it's not dangerous!



目の前に出来上がったものを見て、ため息一つ。
どうして、上手くいかないんだろう。


 「山田さーん。また失敗しちゃった……」

 「そうですか?十分、美味しそうやと思うんやけど」


さんは完璧さを求めすぎてるわ。
笑ってくれるけど、私からすれば、これは失敗作なのだ。
比べてるのが、山田さんの料理だから、仕方のないことかもしれないけど。


 「食べてくれる、かな」

 「そらもう、喜びますって」


別に料理の腕に自信がないわけではない。
最低限のことは一人暮らしのおかげで、こなせている。
要するに、普通である。


 「だけど、食べてくれなさそうだからなあ」


悠里ねぇと悟郎が手作りのお菓子を皆にあげていた時のことを思い出す。
見た目も味も酷い、悠里ねぇの黒こげクッキー。
見た目に騙される、悟郎の材料が最悪なマフィン。
これを否応なく口にさせられた皆は、まさに屍と変わり果てていた。


そんなことがあったからこそ、少しは癒しになればと、今度は自分が作ってみた。
チャレンジ精神を出せば彼らのトラウマが酷くなりそうだから、無難にクッキーを。


 「怯まれたら、どうしよう」

 「大丈夫ですって。あの二人が作ったわけやないから、一口は食べてくれます」


それ、フォローになってないよ、山田さん。
ドキドキしながらも、放課後のデザートを皆の前に出す。
案の定、過去を思い出したB5は、一歩後ずさった。


 「あれ、このクッキー……もしかして、が作ったの〜?」

 「うん。普通にちゃんとしたものを食べて欲しいって思ったから」

 「ちゃんとしたもの?あ、そっか〜。最近、ゴロちゃんと先生、お菓子作ってないもんね!」


悟郎ったら。今の言葉で、どうやったら、そこに導かれるんだろう。
不思議に思いながらも、永田さんが淹れてくれた茶を飲む皆に声をかけた。


 「ほ、本当に、私のは大丈夫だから。食べてみて?」


疑心難儀なB5は、なかなか動かない。
その間に悟郎が手を伸ばしてくれた。


 「美味しい〜!なんか、ホームメンドって感じでいいね!」

 「それを言うなら、ホームメイドじゃ……」

 「ほら、翼たちも食べなよ!」


悟郎に勧められても、彼らは手を出さない。
すると、瑞希の肩に乗っていたトゲーがテーブルに飛び降りた。


 「トゲー!」

 「あ、安心して。トゲー用のクッキーも作ってあるから」


クッキーを別の皿にうつして、トゲーの前に置く。
彼は嬉しそうにクッキーを食べてくれた。


 「トゲトゲ〜!」

 「本当?ありがとう、嬉しいな」


喜んでくれたトゲーを見て、ようやくB5がクッキーを食べてくれる。
何も言わない彼らに不安を感じて、私は訊ねた。


 「どう?」


ぽつりぽつりと、返事がくる。


 「美味い、な」


瞬は少し照れた感じで。


 「……美味しい」


瑞希が小さく微笑む。


 「美味い!もう一枚、も〜らいっと」


一は早速おかわりしてくれる。


 「キシシシ。そうはさせるかってぇの!」


キヨも気に入ってくれたみたいで、一の手を遮る。


 「ふん。悪くはない」


翼の言い方は捻くれてるけど、喜んでくれたみたいだ。


(これが普通の食べれるクッキーというものだよな)


そうB5が思っていた気がするけど、つっこまないでおこう。
私は運よく食べなかったけど、あの二人のお菓子はよっぽど酷かったんだと見ていて思えたから。


 「にだけは、これからも菓子を作る許可を与えてやろう」

 「賛成ー!」

 「え〜?ゴロちゃんも作りたい!」

 「おまえは駄目だ!」


B5が一同になって、悟郎を止める。
それがなんだか可笑しくって、つい私は声に出して笑ってしまった。
そんな私の口の中に、キヨがクッキーを突っ込んでくる。


 「おらよ、おまえの分!ちゃーんと味わって食えよ?」


皆と一緒に食べたクッキーは、作った私が言うのもなんだけど、本当に美味しかった。


















- back stage -

管理:ほのぼのとした話が書きたくて、書いてみました。
悟郎:ダメだよ、いくら寝付けないからって、ゴロちゃん達の夢書いたら!
管理:そうはいうけど、ビタミンへの愛が切れなくて、こっちも困ってるんだ……!
清春:だったら、オレ様との夢を書いて書いて書きまくれー!ギャハハハハ!
瑞希:できたら……僕を贔屓にして……。
悟郎:あ、ずるい!それなら、ゴロちゃんだよ!
管理:うるさいうるさいうるさーい!そんなの気分次第だ!

2008.05.11

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