知らず知らずのうちに、恋に落ちてることも、あるんだってさ。






 「シンク、一緒に寝よう」


僕よりも大人で、人と接触するのが嫌いな
そんな彼女が、今日は、枕を胸に抱いて、僕の部屋に訪れた。


 「何言ってるのか、分かってんの?


とは、あまり会話をしたことがない。
それ以前に、姿を見かけることもなかった。


そんな赤の他人の部屋にいきなり押しかけてくるなんて、正気だと思えるはずが無い。


 「分かってるわよ。というより、よく私の名前を覚えてたわね」

 「あんなに迷惑をかけられたんだ。忘れる方が可笑しいよ」



そう。僕とが接触したのは、過去に一回だけ。
なのに、何で覚えてるのかって?
とんだ面倒に巻き込まれたからに決まってるでしょ。



 「だったら、余計に私の言いたい事、分かるはずじゃない」

 「分かるわけ無いだろ。の事なんて」



あの時は、本当に参った。
道端に怪我を負って倒れていたを、僕がたまたま拾った時。
彼女が眠りから覚めたかと思えば、僕は腕を引っ張られて、僕を抱きしめたまま再び眠った。
振りほどこうにも振り切れなくて、そのおかげで、任務はパァだ。

おまけに、本人からは謝罪も感謝の気持ちも述べられてないんだから。
後味が悪い以外、覚えてることなんて無い。


そんな、ちょっとした話で、の事が分かるわけなんてない。
どちらかというと、余計に意味が分からなくなった。

一人でいることが好きだと、他の兵から聞いたから。
あの時は、何で抱きつかれたのか疑問に思っただけ。
気付けば、目は見えないの姿を追うようになってたなんて、相当不思議に思ってるんだ。


 「シンクなら、分かってくれると思ったんだけどな」

 「その根拠は、どこから来るのさ」

 「いつも、私を気にかけるようになったでしょ?」


それは、たんに何故あの時、抱きつかれたのかが気になってるだけだ。
でも、そんな事を言ってもこの女は聞き入れそうにないから、抵抗を止めた。


 「とりあえず、帰ってくれない?僕も、もう寝たいんだ」

 「じゃあ、一緒に寝れば問題解決だね」


一体、何なんだ。この女。
一人でいるのが好きなやつじゃなかったのか?


 「一人で、眠りたいんだ」

 「私も、一人は好きだな」


分かるんだったら、早く部屋を出て行ってよ。
だけど、黙ってベッドに入る僕の横に、も入り込んできた。
蹴落としてやろうか、なんて考えてた隙に、に抱きしめられた。
呆気に取られていると、は僕と一緒に寝転んで、布団を被った。


 「でも。好きな人と眠るってのも、たまには、したいの」


おやすみ、と言われて、しばらく経ってから、今の状況を理解できた。
僕は、に告白されて。いわゆる、押し倒された状態なのか?


 「意味が分からないんだけど」


突然、そんなに知らない相手から告白されてもね。
でも、僕の心の奥では、それを嫌に思う自分がいないことに気付いてる。


 「明日、何て言って起こそうかな」


ちょっとぐらい、意地悪したって、構わないでしょ。


つけていた仮面を外して。
目の前にあるの唇に軽く口づけをすると、僕も目を瞑った。


おやすみ










-back stage-

管理人:とうとうシンクへの愛が形に!
シンク:気色悪いこと、言わないでよね。
管理人:何言われたって、私は盛大に貴方を受け入れてみせっ(殴
シンク:この話は、何なの?が僕に一目惚れでもしたわけ?
管理人:そして、君も様に一目惚れをしていたのさ。
シンク:今度は、僕が攻める話を書いてよね。こんなの僕じゃないんだから。
管理人:(負けず嫌いめ。可愛いなぁ)
シンク:・・・本当に始末してやろうか?

2006.02.15

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