ブリタニアと黒の騎士団が、とうとう近くまで迫っていた。
一般市民は万が一の為に、安全な場所へ避難していた。
しかし、戦場が近ければ、どこにいても危険なのだ。


遠くない場所で聞こえる爆撃音。
物が壊されていく音。
人々の悲鳴。


 「!」


そんな状態に巻き込まれた人が、大切な人と最期を迎えられるのは、稀なこと。





I'm glad







 「きゃああ!」


まだ爆撃が遠いとはいえ、建物が揺れる。
生徒会のメンバー数人と一緒に避難しているも、悲鳴を上げられずにはいられなかった。


 「落ち着いて、。ここは、大丈夫だから」


自分も怖いであろうに、ミレイがを励ます。
まだ幼いナナリーも心を強くしていた。


 「そうですよ、さん。私達がついてますから」


ナナリーを守るように抱いていたシャーリーが、の手を掴む。
その暖かさに落ち着きを取り戻したが礼を述べた。
気にするな、と最初に口を開いたのは、この中で唯一の男であるリヴァルだ。


 「まあ、この俺がいるわけだし?いざとなったら、皆を守ってやるさ」

 「お、格好良いこと言うわねえ。口だけじゃなかったら、良いんだけど?」

 「会長。そこでそんな事、言う?」


日常的な二人の会話を聞いて、また場が和む。
だが、それも束の間。
次の爆撃音は、予想より遥かに早く近づいていた。


 「ここを出た方が良いかもしれないわね。地下に行きましょう」

 「地下?」

 「非常用に地下室があるの。そこなら食料もあるし、安全だと思うわ」


車椅子があっては邪魔になるだろうからと言って、ミレイはリヴァルにナナリーを背負うよう命ずる。
シャーリーとも互いに励ましあうように手を繋ぐのを確認してから、ミレイは声をかけた。


 「さ、行くわよ」


しかし、それも爆撃音で消された。
外した攻撃が、建物に直撃する。
瓦礫がの頭上に落ちてきた。


 「!」


誰が叫んだのか、分からない。
が分かったのは、目を開けた時に自分が死んでいないという事だけだった。
徐々に意識がハッキリしてきたは、仰向けになった体の上に重みを感じる。
目を移せば、そこには頭から血を流しているリヴァルが被さっていた。


 「リ、リヴァル!」


混乱するも、彼が無事か確かめようと体を動かす。
だが、彼女はどこからか激痛が走り、顔を顰めた。
よく見てみれば、自分の足が瓦礫に埋もれている。
リヴァルの下半身もその中に隠れていた。


 「へ、平気、平気・・・これぐらい、なんてことないって」


弱々しい声での叫び声に答える。
誰が見たって、大丈夫には見えなかった。


 「馬鹿!ナナリーを背負ってたくせに、何であたしを助けるのよ!」

 「ああ、そっか。あとで、ナナリーに謝っておかなきゃな」


乱暴に落としちゃっただろうなあ。
こんな状態だというのに、苦笑するリヴァルにが怒鳴る。


 「だから!あたしのこと放って行けば良かったんだってば!」


すると、辛いだろうに、彼は体を少し起こし、少しでも近くでの顔を見れるようにした


 「言ったっしょ、いざとなったら守るって」


いつも安心させてくれる、その笑みに力はない。
は、痛々しい姿になっても励ましてくれる彼に涙を流した。


 「あー、泣くなよ。俺、なんか変なこと言った?」


汚れた冷たい手が、彼女の頬に伝う涙を拭う。


外から聞こえる爆発音が多くなってきた。
二人は、口にせずとも終わりが近づいてきていることを悟った。


 「ったく、こういう時にルルーシュはどこ行ってんだか」

 「本当よね、シスコンなわりには、ナナリーを守ってないんだから」

 「スザクもスザクだって。早くこの戦いを終わらせろよな」

 「私達を守るのが、軍人の役目でしょうが」


死ぬとなると、愚痴も零したくなる。
とにかく思いついたことを全て吐き出した後、リヴァルはもう一度笑った。


 「俺、と一緒で良かった」


爆撃の音が近くなっている。
お互いに、体の痛みを感じなくなっていた。


 「あたしもだよ」


が言い終わるかどうか微妙な時、二人の居た場所はさらに崩壊した。












-back stage-

管理人:うぎゃあ、死なせちゃった。
リヴァ:何でまた死ネタになったんだよ?
管理人:だって山々DXで福山さんがリヴァル格好良いって言うからー。
リヴァ:ああ、24話のことね。
管理人:話の流れ的に、リヴァルが生徒会の皆を守るのかなぁと思ってて。
リヴァ:そしたら、変な方向に妄想が広がっていったわけか。
管理人:死なんといてな、リヴァルー!

2005.05.19

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