リヴァルが、寂しい寂しいって言うから、遊んであげたのに。
どうして、こんな目にあうんだか。
勝手にしたら?
貴重な週末を使って、リヴァルの為にクロヴィスランドに来ている。
はたから見れば、若者が青春の一ページを送っている光景に見えることだろう。
そんな関係では、全く無いのだけど。
生徒会の皆が最近相手にしてくれない、とへこんでた彼を元気付ける為に付き合ってるだけ。
ただの友達である。
「次は、あれに乗ろうぜ!」
「えぇ?また絶叫系に乗るの?」
「別にいいだろ、同じやつじゃないんだから」
基礎体力もあるか怪しい私の心配なんて、してくれてない。
彼の一番愛らしいと思える、拗ねた表情を浮かべたリヴァルが手を合わせて頼み込んできた。
「お願い!これ乗ったら、休憩いれるから!」
「奢ってくれる?」
「何でも奢ります」
「男に二言は無いね?」
「無い!」
言い切ったリヴァルの言葉を信じることにして、私はもう一つだけアトラクションに乗ることとした。
「気持ち悪い」
私の限界は、予想より早かった。
あと一つだけと思って許してしまったのが、いけなかった。
カフェに入った私は、テーブルにうつ伏せた。
「どう、気分は?」
「良くない」
「ごめん。俺、が絶叫系に弱いって知らなくて」
「言ってないからね」
リヴァルが買ってくれた飲み物を口にするけど、体が受けつけない。
またテーブルに頭を置くと、見ずとも心配そうにしてる雰囲気を漂っていたのに気づかされた。
「ちょっと休んだら回復するから。リヴァルは、次にどこ行きたいか考えておいて」
ついついリヴァルを甘やかしてるのは、何でだろう。
全部、自分が悪いって顔をされるのが嫌だからかな。
そこまで人に優しかったっけ、私?
「には、いつも俺が迷惑かけてるよな」
「自覚してるなら、甘えないの」
顔を上げれば、頭を抱えたリヴァルの姿が目に映る。
その頭を軽く叩いて、こっちを見るようにさせた。
「男に二言は無い、よね?」
「あ、ああ」
「良し。なら、お土産、買ってきて」
「へ?」
「お土産よ、お土産。家族に頼まれたの。あと、生徒会の皆にもあげたいし」
「全部、俺が買うのか!?」
「バイトしてるんだから、ちょっとは余裕あるでしょ」
男に二言は無い。
再びそれを口にすれば、リヴァルは黙ってカフェを出て行った。
これで、少し休める。
頭を横にして、壁にかけられた絵を眺める。
遊園地の名前が『クロヴィス』なだけに、飾られている絵は全て殿下の作品だそうな。
だけど、その絵の豊かさを見ていたら気分が悪化したように思えた。
何も見ずに目を休めたほうが良いらしい。
リヴァルが帰ってくるまでに回復しなければ。
さっきとは周囲の様子が変わった気がして、目を開けた。
人の流れが変わっている。
どれだけ時間が経っていたのかと思い、起き上がるとリヴァルが頬杖をついて私をじっと見ていた。
「おかえり」
「おはよう」
お互いの声が変に重なる。
「今、なんて?」
「おはようって言ったんだよ。お前、寝すぎ」
携帯で時間を見せてくれたリヴァルの手を、思わず掴んでしまう。
リヴァルと一旦別れてから、二時間も経っていた。
「ご、ごめん。えと、他のも乗りに行こうか」
「無理すんなよ。そりゃまあ、人に土産買わせておいて寝てたのはムカついたけど」
「ごめん」
「あ、別に責めてるわけじゃなくて。俺、本当にを振り回してたんだなぁと思ってさ」
頬を指で掻いたリヴァルが急に頭を下げた。
「ごめんな!」
こんな素直に謝られたら、私の方が悪い感じがするじゃない。
居心地が悪くなって、その場を離れるしかなかった。
言葉を返さない私を怒っていると思っているのか、リヴァルは買い物袋を抱えて後をついてくる。
声をかければいいのに、黙って私の機嫌を伺っていた。
さすがに、これはやりすぎかな。
そう思った私が振り返ると、リヴァルが私を見ていないことが判明した。
その視線の先にいたのは、どこぞの巨乳の女性。
言わずとも、胸を見て喜んでいるのが表情から読み取れた。
やっぱり、貴重な週末をリヴァルのために使うんじゃなかった。
お土産の入った袋だけ奪い取って、私は遊園地を出た。
その後は、しばらく生徒会に事情を話して、さらにリヴァルを孤立させてやった。
ざまあみろ、と悪い言葉を使って、私はストレスを発散させたのである。
-back stage-
管理:とりあえず、リヴァルへの愛を形にしたかったパート2。
リヴ:またかよ!
管理:今度は、仕入れたネタもちょろっと使用して書いてみたの。
リヴ:ああ、俺の巨乳好きってやつ?
管理:おうよ。あと、誰でもいいからクロヴィスランドに行く話も書きたかったの。
リヴ:ちなみに、殿下の絵が飾られてるっていうのは・・・
管理:想像。妄想。そうであったら良いな、ていうか、そうでしょ。
リヴ:勝手に決めるな、ここで。
2007.02.13
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