こんな私を愛してくれた貴方を想いながら
今日も一日を過ごしましょう
唄に残す想い
〜left by the enemy's territory〜
今回は珍しく外での任務を任された。
私の能力から考えると、本当に珍しいことだ。
私の武器は『唄』。
例え相手がどんなに離れていようとも、唄えば自分の思いのままになる能力。
自分の容姿を変えたり、相手を眠らせたり、操り人形にしたり。
唄っただけで、人を大量に殺すことだってできる力。
だから、大蛇丸様は滅多に私を外へ出さない。
出す必要がないから。
対象相手の写真さえあれば、大蛇丸様のもとを離れずとも任務をこなせるから。
だけど、弱点もあるわけで。
たとえば、人を操ろうとするならば、現場にいないと操る意味がなくなる。
何故なら『唄』でその人の周りの状況は把握できないから。
自分自身が目になる必要があるのだ。
その為に今回の任務は出かけることを許された。
それも失敗に終わってしまったけど。
「目が覚めたか。」
ここは何処なのだろう。
ふかふかの布団に身を任せながら、辺りを見回してみた。
見た限り、普通の畳部屋である。
誰かに拾われたのか。
ひとまず、声をかけられたので黒い長髪の少年に聞いてみる。
「ここは?」
「日向分家の一室だ。」
日向・・・聞いた事あるような、ないような。
首をかしげている私に新たな情報をくれた。
「ここは木の葉の里。火の国の領域で負傷していたお前をここで看病していた。」
『木の葉』といえば、数年前に大蛇丸様が奇襲をかけた里のはずだ。
危ない場所にひきとられてしまった。
少年は居場所を聞いたにも関わらず、何の反応も返さない私を窺わしそうに見つめる。
この人達は、私をどれぐらい知っているのだろう?
下手に質問に答えないことが賢明だ。
「お前の名前は?」
「。」
久しぶりにこの名前を口にした。
大蛇丸様に仕える前に使用していた名。
一応、本名ではあるのだけど。
「どこの人間だ。」
「分からない。」
これで通用するかどうか試してみる。
「何故あんな辺鄙な場所にいた。」
「へんぴな場所?」
「とぼけるな。何故死体が転がっている場所で倒れていた。」
どうやら現場の状況も把握しきってはいないらしい。
これなら、『記憶喪失』でも通用しそうだ。
「死体?なんで私がそんな場所に?」
「・・・本当に分からないのか。」
「うん。」
「本当に分からないのかい?」
私たちの会話に入ってきたのは、金髪の女性。
と、言っても一番最初に目に入ったのは彼女の大きな胸だった。
「火影様。」
「、て言ったね。本当に、何も覚えてないのかい?」
「ん〜・・・いたっ。」
思い出そうと考えると、頭が痛くなる。
こんな演技をするのも疲れるが、仕方がない。
『火影様』と呼ばれた女性が本当にあの『火影』なら、ばれてしまう可能性が高い。
渾身の演技が効いたのか、火影も少年も心配そうに顔をのぞいてきた。
「無理をしてまで、思い出さなくてもいい。」
「、だったな。もう少し休んだほうがいい。」
ありがとう、と感謝の気持ちを笑顔と一緒に述べると、私は再び布団にもぐりこんだ。
「、しばらくはネジに世話になるといい。」
「火影様!?何を・・・」
「には行く宛がないんだ。仕方ないだろう。」
ネジと呼ばれた少年は、不服そうだが承諾した。
その様子を重い瞼を無理やり開けながら聞く。
「お前はもう寝ろ。」
あぁ、自分は眠かったのか。
彼の暖かい手で瞼を閉じられると、何時の間にか深い眠りへとついていた。
next
-back stage(あとがき)-
管「とうとう始まりました、ネジ長編!」
ネジ「NARUTO初小説だ。当然、終わりはハッピーエンドだろうな。」
管「・・・それは、秘密ってことで。」
ネジ「なんだ、今の間は。」
管「では、これからも楽しみにしながら読んでくださいね!」
ネジ「おい、これはハッピーエンドじゃないのか。」
管「またお会いしましょう!」
ネジ「おい!?」
2005.09.05
ブラウザでお戻り下さいませ。