宣戦布告です!





 「マサル!」

 「うわっ!?」


ある日の放課後。
マサルは、いつものように学校が終われば、DATSに直行する。
今日もそうであった。


しかし、DATSにたどり着き、足を止めた時。
突如、マサルは後ろから誰かに抱きつかれた。


 「なんだ、か。ていうか、何でここにいるんだ?」


振り向いて姿を確認すれば、自分の恋人が笑顔で立っていた。
その笑みに裏があると感じたマサルは、聞いてみる。


 「まさか、お前」

 「マサルの後を追ってきた」


今まで後をつけられていたとは思っていなかったマサルは、驚く。
それと同時に、どうやってを家に帰すか悩んだ。


何しろ、ここはDATS。
デジモンの事など知らない彼女が来る事は、許されないはずだ。


どうしたものかと頭を抱えていると、彼が今一番会いたくなかったヨシノとトーマが出てきた。
この二人が出てくると、余計に話がややこしくなる。
目線を合わせないように背を向けてみたが、ヨシノがマサルの後姿を発見した。


 「やっと来たのね!まったく、いつも来るのが遅いんだから。迎えに行こうとしたのよ?」


ヨシノの発言に、思わず喧嘩腰になったマサルは振り返った。


 「しょうがねぇだろ。学校なんだから」

 「それで、少しでも馬鹿が直れば、いいんだがな」

 「んだとぉ!?」


また喧嘩、とヨシノが頭を抱えたが、マサルの後ろに立つ少女の存在に気付いた。
トーマは始めから気付いていたらしく、マサルの言う事を無視して、質問する。


 「それで、この女は何だ」

 「へ?あ、ああ。こいつは、えっと・・・」


マサルは、俺の彼女、と言おうとして口を塞いだ。
そんな事でも言えば、二人は口を揃えて、こんな所に彼女を連れ込むな、と怒鳴るだろう。
ありきたりな答えを思いつくと、笑みを引きつらせながら続けた。


 「ま、迷子だよ!駅がどこか分からないって言うからさ、ちょっと俺送って」

 「。マサルの彼女よ」


彼の能をフル回転させた答えを言い終える前に、に邪魔される。
マサルは、彼女を怒鳴った。


 「バカ!それを言うな!」

 「なんでよ?事実じゃない」

 「そりゃそうだけど、こいつらにそれを言ったら」


ハッとして、彼が二人の方を見る。
やはり、彼らの目は、信じられないと訴えていた。


 「まさか、ここまで馬鹿だったとは、あたしも思わなかったわ」

 「一般市民を巻き込むな」

 「好きで連れてきたわけじゃねーって!」


弁解してみるが、効果は無い。
その間、が思考をめぐらす。


 「この人達には、私の事を秘密にするって、まさか」


だが、三人は、彼女の呟いた言葉に耳を傾けていなかった。


 「マサル!浮気してるなら、はっきりと、そう言って!」


がマサルの胸倉を掴んで叫ぶまでは。


 「はぁ?お前、何言って」

 「とぼけないで!それ以外に、私の事を秘密にする理由がないじゃない!」


下から真っ直ぐにマサルの目を見つめるに、彼は何と答えたらいいのか分からなかった。
それが、ますます不信感を抱かせたのか、彼女はヨシノを指差す。


 「あの人と付き合ってるの?」

 「ありえねぇ(ない)!」


マサルとヨシノの声が重なる。
それならば、と今度はトーマを指した。


 「金髪美少年との禁断の愛?」

 「絶対ない!」


マサルとトーマが声をそろえる。
しかし、トーマはが自分の事を美少年と称した事が満更でもなかったようだ。


 「もういい。早く彼女を家まで送っていけ」


声のトーンが、少しばかり和らいでいた。
やけに優しいトーマに恐れつつ、マサルは感謝した。


 「ほら、帰るぞ、

 「浮気してない?」

 「してねぇってば!」

 「本当に?」

 「当たり前だろ。俺が好きなのは、だけだ」


マサルは、照れた顔を隠すようにに背を向ける。
その言葉では許したが、彼の腕を引っ張って正面を向くようにした。


突然、腕を引っ張られ、マサルは体のバランスを崩す。
彼の顔が、と同じ高さに位置すると、は中学生とは思えない熱い口づけを交わした。


ヨシノとトーマは、それを目の当たりにして固まってしまう。
だが、それ以上に固まっていたのは、マサルだった。


荒々しくキスをし終えると、は二人に向かって言った。


 「マサルは、私のだからね」


それだけ言うと、は一人で来た道を帰って行く。
彼女の姿が見えなくなり、最初にトーマが口を開いた。


 「女にリードされるとは、無様だな」

 「普段は、俺からしてる!」


赤かった顔が、さらに赤くなる。
トーマは、彼のその発言に衝撃を受けた。


 「普段は、て。アナタ、まさか何時もあんなキスしてるわけ?中学生で?」

 「な、悪いのかよ!」


ヨシノの驚きに、マサルの顔はまた赤くなる。
恥かしさのあまり、逃げたくなったマサルは駆け足でDATS内に入った。


その様子を見たヨシノは、彼をからかって遊ぶネタができたと少し喜んだ。
ふと、トーマはどう思ったのか聞いてみようと彼女がトーマを見てみた。

彼は項垂れているだけ。
やはり彼らの行動に呆れて疲れているんだ、と勝手に解釈して彼女もDATS内に入った。




 「まさか、マサルに負けるなんて・・・」


彼にとって、マサルとのキスは、刺激的だったのか。
はたまた、自分がまだあのような熱烈なキスをしたことがないのか。

ぽつりと零れ出た彼の言葉が聞こえなかったヨシノは、知るよしも無かった。








-back stage-

管理人:書いちゃったの、セイバーズ夢!
マサル:結局、何が書きたかったんだ?
管理人:照れるマサルと、墓穴を掘るマサル。
マサル:どっちにしろ、苛められてる気がする・・・
管理人:やっぱ、トーマは、恋愛におくてだと思うんだ!
マサル:話を変えるなよ!

2006.05.30

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