これが運命だというなら、俺は誰を憎めばいいんだ



唄に残す想い


〜so this is what is called love〜


最近、自分の行動が分からなくなってきた。
こんなことを誰かに言えば俺らしくもないという言葉が返ってくるだろう。
しかし、本当に自分の事を理解できなくなっていた。


何時からだ?
恐らく、俺が見知らぬ女を一ヶ月前に拾ってからだ。


絶世の美女、というわけではない。
だが、彼女の無垢な笑みは人をひきつける。おまけに無知ときた。
記憶喪失で常識も忘れたのか、人を見かければ誰にでも抱きつくほどの奔放さ。

その愛らしさと一人では生きていけないのではないかという心配が、を守りたいと願うようになる。
少なくとも周りはそうだ。



なら、俺は?



 「どうしたの、ネジ?」


の声で現実に引き戻された。
後ろから腰に手を回してくる行動は未だに馴染めない。


 「止めろと何度言わせるつもりだ。」
 「止めて欲しいなら、もっと嫌がるでしょ。」


もっともな意見を口にされ、俺はただ歩き始めることしかできなかった。


 「今日の予定は?」
 「ヒナタの家に遊びに行く。」


ヒナタ様に用事があるなら、好都合だ。
俺も稽古をつけてもらう日だから、場所は一緒。
目をつけていられる事に安心すると、二人で目的地へと向かった。


 「あ、ヒナタのお父さん。お邪魔してます。」


ちょうどをヒナタ様に預ける時にやってきた。


 「か。ゆっくりしていってくれ。」


静かに微笑みかけた彼には嬉しそうに礼を述べた。
その日の晩はご飯をご馳走になってから帰った。
この家もには弱いことを改めて感じる。





家に着くと、は直接風呂場へと向かった。
もう眠いから先に入っておくらしい。


俺はしばらく自室で楽にしていたが、何か飲むものが欲しくなって部屋を出た。
すると、なぜか通りがかりにの着替えを置いてくるように頼まれる。

面倒なことを頼まれてしまったことを憂鬱に思いながらも、俺は風呂場の引き戸を軽く叩いた。


 「入るぞ。」


断ってから戸を開けると、目の前にが現れた。
ちょうどあがったのか、タオルを体に巻きつけている。


 「ネジ。どうしたの?」


ポタポタと彼女の髪の毛から水滴が落ちる。
それを目で追えば、水を弾いている白い肌が映る。


俺はどこを見てるんだ。
我に返って、の顔だけを見ることにした。
しかし、どうしても視線は彼女の体へと移ってしまう。


 「着替えだ。」

 「わざわざ、ありがとう。」


今は、彼女の笑みも何やら企んで見える。
俺は着替えを渡すと、すぐさま出て行こうとした。


 「ネジ。」


何故、ここで引き止める?
頼むから、抱きつくのだけは止めてくれ。
そんな事を願っていたら、予想外の事を言われた。


 「下着がないから、持ってきて。」


どこまで無神経なんだ、こいつは!
振り向かずに持ってこさせる事を伝えると、俺は荒々しく戸を閉めた。






ここまで苛々させた原因が、他の人から指摘された。


 「恋なんじゃねぇの。」

 「どういうことだ、シカマル。」

 「そのまんまの意味だよ。好きになっちまったんだろ、をさ。」


態度はともかく、利口な奴の言う事だから正しいのかもしれない。
だが、たった一ヶ月で人を好きになるとでもいうのだろうか。


 「一目惚れってのも、恋なんだぜ?」

 「した事は無いがな。・・・告白をした方がいいのか?」

 「俺に聞くなよ。したけりゃ、すればいい。」


どちらにせよ、の気持ちが分からないうちは無理だと感じた俺は家に帰った。













-back stage-

管理:やっと、ここまで来たー。
ネジ:本当にやっと、だな。
管理:お話的にはあと2話で終わっちゃうのにねー。
ネジ:それは、随分と早い展開だな。
管理:あ、やべ。今、笑い飯観ながら打ってたから、ネジの口調が関西弁になった。
ネジ:絶対にのせる前に訂正しておけ。

2006.01.21

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