唄に残す想い
〜the distance got closer?〜
木の葉の里に迷い込んで早二週間。
私はすっかり、平和ボケしている。
「帰るぞ、。」
「はーい。」
迎えに来てくれたネジに抱きつくと、暑いと引き剥がされてしまう。
「そんな奴は放っておきなさいよ、。」
「そうよ、私たちがいくらでも抱きしめてあげるんだから!」
今日もまた私の遊び相手をしてくれたサクラといのが飛びついてきた。
この二人に抱きつかれた時から、私は人の温もりを感じることがどれだけ幸せかを体験した。
それからというもの、相手が誰であろうと抱きついてしまう癖ができてしまった。
大蛇丸様の元へ帰ったら出来なくなるだろうから、少しでも多く温もりを感じていたい気持ちでいっぱいだ。
「今日は仕事、早く終わったんだね。」
「ああ。」
「どんな事したの?」
「特に何もしていない。」
私に対するネジの態度は、相変わらずだ。
心理を読むことは苦手じゃないはずなんだけど、なかなか彼は読みづらい。
素っ気無いのかと言われれば、そうではない。
だからといって、優しいのかと言われれば、そうでもない。
脈をとることができれば、少しは理解できるんだけどな。
たまにそう思ってしまうが、今のように彼に触れようとすれば引き離されるので安易ではない。
ネジの私に対する気持ちが高ければ高いほど、後で有利になる。
断然嘘をつきやすくなるし、私の身に何かあれば助けてくれるだろう。
その為にも知っておかなければならない。
如何にして彼の思いを知ることができるかを思考していると、犬の鳴き声が近づいてきた。
「赤丸!」
元気よく私に飛びついてきた赤丸をしっかりと抱きしめると、頬をなめられる。
「くすぐったいよ〜。」
犬は人にすごく敏感なんだ、とキバが前に教えてくれたことがある。
特に赤丸の場合は相手がどれほど強いかを察知できるらしい。
この事に関しては、私は自分の力に感謝した。
なんせチャクラは唄っている時のみ発生されるからだ。
でなければ、赤丸は今のように私になついてくれることは無かっただろう。
「!今帰りか?」
飼い主もさほど経たないうちに現れる。
キバに抱きしめられると赤丸が苦しくて鳴くが、彼は気にしていないようだ。
一瞬、殺気を感じたが、気にならないのか不思議だ。
「こんにちは、キバ。キバもお仕事だったの?」
「いや、俺達は特訓してたんだ。聞いてくれよ、赤丸がさ・・・」
今日の出来事を頭の中で整理せずに話してくるキバの言葉をしっかりと受け止める。
そうしなければ、話が分からなくなるのだ。
その間もネジは隣で、とくに会話に参加することもなく待っていてくれた。
文句一つも言わないとは、素晴らしい忍耐力だと思う。
自分の喋りたいことはすべて話し終えたのか、キバは私の手から赤丸を引き取った。
じゃあな、と笑って彼は再び私に抱きつこうとした。
「行くぞ、。」
ふいに腕を引っ張られ、ネジを見たが正面を見ていて顔が見えない。
空気を掴んだキバはどこかしら悔しそうな顔をして帰っていく。
「急にどうしたの、ネジ?」
「別になんでもない。」
「だって、キバに失礼だよ。」
「そんな事、俺には関係ない。」
ずっと目を合わせずに歩き続ける彼の行動に意味があるのか考えてみる。
まずは、私が普段抱きついたら必ず引き離される。
これは彼が恥かしがっているのか、嫌がっているかのどちらかだ。
だけど、私がサクラやいのに抱きつくと何も言わないのに、キバと抱きつこうとすれば邪魔をした。
そういえば、最初に抱きつかれた時に僅かながらも殺気を感じた。
たとえば、それが押しつぶされた赤丸ではなく、ネジが放したものだとしたら?
「ネジ。」
家の前に辿り着くと、彼は足を止めた。
「なんだ?」
「何時まで、腕を引っ張るつもりなのかなぁと思って。」
「あ、ああ。すまない。」
一見、動揺もせずに腕を解放したかのように思えた。
しかし、その後の彼は家に入ろうともせずに突っ立っている。
試しに後ろからネジに抱きついてみた。
「?」
「やっぱり、ネジが一番落ち着く。」
顔は隠れて見えないだろうけど、極上の笑みで呟いた。
彼が私を普段のように引き剥がそうとしないことから、確信ができた。
ネジは私に好意をよせていることを。
-back stage-
ネジ:な、何なんだ一体・・・
管理:だから、ネジが様を好いていることをハッキリさせる話。
ネジ:ま、まだ好きだとは!
管理:思ってないだろうねぇ。まぁ、それは次の話さ。
ネジ:・・・まさか、次は俺がナレーターか?
管理:ははは。ネジの口調分からないままチャレンジさ!
2005.10.08
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