sweet sweet time




 「・・・ちょっと、いいか?」


彼女の返事を聞く前に、ルークは抱きつく。
突然、背中が重くなったことに文句も言わず、は彼の腕に触れた。


 「甘えたくなった?」

 「・・・ん」


を抱きしめていた腕の力が増す。
肩をすくめたがルークの腕をそっと外した。
拒絶されたと感じた彼は、寂しそうな顔をする。


 「ごめん。の都合も考えずに、俺・・・」


は、そんな彼の頭を微笑みながら撫でる。


 「ううん。ここだと人の邪魔になるから、宿屋に戻ろうか」


その手をとって引っ張るが、彼は動かない。
何故か不機嫌そうにしていた。


 「どうしたの?」

 「やっぱ、ここで甘える」

 「ちょっと、ルーク?」


今度は腰に回した腕を離しそうにないルークには困った顔をする。
それが余計に不快で、ルークはにキスをした。


 「ルーク!」

 「俺とがどんだけ仲良いか、皆に見せびらかしてやる」

 「はぁ?」


再び、口が塞がれる。


 「だから、先にどうしたのかを言いなさい!」

 「・・・嫌だ。言ったら、は怒るに決まってる」


まるで子供だ。
いや、彼の場合、本当に子供なのだった。
頭が痛くなり始めたが気持ちを落ち着かせ、ゆっくりと喋る。


 「怒らないよ。ルークが私に対して不満を持ってるなら、聞きたいのは当たり前でしょう?」

 「そう言ったって、絶対に怒る」

 「このままだと、本当に怒るわよ?」


びくりとルークの体が反応する。
を抱きしめる力が弱まった。
さすがに、そこまで不安がっているとは思っていなかったので、は素直に謝る。


 「ねえ、何があったの?」


が彼の体を抱きしめてあげると、ルークは弱々しく吐いた。


 「別に。ただ、を独り占めにしたいって思っただけだよ」

 「・・・独り占め、してないの?」


こうして公衆の前でいちゃつくことが独占だと思うは訊ねる。
そんなに彼はまたキスをした。


 「してるけど・・・ずっと、こうしてられるわけじゃねぇだろ」


常に甘えたがるルークにとっては、これだけでは満たされない。
それでなくとも、彼女の迷惑になりたくて、頻繁に甘えることを抑えていた。
彼なりに頑張っているのだ。


 「いつ、愛想つかれるか分かんねぇし・・・」


最も不安に感じていたことを口にする。
人としてまだ未熟だということは、自分が一番理解していたらしい。


 「やっぱり、まだ7歳の子供なんだ」

 「・・・バカにしてるだろ、それ」


頭を撫でるの手をとり、もう一度キスをする。
必死なルークが愛らしくて、は微笑む。
しかし、それもルークは気に食わない。


 「子供扱いされてる」

 「してない、してない。ほら、お腹空いたし、何か食べに行こう」

 「やっぱり、してる・・・」


拗ねながらも、ルークは大人しく腕を引っ張られて歩く。
そんな様子を見ていた仲間達は、立ち尽くしていた。


 「集合場所でイチャつくのはともかく、あたし達の存在に気づいて欲しいんですけど」

 「まったく、その通りだわ。おかげで出発がまた遅れるじゃない」

 「でも羨ましいですわ。あれだけ仲が良いだなんて」

 「この際、あの二人を置いて出発しましょうか」

 「ジェイド・・・いくらなんでも、それは可哀想だろ」

 「あ、それいいですね、大佐!あの二人なら勝手に仲良く暮らしていけるし」

 「いや、そうじゃないくて!」


いつ戻ってくるか分からない二人。
彼らを本気で置いていきそうな仲間を懸命に引きとめたガイの苦労を二人は気づいていなかった。













-back stage-

管理人:甘えたルークが書きたかったはずなのに、どこかでずれた。
ルーク:いきなり失敗作だといわんばかりだな、おい。
管理人:個人的には、甘えたルークが一部でも書けたから満足。
ルーク:じゃあ、なんで急に俺が子供みたいな扱いに・・・
管理人:んーと。それは、君の性格の問題?
ルーク:・・・・・・。
管理人:お、落ち込むな、ルーク!それが君の魅力・・・あいや、なんでもない。

2008.06.09

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