「さて。どういうことか、説明してくれるかしら?」


怒っているのに微笑むを前にして、玉城は青ざめることしかできなかった。


 「な、なんで、が黒の騎士団に・・・」

 「どうしてかしらねえ。どこかの馬鹿が阿呆な事をしてないか、見に来るためかもよ?」


新人の団員が入ってきたと聞き、玉城は意気揚々と女の子達に声をかけていた。
その中にいた一人が、――玉城の恋人である彼女であった。


 「んなことで、入るんじゃねえよ!お前には危なすぎるだろうが」

 「そうかもしれないけど。危ないことをしてる人間は、浮気をしても許されると言うの?」


ああ言えば、こう言う。
立場からして不利な玉城は、それ以上何も浮かばない。
しかし、彼は苛立ちをどこかにぶつけたくて、傍にいた扇にからんだ。


 「扇!何でこいつも団員になってるんだ!書類選考で落とせただろ!」

 「いや・・・何でって言われても・・・」

 「残念でした。扇さんも、あんたがどんなやつか分かってるから、私を受け入れてくれたんじゃない」


今みたいにナンパしてたりするんでしょう?
玉城が問題を起こさないことの方が当たり前だといわんばかりである。


 「と、とにかく帰れ!ここはお前がいていい場所じゃねえ」

 「それは無理よ。私だって、晴れて黒の騎士団の一員なんだから」


彼に逃げ場はない。
困っていると、は思いつめた表情を浮かべる。
その反応が珍しく、つい玉城は見入ってしまう。


 「玉城が大変な目にあってるのに、ただゲットーで待ってるだけなのも辛いんだから」


悲しげな瞳にどう接すれば良いのか分からず、玉城はうろたえる。
だが、のそんな顔は笑みで消された。


 「だから、ここでは精一杯、玉城が馬鹿な行動をする前に止めてあげる」


悪魔だ。
思ったことが顔に出ていたのだろう。
は周りに遠慮せず、玉城に抱きついた。


 「照れなくていいのに、玉城ったら」

 「き、気持ちわりぃ・・・明らかに狙ってやってるのが、バレバレなんだよ」

 「可笑しいわね?二人きりの時は嫌というほど、ひっついてるのに」


助けを得ようと見渡すが、既に玉城の知る者は近くに居ない。
どうやら、彼に味方はいないようだ。


 「くそっ、誰もいねえ」

 「そういえば、聞いたわよ。あろうことか、勝手に資金を使ってたんですって?」


扇あたりが教えてしまったらしい。
彼女からの制裁がくるかと身構えた玉城は、弁解しようと試みる。
しかし、上手いことかわせるような言葉が見つかるはずもなかった。


 「本来なら、暴力的手段を選ぶんだけど」


腰に回していた手に力が入る。
玉城を見上げるの頬は、ほんのり赤く染まっていた。
今度は騙されないように、玉城は心構えする。


 「それがきっかけで玉城と一緒にいられる時間が増えたから、今だけは特別ね」


それは彼女の笑顔で簡単に崩れた。


 「し、しょうがねえな。お前の相手してなかった俺も悪かったし・・・」


自分の罪を放って、いい顔をする。
照れた彼がどういう神経をもってそのような事を言えるのか、不思議である。


 「反省の色はなし、か。せめて、そこで謝罪があれば、本当に許してあげたのに」

 「へ?」


そして、玉城の目の前が真っ暗になった。











 「正真正銘の馬鹿ね」

 「うーん。フォローはできない、な」


玉城をコントロールするためにを迎えたのは正解だったと、カレンと扇は遠くから見守る。
少なくとも、黒の騎士団にとってはこれで心配する種は減ったのだった。







鎮魂歌










- back stage -

管理:うは、馬鹿だ、玉城!
玉城:書いた本人が言うんじゃねえ!ていうか、なんだ、これは!
管理:何だ、て。君の夢小説ですけど。
玉城:どうして俺が格好良く書かれてないんだ!
管理:・・・・・・え、ギャグ担当でしょ?
玉城:ちげーよ!
管理:頑張って、このお題を君に繋げたのにぃ。
玉城:意味が違いすぎるだろうが!俺を黙らせてどうするんだよ。
管理:じゃあ、本当の意味で眠らせてあげようか?
玉城:なんでそうなるんだ!

2008.04.19

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