手を繋いで






次の目的地まで歩いている時、ジェイドはに声をかけた。


 「なに、ジェイド」

 「手を貸していただけませんか?」


言われたは、差し出された右手の上に手を乗せる。
すると、ジェイドは彼女の腕をの頭上へ上げて、彼女の体を踊り子のように回転させた。


 「はい、くるくる〜♪」


一回転をしたは、何が起こったのか理解できなかった。
それを横で見ていたルークが指摘する。


 「お前、何やってんだ?」

 「見て分かりませんか?を回したのです」

 「いや、何で回すのかが気になったんだけど」


笑みを崩さずにルークに対応するジェイドに、皆が呆れる。
いつもの気まぐれ、というものかもしれない。
そう判断した仲間達は、それ以上関わることを止めた。



 「どうして、急に回すわけ?」

 「おや、も気になりますか?」


先を行く仲間の後をついていきながら、がジェイドに聞く。
しかし、彼は答える気など無さそうだ。


 「そりゃ、いきなり変な事されたら気になるでしょ」

 「変な事だなんて、失礼ですね。構って欲しそうだったので、したのですが」

 「構って欲しいだなんて、全く思ってないから」


断固否定したの手をとると、ジェイドは再び彼女を回転させた。
バランスをとる為の片足での爪先立ちは、綺麗に回ることを助けた。


 「綺麗に回りましたね〜」

 「だから、止めてよ」

 「たまには、こういうのも楽しいじゃないですか」

 「これじゃあ、私が子供扱いされてるみたいで、嫌なの!」


怒鳴ってみても、ジェイドには効果がない。
ははは、と声に出して笑って、歩み続けた。


だが、は、ふと彼の理解不能な行動の意味が読めた気がした。
一度止めた足を動かし、ジェイドの隣に並ぶ。


 「分かったよ、多分」

 「何がですか?」


今度は、がジェイドの手をとる。
そして、しっかりとその手を握り締めた。


 「私がしたかった、て言っていいから。手、繋ごう」


見上げて微笑むに、ジェイドは肩をすくめた。


 「敵いませんね、には」



後をついて来なくなった二人に、仲間が声をかける。
ジェイドは、握り締めている温もりを嬉しく思いながら、と共に仲間の元へ歩んで行った。









 「二人とも、仲が良さそうで、羨ましいこった」


戦闘中も手を離さずにいるジェイドとを見て、ガイが言った。
それに対し、ジェイドがにこやかに答える。


 「すみません。が『死ぬまで離したくない』と言って聞かないものですから」

 「いつ、私がそんな事言った!?戦闘中ぐらいは、離してよ!」


結局、彼の気持ちが分かっても、は彼に遊ばれるのだった。











-back stage-

管理:短いけど、書きたかったんだ、この「くるくる」ネタで大佐夢!
ジェ:どうしてですか?
管理:だって、素直でない捻くれ者な大佐の事。手を繋ぐなんて、可愛い事しにくいでしょ!
ジェ:それは、まるで私に可愛いことが似合わないと言ってるように聞こえますが?(笑顔)
管理:ひぃ!?で、でも、素直に手を繋ぐなんて出来なさそうなんだもん。
ジェ:まぁ・・・私もいい歳ですからね。抵抗はあります。
管理:でしょ?だから、書いてみたかったの、子供みたいな事をする大佐を!
ジェ:・・・子供、ですか。

05.20.06

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