人だったら、木に飛び移るなんて馬鹿なことはしないな」
あぁ、私を馬鹿扱いしてたのか。
「さん。もういい加減にしてくれないか」
眼鏡をかけ直しながら、私を見る目は怖かった。
私はそんなに迷惑だった?
「なんで、石田君の言う事聞かなきゃならないの」
声が掠れた。
でも、石田君は気にかけずに話を続ける。
「毎回、裁縫させられるこっちの身にもなってほしいよ」
「そんなの、私の知ったことじゃない。それに、縫ってくれと頼んでもないし」
何時も何時も、石田君が気づくから縫ってもらってるだけなんだよ。
その気になれば、井上さんにも聞けたんだよ。
心の中で思っていても、口に出したことなんて無いけど。
私はずっと、ずっと石田君の事が好きなんだから。
「あーあ、石田君のせいで気分悪い。帰ろう」
気分悪いのは、自分の気持ちに正直になってないから。
そんな事分かってるけど、外見も中身も女の子らしくない私は諦めるしかない。
「さん。何か言い忘れてない?」
帰ろうとする私を石田君は引き止める。
言い忘れ?スカートを縫ってくれたお礼か。
「何時もありがとう、さようなら」
「そうじゃなくて」
石田君は、私に近寄ると耳元で囁いた。
「僕に何か言いたいことはないの、?」
初めて下の名前で呼ばれて驚いたけど、同時に悟った。
石田君は、最初から私の気持ちに気づいていたようだ。
「雨竜なんて、大嫌いだよ!」
照れながらも頑張って笑うと、走って家に帰った。
-back stage-
雨竜:また僕のリクか。本当にありがとう。
管理:600番をゲットしたあいか様のみお持ち帰り/返品可能です♪
雨竜:・・・また、若干リク内容とずれてないか?
管理:え゛。き、気のせいだよ。
雨竜:しかも前のリク作品と似たシチュエーションだな。
管理:すべてお前が悪いんじゃー!
雨竜:????
2005.09.15