「キョンの寝坊すけ」


何やら耳に心地良い声がする。
誰の声だ。

笑顔の仮面を常に被った男でないのは確実だ。
あのトラブルメーカーや、やかましい妹のような甲高い声じゃない。
物静かではあるが、黙々と本を読み続けるやつでもない。
あいつは、こんな可愛らしく言葉をかけないしな。

なら、癒しのメイド姿のあの人か。
いや、彼女は俺を呼び捨てにしないな。

だったら、誰だ?

その答えを得るために、目をうっすらと開ける。


 「なんだ、か」

 「何よ、その言い方。待ち合わせ場所に来なかった人の言う台詞じゃないわよ」


待ち合わせ・・・何時だ、今?
枕元に置いた携帯を開く。とっくに昼を過ぎていた。
約束の時間は、十時だったか?


 「そうだよ、二時間は待たされた」

 「何で、電話を・・・かけてたか」


着信履歴に何件もの名前が表示される。
よく起きなかったな、俺も。
どれだけ疲れてたんだ。

謝ろうと、とりあえず起き上がる。
は布団を捲ってくる。

やば、今の俺、寝起きだ、格好悪い。
そんな考えは簡単に吹っ飛ばされたがな。


 「暖かいねえ」

 「何故、ベッドに入ってくる!」


しかも俺に抱きつくな。
嬉しいが、この状況において、それは危険すぎる。
襲っちまうぞ。


 「そんな勇気無いくせに」


ああ、悪かったな、狼になれなくて。
だが、相手がだからこそ、この疾しい気持ちを収めようとしてるんだ。
そこに気づいてもらいたいね。


 「出かける準備をするから、離れろ」

 「ん、無理」


理由は聞かずとも、の顔を見れば分かった。
こいつ、どこでも寝れるタイプだな。


 「違うの、昨日は夜更かしして寝不足なの」

 「眠たくなると、喋り方が幼くなるんだな」

 「二時間待たされたから、余計に眠い」


そんなに待ってもらえて、俺ってば愛されちゃってるね。
今時、滅多にいないぞ、こんな健気な彼女は。
あ、朝比奈さんもそのタイプか。


 「それにね、」


重たい目蓋を開こうと健闘するが小さく続きを言った。

何だか照れ臭かったから、浮かれた俺の顔を見られないよう口元を隠す。
しかし、は既に寝息を立てていた。


 「俺の匂いで良いなら、存分に吸ってくれ」


ひっついて離れないに布団をかけてやって、俺も二度寝をすることにした。



安らぐ場所









-back stage-

管理人:どうしてもキョンを約束破るような男にしたい私らしい。
キョン:ちょっとは違う設定の話を書けよ。
管理人:いやー、無理だね。キャラソン聴いて余計に。
キョン:・・・このネタ、確か聴く随分前から浮かんでたよな?
管理人:言うな!暴露したら駄目だ!
キョン:そのためのあとがきじゃないのか。
管理人:違う、私がいかにキョンに抱かれたかったかを書くための場所なのだ。
キョン:気持ち悪いことを言うな!

2007.03.11

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