<置手紙>
- 一護の場合 -


『しばらく留守にします。探さないで下さい』

何だ。あいつ、どっか行ったのか。
別に構わねーけど。
これで、少しは静かに暮らせるわけだし。

「あー、何すっかな」

余計な心配しなくて良いって、楽だよな。
一人で自由に過ごせる時間ってのは、本当に大切だ。

あいつがいないなら、たまにはケイゴの相手でもするか。
そうしとかないと、また五月蝿くなるだろうし。


・・・それにしても、静かすぎる。


「ていうか、こいつもルキアみたいな真似すんなよ」

ルキアよりかは、絵の才能があるみたいだが。
狸の問題ってのは、そんなに人気があるのか?

声に出さなくてもいいツッコミをいれる俺も、どうなんだか。
別に・・・あいつがいないから寂しいってわけじゃないぞ。

<置手紙>
- 剣八の場合 -


『しばらく留守にします。探さないで下さい』

・・・あ?
何だこりゃ、あいつからの手紙か?

探さないでくれって言ってるんだし。
どうせ、しばらくっつったって、すぐ帰ってくるだろ。


・・・・・・。

・・・・・・。

・・・・・・。


「チッ。あいつ、どこ行ったんだ?」

これで迎えに行っちまう俺も落ちぶれたもんだぜ。


<置手紙>
-ルキアの場合-


『しばらく留守にします。探さないで下さい』

口で言えばいいものを。
わざわざ手紙で知らせなくても良いだろうが。

「しかし、ツッコミどころが多い内容だ」

あやつの事だ、別に深い意味は無いのだろう。
だが、「探さないで下さい」というのは・・・
書き方として、可笑しくないか?

「まるで事件に巻き込まれたみたいな書き方だな」

・・・まさか、な。
あれは、一護と違って、そんなタイプじゃない。
そうなった時は、絶対に知らせてくれる。

だとすれば、本当にどこかへ行ってるのだろう。
この場合の探すな、というのは心配するなと言って・・・

「何を焦ってるんだ、私は」

こんな事で動揺するとは。
少し、落ち着いた方が良いな。

「全く。帰ってきたら、ただでは済まぬぞ」


<置手紙>
-ハルヒの場合-


『しばらく留守にします。探さないで下さい』

・・・何、言ってんの、あいつ?
このあたしに何も言わずにどこか行っちゃうなんて。
いい度胸してるわね。
こうなったら、SOS団を総動員させて、あいつを探させてやるわ。

『探さないで下さい』?
冗談じゃないわ、このあたしに黙ってどこかへ行こうだなんて。
そうよ、生意気なのよ。
このあたしを出し抜こうだなんて、100億光年早いわ!

見つけてやったら、どう甚振ってやろうかしら?
それこそ、宇宙人とか超能力者とか未来人とかへの生け贄にしてやるわ。
もうどうなったっていいわよ、あんなやつ。
こんなにもあたしを怒らせたんだから、当然ね。

「もう・・・早く帰ってきなさいよ・・・」

どうして、こんなにも退屈なの。
あんたがいないってだけなのに。

<置手紙>
- ミレイの場合 -


『しばらく留守にします。探さないで下さい』

これは・・・つまり、探せってことかしら?
ふふ、楽しそうじゃない♪

そうねえ、彼ならどこに隠れてるかしら。
この間、どこかへ行きたいって言ってたはずだけど。
うーん。何処だったかしら?

だけど、そこに行くなら、こんな書き方はしないか。
旅行ぐらいのレベルで、大げさに言う必要はないもんね。
だとすれば・・・

ああ、もう!ヒントが無さ過ぎるわ、これ。
考えようがないじゃないの。

「暇つぶしにもならない、か」

これ以上、情報が得られないわけだし。
無理に考えたって答えなんて出てこないわ。

「ていうか、いつ帰ってくるのかぐらいは教えてくれたっていいじゃない」

この声が聞こえてるなら、連絡いれてよね。


<置手紙>
- 八雲の場合 -


『しばらく留守にします。探さないで下さい』

え、えっと・・・
これは、どうすればいいのかな。

一応、警察に・・・
入れなくても、いい?

あの人の考える事って、よく分からない。
これは、ただ留守にするって事だけを伝えたかったの?
それなら、もっと普通に言ってくれればいいのに。

・・・駄目。
彼が普通に書いてたりしたら、そっちの方が驚く。
そっちの方が異常だと感じてしまう私もどうかと思うけど。

どうしようかな。
思い切って彼に連絡をいれてみたけど、返事は無い。

一応、姉さんやサラに相談してみようかな。
うん、そうだよね。
警察に知らせた方が良いのかどうかは、それからにしよう。


どうか、彼が無事でありますように。


<置手紙>
- アトルの場合 -



『しばらく留守にします。探さないで下さい』


何のつもりだろう、あの人。
こんな手紙を残していって。

心配、して欲しいのかな。
探して欲しいのかな。

それとも、本当に探さないで欲しいの?
だとしたら、その事は書かなくても良いんじゃ?

でも、あの人、結構気まぐれそうだし。
・・・あまりあの人の事を知ってるわけじゃないけど。
心配しなくても大丈夫だよね。
妖夷が出てきた時、巻き込まれてないか心配しておけば。

だけど、どうして、この人は他の人に書かなかったんだろう。
わざわざ、馬小屋に来て手紙を置いていくなら、口で言った方が早いし。

直接言うのを照れた?

・・・・・・・まさかね。


<置手紙>
- ロイドの場合 -


『しばらく留守にします。探さないで下さい』

ふーん。
しばらくって、どのぐらいなのかな。
数時間?一週間?それとも・・・

「ま、いっか」

別に僕にとって重要な事でもないし。
帰ってこないって訳でもなさそうだから。

「そのうち帰ってくるでしょ」

趣味に没頭してたら、彼女はいつの間にか帰ってくるだろう。
ちょっと休憩がいるやと思ったら、そっとお茶を出してくれて。
それで、僕が『あれ、帰ってきてたの?』なんて言っちゃうんだ。

そうしたら、きっと怒られるだろうなぁ。
それとも、呆れちゃうかな?

「さぁて、仕事でもしますか」

この寂しさに気づかないうちに。


<置手紙>
- キョンの場合 -


『しばらく留守にします。探さないで下さい』

・・・・・・。
だから、どうして俺の周りはこういう奴ばっかなんだ。

これは、何か?
俺に探せとでも言ってるのか?
それとも、本当にどこかへ行ってるのか?

「分からん」

あいつ、留守にするならもっと明確に書けば良いものを。
何時行く、とか。
何処に行く、とか。
何時帰ってくる、とか。
書くことは他にも色々あるだろうが。

「まさか、そこらへんに隠れて俺を見てるんじゃないだろうな」

自分で言っておきながらも恐ろしく思える。
だが、あいつの携帯には連絡がつかないし、姿も見えない。

・・・まあ、あいつの事だ、いずれ連絡してくるだろ。
それまで、気長に待つか。



<置手紙>
- 一郎の場合 -


『しばらく留守にします。探さないで下さい』

何、これ。
新しい遊び?
・・・そんなわけないか。

昨日か今日、彼女と約束してたっけ。
怒らせちゃったかな?
そうだとしたら、かなり怒ってるな。

それとも、本当に遊び?
俺が普段からかってるから、仕返しでもしてるの?

・・・だとしたら、連絡がつくか。
連絡がつかないようにまでしてるなら、結構凝ってるね。

「ああ、潤?あのさ、彼女と連絡つかないんだけど」

念の為に電話で確認しておく。
だけど、彼女は今、本当に不在らしかった。

「いつ帰ってくるのかぐらい、教えてくれたっていいのに」

連絡してきたら、思い切り苛めてやろう。


<I'm home!>
-桃-



「疲れたー」

「きゃ!?急に後ろから抱きつかないでよ!」

「桃の温もりで癒されたいの」

「その前にいう事があるでしょ?」

「言うこと、あったっけ?」

「帰ってきたんだから、まずは挨拶」

「ああ。ただいま、桃」

「お帰りなさい・・・それで、そろそろ離れ」

「嫌だね」


<I'm home!>
-ルルーシュ-


「たっだいまー!」

「うわ!?誰だ、背中に引っ付く・・・な、お前?!」

「へへ〜、驚いた?」

「いつ帰ってきたんだ?」

「あ、照れて質問を無視した」

「こっちの質問をお前も無視したな」

「今、帰ってきたばかりよ」

「そうか。今夜はうちに来い」

「『ナナリーも会いたがってる』から?」

「・・・まあ、な」

「また照れてる。嘘だってことぐらい、分かってるよ?」

「ナ、ナナリーが会いたがってるのは嘘じゃないぞ」

「でもルルが私と一緒に過ごしたがってるのも嘘じゃないでしょ?」

「好きに思ってればいい」


<I'm home!>
-長門-


「ただいま」

「・・・」

「長門、反応が欲しいだが」

「お帰りなさい」

「本を読みたいのは分かるが、顔を上げろよ」

「挨拶はした」

「んー、でも目を合わせてくれた方が嬉しいぞ」

「・・・お帰りなさい」

「一瞬目を合わせてから挨拶するのは、見てないのと同じことだ」

「あと三十分」

「読み終わるまで待てというのか」

「・・・・・・」


<I'm home!>
-カレン-


「ただいまー」

「ちょっと、今までどこにいってたのよ」

「え、どこって・・・旅行で留守にしてた」

「そんなこと、一言も聞いてないわよ」

「あれ?そうだっけ?」

「そうなの!どうして、何の連絡も無しに行くかな」

「あー、今度は気をつけるわ」

「ったく。何か事件に巻き込まれたかと心配したんだからね」

「そうか、そうか。そんなに心配だったか」

「い、言っとくけど、あんたがいなくなったら戦力が欠けるから心配してたのよ!」

「じゃあ、そういうことにしとく」

「『そういうことにしとく』じゃなくて、そうなの!」


<I'm home!>
-ピオニー-


「ただいま戻りました、陛下」

「おう、ご苦労様。どうだ、久しぶりの休暇は?」

「想像以上に有意義に過ごせました」

「おかげさまで俺の相手をしなくて快適だった、と聞こえたんだが」

「それで間違いありませんよ」

「お前な、そういう時は素直にならなくて良いんだ」

「申し訳ありません。天邪鬼な性格だと、正反対な事をしてしまって」

「じゃあ、俺に会うなと命じたら会いたくなるか?」

「それとこれとは話が別ですね」

「・・・前よりも態度が冷たくなってないか?」

「陛下がためている仕事をこなせば、変わるかもしれませんよ」

「やっぱ、そこにつなげるか」

「当然です」