don't mess with him




 「これで終わりです。インディグネイション!」


ジェイドが敵に容赦なく攻撃を仕掛ける。


 「手加減が欲しかったですか?これは失礼・・・」


終わりを意味する台詞を吐く。
一部始終を見ていたは、ルークに小声で話し掛けた。


 「どうしても気になるんだけどさ」

 「何が?」

 「ジェイドのあの術」


彼は一緒に戦った人達と話し込んでいる。
二人が何を話しているかは、聞いていそうになかった。


 「格好良いとか言いたいんなら、お断りだぜ」

 「私は逆のことを言いたいのよ」


指をパチンと鳴らせば、敵は抹消される。
余裕な顔が作れるほどの実力者でなければ、こんな遊び心丸出しな仕草はできないであろう。
それが羨ましいのかとルークは考えたが、の思考は違っていた。


 「あの指パッチンした時の姿を思い浮べてみて」


言われたとおり、ジェイドが指を鳴らした姿を思い浮べてみる。


 「角度によっては、スカート捲りをしている手つきに見えない?」

 「は?」

 「だから、あの時のポーズだけで考えてみたらの話よ」


唐突に何を言いだすのやら。
しかし、素直にの言うことを想像する。
納得がいき、彼は吹き出した。


 「そう考えたら、アイツ相当ヤバい顔してるな」

 「でしょう?かなり変態さんになるよね」

 「変態さんって、誰が?」

 「うわっ!?」


第三者に二人は飛び上がったが、幸運にも声の主はアニスだった。
ちょうど良いからと、彼女にも話を伝える。


 「それは、もう捕まえてもらわなきゃダメな人だねぇ」


アニスがの奇天烈な見方を喜ぶ。
楽しそうにする三人に注目しない人はいない。
機転を利かせたアニスがジェイドの相手をしている間に、二人はティア達にも話の内容を教えた。
これで、本人以外、全員はインディグネイションをまともに見ることができなくなっていた。









 「どうやら、が原因だということだけは分かりました」


眼鏡の頭に手を添えて、ジェイドは問い詰めていた。
は苦笑いで逃げようと試みる。


 「皆の様子が可笑しいのを、私のせいにしないでほしいな」

 「おや、では違うと?」


そこで言葉に詰まる。嘘など口にすれば、痛い目を見るのは分かり切っていた。


 「ただ、ジェイドはお茶目な人だよね、という話をしただけだよ」

 「本当ですか?」

 「嘘は吐いてません」


ただ、全てを述べてないだけです。
彼女の目を見て、ジェイドは不気味なほど笑顔を浮かべた。
そして、静かに言葉を綴り始めた。


 「天光満つる処我はあり・・・」

 「ちょっと待ってよ、どうして詠唱するわけ!?」

 「ははは、冗談に決まってるじゃないですか」

 「目が本気でしたよ!しかも手加減無しじゃん、インディグネイションだなんて!」

 「これぐらいの冗談、笑って済まして下さい」

 「できるか!」

 「では、全てを語って下さい」


悪魔のような笑みに抵抗できず、は従った。
彼の技をかける仕草が見ようによっては、スカート捲りをしているかのようだと。


 「そういうことでしたか」


すぐに制裁が下されず、はさらに怖がる。
呆れて何も言えないだけなら、まだ良い。
彼は、どうすべきか手を顎に添えて考え中だ。


どんな仕打ちがくるのだろうか。
ごくりと唾を飲み込んだあと、名案が浮かんだジェイドは微笑んだ。


 「の技にも、何か決めポーズを作った方がよろしいかと」

 「決めポーズって・・・ジェイドの指パッチンみたいな?」

 「ええ、そうです。ああ、でもに決め技というものは存在してませんでしたね」


では、勝利のポーズにしましょうか。
の意見を聞く気の無いジェイドが、話を進めた。


 「一昔前に流行したものを取り入れたポーズなんて、面白そうかもしれません」

 「えーと、例えば?」

 「いっそのこと、のキャラを変えてみます?今、流行の『萌え』キャラに」

 「あの、さっきの質問に答えてくれないんですか?」

 「いやぁ、これは楽しそうな実験になりますねぇ」


口答えをする彼女に槍を突きつけて、黙らせる。

これから先、自分がどんな目に合わされるのか怖くなったは誓った。
今後、一切、ジェイドに関することは褒め言葉であっても、口にはしないでおこうと。












-back stage-

管理:月さんから頂いたお題で書いてみたぜ、その2!
ジェ:「御茶目」、ですか・・・これのどこがそうなんです?
管理:ぐっ。ごめんなさい、「御茶目」という意味がいまいち分かってませんで。
ジェ:やれやれ。こんな人に書かせて良かったんでしょうかね。
管理:せ、誠意を受け取ってもらえたら、私はそれで・・・
ジェ:それでは、わざわざお題を頂いた意味がありませんよ。
管理:・・・ま、またよろしければ、書かせて下さいませ。

2007.05.04

ブラウザでお戻り下さいませ