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珍しい人物がバカサイユに来た。


 「翼様。さんに真田先生がお見えですが、お通ししてもよろしいでしょうか?」


これにはB6の誰もが驚かされた。
清春ですら、悪戯の仕掛けの準備を止めて、考え込んだほどである。
わざわざこんな所まで何をしにきたのか、と。


 「どうする、?会いたくないなら、永田に追い出させるが」

 「構わないよ。サナちゃんがどうして来たのか、私も知りたいし」


本人の了承を得たことで、真田は部屋の中へ通された。
ソファから身を乗り出したが手を振る。


 「サナちゃん、珍しいね。バカサイユまで来るなんて」

 「……さ。そのあだ名は、さすがに可愛すぎて嫌なんだけど」

 「サナちゃんだから、仕方ない。それで、用は?」


会うたびに真田の意見を無視されることに慣れてしまい、彼は仕方なく本題に入った。


 「授業のあとに渡そうと思ったらタイミングが合わなかったから、放課後になっちゃったけど」


ポケットから何かを取り出し、に渡した。
周りにいるB6も興味津々で近寄ってくる。


 「パンダの小さいぬいぐるみだ」

 「この間、が欲しいって言ってたろ?それ、余ってたし、ちょうどいいかなって」


目の前で頬をほころばせるを見れて、真田は照れ笑いをする。
しかし、そこで面白く思わなかった清春が介入してきた。
の肩を抱き、真田を睨む。


 「でもよォ、それっていけねェことだろ?教師が生徒に物を贈るってのは」

 「そ、そんなこと……」

 「下手したら、保護者とかから文句が来るかもしんねぇのに?『なんて不埒な教師がいるの!』なんてなァ!」


ククッと意地悪く笑う彼を黙らせたのは真田ではなく、だった。


 「なに言ってんの、キヨ。それなら、キヨだって悠里ねぇにお菓子買わせてるよね?」

 「アーン?……そういえば、そうだったな。俺としたことが迂闊だったぜ」


がいなければ、『ンなもん、関係ねェぜ!』と清春は無茶振りを発揮していただろう。
彼は失敗を誤魔化すために、の口に今日のおやつであるシュークリームを突っ込んだ。
その間に、起きた瑞希がボソリと単語を口にする。


 「……迷路」

 「もしかして、賄賂って言いたかったのか?てか、賄賂じゃねえし」

 「……恋路」

 「俺の恋が実らないってことを言いたかったのか、お前!」


瑞希がニヤリと笑う。
どうやら、そういう意味だったようだ。


 「確かに、サナちゃんてば、悠里ねぇと普通に接することすらできないもんね。大変そう」


清春の腕の中でシュークリームを食べながら、は会話に戻る。
だが、彼女は肝心なところに気がついていなかった。


 「いや、俺が恋してるのは南先生じゃなくて……」

 「おいおい、笑わせんなよ、。カスタードが口の端についてるぜ」

 「へ?どこどこ?」


真田が言おうとしたことを清春が遮る。
注意が自分に向けられてから、彼はの口の端を舐めた。


 「あーーーーーーーー!!」

 「キシシシ。隙だらけだなァ?」

 「は、恥ずかしいことしないでよ、キヨ……心臓止まった気がする」

 「……ずるい」


瑞希が反対側の口の端を舐める。
の顔は、もう限界まで真っ赤になっていた。


 「み、瑞希まで!?」

 「……こっちにもついてたから……」

 「お、お前ら、何やってんだよ!」


彼女に負けないほど顔が赤い真田が怒鳴る。
それを聞いた清春と瑞希は、に密着して答えた。


 「なにって……イチャイチャ〜?」

 「……いちゃいちゃ……」

 「だー!離れろ!お前ら、に近づくな!」











慌ただしくなった彼らの様子を見ている四人は四人で、楽しそうにしていた。


 「清春がを奪う可能性は十分に高いぞ」


翼が予想をすると、瞬が真剣な顔で返す。


 「いいや、瑞希がいつのまにかを手にしている。というより、仙道が負ければ誰でもいい」

 「えー?もしかしたら、マサちゃんが格好良くなって、とくっついちゃうかもよ〜!」


可能性が低い方へもっていく悟郎だが、一はそれを上回った。


 「意外性で、トゲーだったりしてな」

 「それはない」


三人が同時につっこんでいる間も、を巻き込んだ言い合いは続いていた。













- back stage -

管理:清春vs瑞希を書こうとしたら、共同戦線になってしまった。
真田:それで俺が日を浴びないのは、理不尽だー!
管理:なに言ってるの、それが子犬の役割でしょう。
真田:そんなの、俺のなりたい俺じゃねー!
清春:うるせェな。いい加減、黙って諦めてろ。
瑞希:……無駄な抵抗……
真田:お前ら、全員大ッ嫌いだー!!

2008.05.17

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