僕は人に望まれて、生まれてきたわけじゃない。
意味の捉え方を変えたら、望まれたのかもしれない。
だけど、それは幸福な理由でというわけでは必ずしも無かった。
僕と同じ顔をした、たくさんの『イオン』は、いつでも生まれていた。
その中から選ばれたのは、運が良かっただけ。
だから、『イオン』を求める人達に笑顔を見せて、与えられた場所に居るだけ。
この存在意義は、ただの人形であることを痛感させる生き地獄。
自由になれる場所すらない―――それが、レプリカの運命。
「また、暗いこと考えてる?」
部屋のドアに寄りかかって声をかけてきたのは、僕にとって唯一の安らぎをくれる女性だった。
「。事前に来ると知らせてくれれば、迎えに行かせたのに」
「突然、帰って来られる方が嬉しさも増すでしょ」
イオンの驚いた顔を見るのも、楽しいしね。
悪気も無く微笑まれたら、諦めるしかない。
彼女は、いつもこの調子だ。
「おかえりなさい、」
「ただいま、イオン。今日も面白い話を持ってきたよ」
は、教団の人間じゃない。
だけど、偶然に出会ってから、彼女は頻繁に僕に会いに来てくれた。
お互いの立場も何もかも気にせずに話してくれる、優しい人だ。
「それは、楽しみですね」
住む場所も家族も失ったという彼女は、僕が彼女の帰る場所だと言ってくれた。
だから、たとえ僕が何処にいようとも、は僕に会いに来ると笑ってくれた。
嬉しかった。
僕が存在しても良いと認められて、心から喜んだ。
が必要としていてくれるかぎり、僕はここにいて良いという安心感が得られた。
だから、僕は『イオン』であることは辞めない。
僕はを求めていて、それが叶う方法は此処にいることだから。
できるならば、ずっと一緒に居られるのを願うことが可能なのは、此処に居るから。
誰かにお茶を用意してもらうよう、部屋を出て行く。
外から戻ると、が笑顔で迎え入れてくれた。
おかえりなさい
-back stage-
管理人:短いながらも、イオン夢書けたー!
イオン:本当に短いですね。
管理人:あ、あはは、だって、オリジナルの方が好きっていうか・・・
イオン:そうですか。貴方、確か同じレプリカのシンクは好きでしたよね?
管理人:うぐ。感情移入できなくて、ごめんなさい。
イオン:それなら、最初から書かなければ良かったじゃないですか。
管理人:フローリアンの案よか長かったんだもん。
イオン:・・・・・・。
2007.05.25
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