wanna play?
いつものバイト先で、グラスを磨く。
今夜は客の数が少なかった。
ここまで暇だと、日常生活も退屈だよなぁ。
何でか、最近はルルーシュが付き合いが悪くなって、日中にする事が減っちまった。
また前みたいに刺激的なことがしたかったのに、今じゃ平穏に暮らしてる。
・・・まあ、ここで働いてる時点で、まだスリルを味わってはいられるんだけどね。
カラン、と店の扉に付いてるベルが鳴った。
誰かが入ってきたらしい。
常連さんかな?それとも、通りすがり?
「いらっしゃいませ」
目の前のカウンター席に腰を下ろした女に声をかける。
帽子とマフラーで顔を隠すようにしているあたり、あまり関わらない方が良さそうだ。
厄介な事に巻き込まれてる雰囲気のある客は、早急に追い出すのが一番良い。
注文を聞けば、透き通るような声でノンアルコールのカクテルを頼んできた。
「お客さん、アルコールは苦手ですか?」
ただ接待する為にふった質問。
相手は、答えなかった。
放っておいて欲しい、ていうことかな?
グラスを客の前に差し出すと、小さな声で返事がきた。
「苦いから、好きじゃないの」
だったら、どうしてここに居るんだか。
ここは、お酒を飲むところですよ?
「気分転換・・・少し、刺激が欲しくって」
ああ、俺と一緒だ。
思わず口に出してしまう。
だけど、それは相手を安心させたのか、初めて女は顔を上げた。
「私と一緒か。案外、気が合いそうね、リヴァル・カルデモンド」
初対面のはずなのに、フルネームで呼ばれて驚いてしまった。
おかげで、目を細めながらカクテルの金を置いて帰ってしまうのを止められなかった。
・・・誰だ、あの人?
答えは、次の日に分かった。
その女が自ら俺に会いに来たからだ。
なるほど、これなら俺の名前を知ってても可笑しくはない。
「昨夜は、どうも。リヴァル・カルデモンド」
「まさか同じ学園の生徒だったとはねぇ。君、結構、危ないことしてるよ?」
「貴方も危険なことしてるのに?」
教室にまで来てくれた彼女を生徒会室に連れ込む。
今は授業中だから、誰も来ないはずだ。
彼女の名前がという事を聞いてから、当たり前な質問をぶつけた。
「どうして、あんな所に行ったわけ?」
「それは、もう説明したはずよ。刺激が欲しかったの」
刺激、ねぇ。
この子みたいに、ただの可愛いお嬢様なら、門限を破るだけで冒険だと思うけど。
ちょっと、危ない道を辿ってるよな。
「それであの店に行ったら、俺に会ったっていうわけか」
「ビックリしたわ。まさか、生徒会員が働いてるとは思わなかったもの」
ちょっとを茶化して、俺は一礼をする。
「またのお越しをお待ちしております、お客様」
「あら、また行ってもいいわけ?」
「できれば、遠慮して欲しいね」
冗談を本気にとらえたがる彼女を抑制する。
あんな場所、この学園に通うお嬢様には相応しくない。
すると、は寂しそうな笑みを見せた。
少し。ほんの少しだけ、可哀相な気がした。
「残念。せっかく、楽しめそうな事ができると思ったのに」
「男と恋愛するのも、十分に楽しいことだと思うよ?」
「意味の無い付き合いをする気は、ないから」
ああ、そうだった。
この学園に通う生徒が皆、自由に恋愛できるわけじゃない。
は、親の用意する人生を送る運命に生まれてきたらしい。
「そんなの、分かんないだろ。昨日は、あんな所に行けたんだ。恋するぐらい、何ともないって」
捻じ曲げちまえよ、そんな人生。
笑いかければ、も嬉しそうに笑ってくれた。
「あ、だからって、またあんな店には行くなよ、危ないから」
「分かった、分かった。リヴァルがいない時は行かないようにする」
「だから、来るなって言ってんだろ」
口を尖らせて注意をすると、今度は声に出して笑われる。
こっちは心配して言ってやってんのに。
腹いせに、のほっぺたを引っ張ってやった。
「いひゃいよ、りふぁる」
「人生に刺激が欲しいなら、俺が与えるから。危険なことは、するな」
俺が人に言えたことじゃないけど。
まあ、お嬢様相手なら、バイクに乗せてスピード違反するだけでも喜んでくれるだろ。
「とりあえず、今日は一日授業をサボってみるか?」
何でかな。
が危険なことに首をつっこむのは、俺には関係ないはずなのに。
ちょっとでも誤った道を進ませないように気をつけたいと思うのは。
俺だって、そこまで危険なことはしたこと無いんだけどな。
まあ、他に楽しそうなことも無いし。
しばらくは、この子に付き合ってみるのも、悪くないかも?
-back stage-
管理:リヴァルが好きすぎて、とりあえず書いた。
リヴ:てことは、何か書きたくて書いたわけじゃないってことか?
管理:大正解。
リヴ:それで俺が好きって、よく言えるな。
管理:大好きだよー。今度はネタがあった時に書くよ。
リヴ:そうした方が、話がまとまって良いと思うわ。
2007.02.03
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