誰にも打ち明けられない、この気持ち。
何らかの発散をしなければ、自分が狂いそうになって怖くなる。
何でもいいから、この喉に痞えているモノを取り出そうとすれば良いのに。
それすらできない私は、どうすれば良いんだろう。
人間って、どうしてこうも脆いモノなんだろう。
そんな事を考えてれば、いつのまにか内なる心を飲み込んで、勝手に気分を悪くする。
吐き出せば楽になるのに、それをしない。
本当に、愚かな生き物だわ、私は。
だけど、私は人に何があったかなんて聞かれたとしても、答える気はない。
そんなの、こっちが知りたいよ。
それが本音だから。
それに、あまり相手に心配をかけたくない気持ちもあるから。
自分がたくさんの「何か」を抱えているというのに、他人の心配なんかしてる余裕があるから、面白い。
いや、これはもはや余裕ではなく、諦めだ。
「こんな事を話しても、相手はどうすることもできない」と分かった口をきいてるだけ。
聞いてもらうだけでも違うというのに。
そのことを分かってはいても、私は誰にも相談なんてできない。
ああ、こんな話してる間も喉に「何か」がひっかかっている感覚に陥る。
胸がやけにムカムカして、吐き気がする。
感謝すべきは、今は私は人混みを避けて家に閉じこもってること。
これで、人込みの中にいたら、それこそ具合は悪化するだけだ。
楽しそうな人の声が、私の気分を悪化させる。
今を幸せに生きていたって、何が起こるか分からないのに。
皆も、いずれ分かる時が来る。
人には醜い姿が存在していて、必ず相手を傷つけるのだ。
そして、その事を忘れて、また幸せを掴もうとするのだ。
それで立ち直れない人は、どうすれば良いの?
未だに過去を引きずって生きている私は、どうすれば良いの?
ああ、涙なんて流したくとも流れない。
目頭は熱くなるのに、それ以上は何も起こらない。
泣ければ、少しは楽になるというのに。
目は乾いて、潤いを必要としているのに。
助けて欲しいとは、言わない。
だけど、誰か私に気をかけて欲しいとは、思う。
どうして、誰も私に会いに来てくれないの?
どうして、誰も私が苦しんでいる事を知らないの?
「どうした、。」
頬に何かが伝う。
目が、やっと潤わされる。
「我愛羅。」
「・・・寂しいのか。」
この人は、分かってくれてる。
体の奥から、暖かくなってくる。
「苦しい。」
たった、一言。
口からやっと出た言葉。
不思議と、前に一歩進めた気がした。
「一人で抱え込むな。お前の悪い癖だ。」
私を抱きしめるわけでもないのに。
我愛羅との距離が縮まることもないのに。
今、此処は私と我愛羅だけの世界になっている。
「だが、俺もが苦しんでいる事に気づけなかった。」
私のために辛そうな顔をしてくれる。
それだけで、私は救われる。
「すまなかった。」
我愛羅が謝る必要なんて無いのに。
それでも、私の心は暖まる。
「これからは、ずっとお前を守る。」
違う。
私はずっと、我愛羅に守られていたんだ。
やっと気づけた、その事実。
「だから、。お前は、ゆっくり眠っていれば良い。」
誰であろうと、お前の眠りを妨げる奴は許さない。
そこまで想ってくれていた人がいたことを知らなかった私は、罪深いモノだ。
彼を今すぐにでも抱きしめられれば良いのに。
この想いを我愛羅に届けられたら良いのに。
ああ、自分は自分の心に負けていたのだ。
自力で這い上がることもせず、溺れていったのだ。
黒い装束を身にまとった我愛羅に触れる事も許されない。
ならば、彼の言うとおり、私は目が覚めるまで眠ることにしよう。
だって、我愛羅が私を見守ってくれているもの。
守られていること
-back stage-
管理人:『ふと気づいた』ことなのに、すごい暗い話になりました。
我愛羅:ありきたりな話だな。
管理人:かっちーん。そんな言い方しなくても良いじゃないか。
我愛羅:その言い回し、古いだろう。
管理人:頭でっかちに言われたくないわ!
我愛羅:なんだ、そのキレかたは。
2006.11.9
ブラウザでお戻りくださいませ