※読む前の注意※
この作品は、黒月さんが生んだ、ジェイドのレプリカが相手の夢小説です。
先にレプリカジェイドがどのようなキャラかを知った方が分かりやすいでしょうから、
当サイトのメニュー「escape」から、『恋するトマト亭』へ赴いてからどうぞ。

気にしないぜ!、知ってるから読むわ、という方は、このまま下へ行って下さいな。
ありがたいことに、黒月さんが描いて下さった挿絵もありますの。


























how to treat



「あああ・・・またやっちゃった・・・」


地面に落ちて潰れているトマトを見て、は項垂れた。
そんな彼女の前に、熟したトマトを渡す者が。


「大丈夫ですか?」

「ジェイド・・・ごめん、1個じゃ足りないの」


ジェイドと呼ばれた男は無表情のまま、自分の買い物袋からトマトを取り出す。


「残念ながら、私は3個しか持っていません。それでもよければ、どうぞ」


普通ならば、彼の厚意に感謝するだけで終わるはずである。
だが、はバイト先の買い物を無駄にしてしまったため、そんな余裕はなかった。
他人からすれば酷い扱いをされていると思われても仕方ないのに、彼は嫌な顔をしない。


「3個・・・半分か。どうしよう、やっぱ怒られるよね・・・」

「今なら、まだお店は開いてますから、買いにいけますよ」

「ダメ。あたし、お金持ってない」


本当に危機的状況に陥っているのだろう。
涙目なは、もはや彼の優しさになど気が向かない。


「私が出します。それで間に合いますか?」

「・・・神様!」


飛びついたに押し倒されそうになるのを彼は踏ん張る。
どうすべきか悩んでいると、が先に動いたので、ジェイドはそれについていった。









「ジェイドって、便利だったのね」


先ほどの落ち込みようは何処にいったのか。
すっかり元気になったは、ジェイドが持ってくれている荷物を見て呟いた。
それを聞いた彼は問い返す。



「便利、ですか?」

「トマト3個買うだけでどうして、レタス一玉、ほうれん草2束、それにサラダ菜まで無料でつくの?」

「もっと食べてもっと育ちなさいと、よく言われます」

「・・・何歳だったっけ、あなた?」

「一応、30は超えてます」


オリジナルは、と思ってしまった彼の表情が僅かに暗くなる。
はそのことを見逃さず、すかさず口を開こうと――。


「うわわ!?」


突然、走り出した子供がにぶつかる。
注意していなかったは、子供に敷かれる状態で倒れた。


「大丈夫ですか?」


彼は荷物を置き、子供を立ち上がらせる。
は子供が無事だと分かると、子供を行かせた。
しかし、彼女はまだ立ち上がらなかった。


「ジェイド。悪いんだけど、そのトマト、あたしのバイト先に置いて行ってくれない?」


苦笑いする彼女の言葉の意味が理解できず、彼は無言で見つめる。


「ちょ、ちょっと、今立ち上がることができないから、先に行って欲しいだけだから」


少し考えてから、彼は駆け足で荷物を持ち去る。
その姿が見えなくなってから、は足首を擦った。


「痛い、かもなぁ・・・」


なんとか腕だけで立ち上がろうとするも、失敗する。
どうすべきか途方に暮れていると、使いを頼んでいた彼はすぐに帰ってきた。


「もしかして、足を挫きました?」

「え?あれ、なんでこんなに早く帰ってきたの?」

の様子が可笑しかったので、通行人に荷物を運ぶよう頼みました」


の足を見てから、彼は彼女を抱き上げる。
急なことに驚き、は喚く。

「な、なにしてんの、ジェイド!?」

「女性が動けない時は、お姫様抱っこが基本だと教えられています」

「・・・それで、どこに連れて行こうとしてるわけ?」

が休憩できる所にです」


お姫様抱っこはともかく、まともな答えが返ってきたことには安堵する。
恐らく、近くのベンチにでも座らせてくれるのだろう。



「女性と休憩する時は邪魔が入らない、二人きりになれる密室に連れて行くようにと言われました」

「それ、絶対に活用する時が限定されてるって!てか、誰よ、そんなことを教えたの!」


真っ赤になって怒鳴るの反応が不思議なのか、彼は真顔で訊ねる。


「活用する時が限定されるならば、どのような時に活用するべきなのでしょうか?」

「そ、そんなの、あたしの口から言えるわけないでしょ!」

「女性に聞いてはいけない、ということですね。分かりました。今度、ガイに聞きます」


いきなり質問される男友達が飛び上がるほどに驚かないことをは願った。
そして、あまりにも分かっていない彼が勘違いする前に、彼女は指示する。


「とりあえず、そこらへんのベンチで休ませて。それから、医者を呼んでくれたら良いから」

「それは、私が教えられたことに反してしまいますが」

「あたしがそれでいいって言ってるんだから、それでいいの!」


どこまで感覚がずれているのだろうか。
律儀すぎるにもほどがある。
だが、これで精神的な危険は回避できただろうと気を抜いたは思わぬことを耳にした。


の言いたいことは分かりましたが、教えは守らなければならないので」

「・・・え?」


は宿屋へと歩む彼に恐る恐る、確認をとった。


「まさか、『宿で休んでいる連れが動けないので診て下さい』だなんて医者に言わないよね?」

「そのつもりですよ」

「・・・止めて。お願いだから、それは違う誤解を招きそうだから。もう直接、医者に行こう!」

「医者に行きたいくらい足が痛かったなら、もっと早く言って下さい」



そういうわけではないが、その方が面倒が少なそうに思えて、は黙って彼に身を預けた。














- back stage -

管理人:黒月さん宅にいる、ジェイドのレプリカを相手にした夢小説です。
レプジェ:彼女には挿絵を描いて頂きました。ありがとうございました。
管理人:・・・やっぱ違うなぁ、オリジナルと。
レプジェ:そこまで違うものでしょうか?
管理人:違うね。ああ、違うよ。君の方が一般人には優しいキャラだ。
レプジェ:意味がよく分かりません。
管理人:分からなくていいよ。

2008.05.11

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