たまたま、遭遇してしまった。
ルルが、何らかの力で人を操るところを。
一緒に
人気の少ない廊下で、ルルがクラスメートに暗示をかける様子を見てしまった。
あれは、超能力なのだろうか?
カタン、と何かにぶつかったせいで、ルルに見つかってしまう。
彼は驚いて振り向き、物音を立てたのが私だと知る。
お互い、しばらく呆けていたけど、私は慌てて目を瞑った。
彼の不思議な能力は、目が関係すると思ったから。
それは見事的中して、気を取り戻したルルが優しい声で話した。
「、目を開けてくれ」
「嫌よ」
私の知ってるルルは、此処には居なかった。
ナナリーや昔離れ離れになったと言う幼なじみの話をする時と違うルル。
その冷たい目や口調は、恋人である私ですら知らなかった。
恋人といっても、私達は、そんな深い仲じゃない。
ルルは私を愛しているのかもしれないけど、私にはそれを感じ取ることができなかった。
いつも、手を繋ぐか頬にキスをしてくれるかだけの、優しすぎるルル。
どれだけ私が求めても、それ以上はしてこなかった。
その彼に対して不満を持ち始めていた頃だ、今この状況に陥ったのは。
私は安心した。
そんなルルの姿を見た後だというのに、彼の事を嫌いにならなかったから。
逆に、彼の違った一面を見れて喜んでいた。
先程、彼が人に何をしていたのかを見た私は、目を開く気になれなかった。
せっかく、彼の事をもっと知れたのに、忘れたくないもの。
「目を開けたら、今の事を忘れろと言うんでしょう」
返事は、無い。
それは、肯定してるのと同じだよ、ルル。
「私は忘れたくない」
「。頼むから、開けてくれ」
嫌よ。また一つ、ルルの事を知れたんだから。
いっそ、ナナリーみたいに目が見えなくなれば良いのに。
そう考えてたら、数分前にシャーリーから返してもらったペンの存在を思い出した。
これで目を潰せば、ルルは暗示をかけられない。
スカートのポケットからペンを取り出して、自分の目を狙う。
だけど、それはルルに防がれてしまった。
「止めろ、!そこまでするな!」
私は忘れたくないだけなの。
ただ、それだけ。
記憶を操られないためなら、死んだって良い。
いつのまにか、私は泣いていた。
近くに感じるルルの胸で顔を隠す。
「今のルルも、私は愛してる。この事を黙っておけというなら、死んでも言わない」
「、もう良い」
「何か協力できる事があれば、何でもする」
「もう良い、」
「だから、ずっとルルの傍に居させて。」
「。顔を上げてくれ」
体が小刻みに震えているルルは、何を恐れているんだろう。
言われたとおり、目は閉じたまま顔を上げる。
私の流した涙の跡を割れ物に触れるかのように拭ってくれた。
「お前には適わないな」
そう言って、私にとって初めてのディープキスをする。
ルルこそ、ズルイよ。
そんな事をされたら、目を開けちゃうじゃない。
視線の先には、苦い顔をしたルルが居た。
そうか。今まで唇を掠める程度のキスしかしなかったのは、私を愛してくれたからこそなんだ。
ルルは、愛するモノを愛すれば愛するほど、大切にしてくれるんだね。
「俺は、ナナリーやお前が平和に生きられる世界を作りたいんだ」
「私にとって、世界は、ルルが中心なの」
「残酷な事を手伝わせるかもしれないぞ」
「ルルの傍にいられるなら、何だってする」
「下手をすれば、死ぬかもしれない」
「ルルの為になるなら、平気」
力を使わないのか、頬を撫でていた彼は、私に微笑んだ。
そんなルルとなら、私は何処までも一緒にいられる気がした。
「ならば、共に戦おう、。俺達の未来の為に」
そして、私達は心も体も一つにした。
-back stage-
管理:白と黒、どっちにするか悩んで、白にしました。
ルル:何の話をしている。
管理:だから、君がまだ可愛い性格をしてるかしてないかを悩んだ。
ルル:見た感じ、どちらも選んだように見えるが。
管理:ノンノン。一応、白なの。
ルル:『一応』か。
管理:うん、『一応』。
ルル:・・・付き合いきれん。
2006.11.13
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