「裏切るんですか、この私を」
絶体絶命。
今のディストの状態を示すには、ピッタリな言葉である。
地に伏せている彼は、見ただけで重症だと分かる。
は、まだ彼に喋る気力があることに驚かされていた。
かろうじて見上げることができるディストには告げた。
「最初から貴方を殺すつもりだったわ」
必要の無いコマは、早めに消去すべきでしょう?
さも当たり前のように、は武器を構えた。
「私に共感してくれたのも、コマを動かす為ですか」
視界がぼやける。
まるで、彼の心を表しているかのようだ。
一番の自分の理解者だと信じていたのに。
「当然でしょう。誰が好き好んで、貴方と付き合うと思う?」
ディストは、もう言葉が出てこなかった。
体が一気に冷えていく。
「苦しい?」
心配などしていないだろうに、は聞く。
答えられないでいると、彼女は武器を彼に向けた。
「せめて苦しまないようにしてあげる。私が優しい人間で良かったわね」
そんな気遣い、いりません。
掠れた声で返すことができたが、彼女には聞こえていない。
聞こうとしていなかったのかもしれない。
「さよなら、ディスト。大好きよ」
最後に見えた彼女の笑みは、それが嘘だと語っていた。
氷点下の微笑
-back stage-
ディ:ちょっと、何をやっているんですか!
管理:何が。
ディ:私が死ぬだなんて、冗談は止めて欲しいですね。
管理:だってさ、これはヒロインが先に浮かんだのよ。
ディ:・・・だから、何だと言うのです。
管理:裏切られるのが一番似合うの、貴方でない?
ディ:そういう話こそ、他の者にやらせなさい!
2007.10.15
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