「さむっ」
悪寒がする。
原因は、の背後に存在するもののせいである。
震える体を抱きしめようとすると、他の者が彼女の肩を掴んだ。
「どうしたのかなぁ。風邪?風邪ひいちゃった?」
がその男の手を振りほどこうとしても、相手はビクともしない。
彼の腕の中に閉じ込められたまま、は聞こえてもいい大きさで呟いた。
「のこのこ出てきたよ、ストーカー野郎が」
「あれ。のこのこ出てきたのは、オレ。でもストーカー野郎は、オレじゃない」
「どっちも貴方のことを言ってます」
うんざりした顔でが答える。
自分のことを言われているのかと、ハスタは首をの方向に傾げる。
彼が事故に見せかけて頭をぶつけてきた。
「いっ・・・何すんのよ、ハスタ!」
「なんでか、の言い方が気に食わなかったんデスよ」
「まともに返答したかと思えば、そういうこと・・・」
「だけど、オレはストーカーじゃない」
意外と癪に障っていたらしい。
話を戻したハスタが訂正する。
「ボクは気になるが何処に行くのか気になったから、同じ道を辿っただけ」
「こっそり後ろについてたら、ストーカーって言うんだけど」
「オレは違うピョロよ。堂々とついてたから」
言いくるめられたら終わりだというのに、は次の言葉が見つからない。
確かに、彼女は彼の存在に気づいたまま歩いていた。
満足したハスタが体を揺らす。
「ちょ、動かないでよ、こっちまで揺れる!」
「そういえば、オレ何のためにに話しかけたんだっけ?」
「こっちが知りたいんだけど。あたしが寒がってたら、あんたが出てきたの」
「ああ、そうだった、そうだった。どうして寒がってるのか聞こうとしたんだポン」
ぴたりと動きを止め、額を合わせた。
「熱は無いみたいで、安心だりゅん」
「原因は、あんたなんだけど?」
「オレが君に変化をもたらせたのは、素晴らしいことだね。喜ぶところさ」
どこがだ、とは思いつつ目の前にある顔を押しのける。
しかし、彼はまたおでこをくっつけた。
「あ。」
「あ?」
目線が交じった後、ハスタは音を立てて唇を重ねた。
「な、ななな、何やってんのよ!」
が思いきり蹴飛ばして、彼を遠ざける。
蹴られたところを抱えて、ハスタは痛そうに蹲った。
「大変だ。その蹴りは殺生能力ありすぎて、オレ、死ぬかも」
「火で炙っても死にそうにない人が言う台詞じゃないわね」
「よく、オレのことを分かってらっしゃる」
直立不動の姿勢をとり、と向き合う。
「さすがというべきか、運命というべきか、必然というべきか」
「つまり、どうあってもあたし達は繋がっていると言いたいのは伝わった」
自分が何故、そこまでこの男に好かれたのかが分かれば良いのに。
今からでも回避が可能であることをは願った。
「さっきの接吻はオレの中の何かを高ぶらせたんだぷー」
に近づいたハスタは、の首を片手で掴む。
苦しくてが手を離そうとするが、力が入らない。
「もう一回キスしてもいいデスか?いいデスね?」
口の中に入ってきた舌を拒もうとしても、には無理だった。
首が絞められ、口も塞がれてはどうしようもなかった。
そのうち、キスだけに専念するハスタの手が緩む。
「可笑しいな。オレの欲求がどうしてか満たされていく」
彼女を手放したハスタが背を向けて歩き出す。
力が抜けて座り込んだは精一杯叫んだ。
「好き勝手・・・するだけして・・・勝手に・・・帰るな」
「悪いねー、今から仕事行かなきゃいけないのを思い出したのさ。また今度な!」
颯爽と駆け出したハスタを追うこともできず、は倒れた。
somebody, help!
-back stage-
管理人:言動が可笑しいのは、もう見逃してください。チャレンジ精神は褒めて。
ハスタ:それって許してはならないことだと思うんだ、オレ的には。
管理人:誰があんたの言動を読み取れるのかを教えて欲しいところだね、こっちとしては。
ハスタ:オレに何百回・・・いや、何百万回殺されても好きでいてくれる人かもねー。
管理人:絶対にいないだろ、そんな人!ていうか、命が足りんわ、ボケ。
ハスタ:そういう管理人は何でオレなんかを書いたわけ?
管理人:・・・・・・ハスタが好きだからです。
ハスタ:はい、オレの勝ち。だから、君、死んで?
管理人:ひぃぃ、ご勘弁を!!
2008.02.03
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