お化け屋敷
「ようこそ、一日限定のお化け屋敷へ」
招待状に書かれた場所へ赴くと、そこには弓親とネムが立っている。
一護が疑問をぶつけた。
「なあ、本当にこのメンバーで合ってるのか?」
「合っていないとでも言うのかい?」
「だって・・・なあ」
一護が後ろを向く。
ルキア、乱菊、勇音、、。
この五人はまだ理解できる。
しかし、残り二人はどうだろう。
「そんなの、どうでもいいだろ」
「藍染様も協力している。俺達がここにいても可笑しくはない」
グリムジョーとウルキオラ。
敵対しているはずだというのに、何故いるのか不思議でならない。
「ま、良いんじゃない?旬なキャラは出しておかなきゃ」
「裏事情をさらっと言うな!」
「ネム、案内よろしく」
「ちょっと。僕もいるんだけど?」
の爆弾発言を一護以外は気にすることなく、招待された者はお化け屋敷に入っていく。
誰もいなくなって一人佇んでいるのも嫌になって、仕方なく一護も後を追った。
「なかなか凝っておるな」
ルキアが屋敷内を見渡す。
案内係の弓親とネムの持つ提灯以外の灯りは見えない。
雰囲気は十分にあった。
この完璧なまでの暗闇は、東仙が作り出しているらしい。
さすがに、斬魄刀は使われてはいないが。
「舞台は浦原さんが仕切って作ったらしいよ」
「誰を仕切って?」
「卯ノ花隊長、阿散井副隊長、茶渡泰虎さん。あと衣装係として石田雨竜さんです」
淡々と名をあげていくネムは、先へと進んでいく。
皆は慌ててそれについていった。
すると、右横から弱々しい声が聞こえた。
「が、がぁー」
声のする方を向くと、そこには白い布を被って脅していたらしい小さなお化けがいた。
乱菊が指差して思い切り笑い出す。
「た、隊長、お化けはもっとお化けらしくしなきゃ駄目じゃないですか」
「黙れ、松本。俺は、好きでここにいるんじゃないんだ」
「え、これ、冬獅郎?」
が布を取り上げると、眉間に皺を寄せた冬獅郎の顔が見えるようになる。
「本当だ、もっとお化けらしくしなきゃ駄目じゃん」
「うるせえ。参加しただけでもありがたいと思え」
布を奪い取り、彼は闇の中へと消えていった。
不安に思えてきたが問う。
「もしかして、これからもこんな調子か?」
「かもしれないね。何せ、人数が多いだけに、まとまりができてないから」
問題大有りなことを言いながら、弓親が案内を続ける。
次は、いかにも何かが出てきそうな井戸が見えてきた。
雰囲気で怖くなり始めたは、ウルキオラとグリムジョーを盾にするかのように双方の腕にしがみつく。
こういう時はと、ルキアが一護の背を蹴飛ばして、様子を見るようにさせる。
しかし、彼が井戸の中を覗いても何もなかった。
「何もねえぞ」
そう言って振り向いたが、同行者は青ざめた顔を浮かべている。
「く、黒崎さん、後ろ・・・」
勇音が頑張って声を出す。
言われて井戸の方向をもう一度見ても、何も無かった。
「何だよ、一体」
「気づけぬとは、貴様の目は節穴か!」
ルキアが彼の頭を蹴り飛ばす。
吹っ飛んだ時、床に転がった自分の下から呻き声が聞こえた。
変に思えた一護が見てみれば、そこには気を失った浮竹十四郎がいる。
「え、もしかして、ここの担当?」
「さっきから、ずっと手を動かしたりしてたぞ」
が教えてあげる。
まさか、闇に溶け込んでいて、まったく見えていなかったとは言い難い。
彼が目を覚ます前に、一同は次へと進むことにした。
「ぐげっ」
「あら、何か踏んだ?」
悲痛の声に、乱菊は下を見る。
そこには、全身血だらけな浅野がいた。
「ふん!」
「ぎゃあ!?」
「な、なんだ?どうしたんだよ、乱菊」
今度は故意に踏みつけた彼女にが問いただす。
「つい、ね。こいつ、今のうちにやっておかないと後でウザくなりそうだから」
何度も懲りずに飛び掛って来ることを言っているのだろう。
本物の死体と化した彼を放って、一行は歩き続ける。
すると、鈴の音と少女の笑い声がゆっくりと近づいてきた。
「あの・・・さすがに、これって、誰か分かるんじゃ・・・」
勇音が口を開く。
誰もが思っていたことだった。
「誰だと分かっているのだとしても、油断はしない方が良い」
ウルキオラの忠告は、現実のものとなる。
少女は、突如グリムジョーの頭の上に現れた。
「がおー!」
「うぉ!?」
暗闇での脅かしでは、誰もが驚く。
満足げなやちるは、ニコニコしながら言った。
「だいせいこー!」
「このガキ・・・とっとと、降りやがれ!」
「はれ?を狙ってたのに、間違えちゃった」
すんなり降り立った彼女は、と一護の方へ移る。
そして、その後ろにいる人物に話しかけた。
「剣ちゃんも雰囲気出てるよ!」
「い、いつのまに!?ていうか、ビビるだろ、その立ち方!」
提灯の灯りが下から当たって、凶悪な顔をさらに怖くさせている。
女性陣は、すでに彼と距離をとっていた。
だが、やちるが彼の肩に乗ると、そのまま消えていく。
「な、何だったんだ、結局・・・」
出るタイミングを見失ってしまった一角になど気づかず、は呟いた。
「あれ、もう出口だ」
案内人であるはずの弓親が言う。
意外そうな様子に、が聞いた。
「まだあるはずだったの?」
「はい。ですが、時間の都合上ということで、省かれたようです」
「・・・ケイゴですら出たのに、他は出ねえのか」
少々憐れみの感情が浮き上がってくる招待客。
「結局、弓親の言うとおり、まとまってない感、丸出しだな」
「皆、個性的過ぎるからね。言うことを聞いてくれないんだ」
「多分、それ、あんたも含まれてるわよ」
への返事を乱菊がつっこむ。
は、勇音と日光を浴びることができることへの喜びを味わっていた。
いつのまにか、ウルキオラとグリムジョーはいなくなっている。
「勝手に帰って良いのか?」
よく分からない状況に、一護は首を傾げた。
「ルキアは、まだ来ぬか」
「朽木隊長。やっぱ、お化け屋敷にその格好は変っスよ」
「何を言う。ルキアを怖がらせることなど出来ぬだろう」
「だからって、着ぐるみもどうかと・・・吉良、どう思う?」
「ある意味、怖いと思うよ」
白哉、恋次、イヅルの三人にだけは解散の伝令が失敗し、三人は未だに来ない者を待っていた。
-back stage-
管理:いやー、中途半端に阿呆な話を書いた!
一護:中途半端すぎるだろ!
恋次:ていうより、偏りすぎなんじゃねえのか。
乱菊:そうよね、好きなキャラを多く書いてるって感じ?
管理:お前らはまだ出てるからええやんかー!文句を言うな。
ネム:これだけの人数だと、一話だけでは納まりきれません、仕方ないでしょう。
一角:てめえら・・・名前しか出てこなかった俺のことも考えろよ。
織姫:そんなこと言ったら、私達なんか名前すら出てないんだから!
管理:うわ、ここもまとまりが悪くなってきた!
2007.08.06