「だーれだ!」


黒の騎士団本部内で、明るい声が響いた。






甘え






 「だろう」

 「大正解!」


嬉しそうに接してくるを藤堂は怪訝に思う。
仮にも、今は会議中だ。
緊迫した空気だというのに、この女は理解しているのだろうか。


 「藤堂さんてば、眉間に皺寄せすぎだよ?もっと力抜かなきゃ、良い案も浮かばないって」


朝比奈がに何かを言おうとする前に、ゼロが口を開いた。


 「。私はお前を会議に参加させた記憶が無いが?」

 「無くて当たり前でしょ、ゼロ。だって、勝手に入って来たんだから」


藤堂の目を塞いでいたは、何の躊躇いもなく彼に抱きつく。
会議の邪魔をしたことに対して、反省の色は見えなかった。


 「藤堂。次からは、勝手な行動を起こさないように注意しておけ」

 「おい、ゼロ!悪いのは藤堂さんじゃなくて、だろう!」

 「何よ。大好きな藤堂さんと一緒にいたいと思うのが、どう悪いって言うわけ、省悟!」

 「二人とも、静かにせんか。これじゃ会議が終わらんぞ」

 「二人とも、落ち着いて。あとでゆっくり話し合おう、な?」

 「何でもいいから、藤堂さんに迷惑をかけないで欲しい」


ゼロが話を進めようとした途端、と四聖剣が騒がしくなる。
会議が終わらないと、ディートトは疲れた表情を見せた。
そのような顔、ゼロが一番したい気分だというのに。
ゼロは藤堂を見るが、彼は目を瞑ってその場にいるだけだった。













 「ホント、嫌になっちゃうなぁ、省悟ったら」


結局、会議は終わらずにお開きになった。
解散した彼らは、適当に散らばる。
は藤堂の腕を離さず、並んで歩いていた。


 「ねえ、藤堂さん。気分転換にデートしよう!」

 「今は外には出られないぞ?」

 「うん。藤堂さんの部屋で、のんびりしようってことだよ」


抱きしめていた腕をそのまま引っ張り、は意気揚々と部屋へ向かう。
だが、藤堂の体は微動だにしなかった。


 「藤堂さん?」


乗り気でない表情を浮かべる藤堂をは待つ。
そうでもしなければ、彼は思っている事を言ってくれないのだ。


 「は、行動が積極的だと常に言っているが・・・」

 「が?」


言うべきかどうか思い止まる藤堂を後押しする。
渋々、藤堂は言いたいことを終わらせた。


 「呼び名が名字のままだ」


ピンとこなかったが少し考え込む。
ああ、とようやく理解できた彼女は藤堂の腰に腕を回した。


 「ごめんね、鏡志朗さん。未来の妻となる私がわざわざ名字で呼ぶ必要なかったや」

 「・・・そこまで厚かましくなられると、逆に引いてしまうな」

 「もっと、おしとやかに言った方が良かった?」

 「言い方の問題ではない」


飽きれた藤堂の手をが引っ張れば、今度は歩いてくれる。
問題は解決したらしい。


 「部屋で思いきり甘えようっと」


笑顔なにつられ、藤堂もまた小さく微笑んでいた。



















- back stage -

管理:私の中での藤堂って、かなり無口なので喋らすのに困りました。
藤堂:そこまで喋っていなかったか?
管理:元々、必要なこと以外喋らない+あまり表情に出ないタイプだと思うんで。
藤堂:それと、成すがままな関係というのもどうかと思うが。
管理:何も言わないわりには、ある程度親密になったら、甘えを許してしまうタイプとも思うんで。
藤堂:最終的には、何が言いたい?
管理:藤堂に甘えれるって、良いよね。あと、藤堂も藤堂なりに甘えてくれるって、良いよね。

2008.11.17

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