「なにって……翼たちのクラスの宣伝?」


サナちゃんは、いつもからかうと怒る。
だけど、そういう時の怒りと今日のは違った。
可愛いだなんて、悠長なことを言えない雰囲気だ。


「へ?あ、あー……その格好は、そういうことか……て、そうじゃなくて!」


私が普通に返答するから、一瞬、気が抜けてる。
そのまま流されて良かったのに。


「危ないだろ、こんな日に一人で歩き回ってたら!さっきみたいに、B6を妬む生徒がいるんだからさ」

「大丈夫だよ。サナちゃん、助けに来てくれたじゃん」

「俺がいなかったら、危なかったでしょ!」


サナちゃんは、まだ引き下がらない。
そりゃ、私も祭り騒ぎに乗じて、危険な目にあう可能性がないとは思ってなかったけど。
結果的に助かったんだから、それでいいと思う。


「どうしたら、機嫌を直してくれる?」

「だから、そういう問題じゃないってば!」


分かってるけど、これ以上、終わったことで話したくないんだもん。
ふと、さっきやった遊びを思い出して、私は背中で手を握った。


「いいじゃない、終わったことは。だから、二人っきりの時間を楽しもうよ、ご主人様?」

「……ご、ご主人様!?」

「そうだよ、ご主人様。あなたのだよ?」


やっぱり、サナちゃんはサナちゃんだ。
一気に赤くなった顔を見て、安心した。
さっきまでのサナちゃんは少し男らしかったから。


「ご主人様が私をこんな誰もいない密室に連れてきたには、理由があったんじゃないの?」

「誰もいない……密室!?」


無意識にこの教室を選んだだけだった様子のサナちゃんが慌てる。
面白いから、もっと遊んでみよう。


「ほら、命令して?ご主人様」


一歩、また一歩と近づく。
今になって、事の大きさに気づいたサナちゃんが後ずさる。
その途中で彼の体が後ろに傾いた。


「うわ!?」

「ひゃ!?」


こけそうになったサナちゃんが私の腕を掴むけど、こっちもバランスを崩して倒れる。
下敷きになったのはサナちゃんの方なのに、彼は慌ただしくも私を起こしてくれた。


「だ、大丈夫、!?」

「ご主人様……大胆だね……」


急接近のチャンスも逃さない。
サナちゃんの服を掴んで、どこにも逃げられないようにする。
案の定、逃げようとしていたサナちゃんは、動けなくなって困ってる。


……その、俺は……俺は……」

「私はご主人様のものよ、ご主人様」


ゆっくりと顔を近づけていく。
目を瞑ったサナちゃんの期待に反して頬にキスしようとした時、遊びは終わってしまった。


!無事か!?」


私が一人になったのを悟郎から聞いて、探してくれたんだろう。
一が資料室に入ってきた。


「おかげさまで無事だよ。今、ちょうどサナちゃんと遊んでたところ」

「……あ、遊んでた……?」

「あー……そうみたいだな。サンキュ、真田先生。ほら、戻って着替えるぞ、


呼ばれたから、一の側に行く。
だけど、呆然としてるサナちゃんが少し可哀想だったから、彼の鼻の頭にキスをしてあげた。


「残念。もうメイドさんの時間は、お終いだって」



その後、一人になったサナちゃんが何を思っていたのか、私は知るよしもない。













- back stage-

管理:あっはっは、完璧にいじっちゃった!
真田:笑い事じゃねえよ!
管理:……公式ですら、ラブラブできてなかったキャラのくせに……
真田:だからこそ、そういうのを書いてやろうとか思わないのかよ、おまえは!
管理:いや、無理。微妙にハッピーでも困難なのが貴方だと思ってるから。
真田:……もういい……もう俺の夢なんて書かなくていい……!

2008.07.11

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