『どこにいるんですか!』



十一番隊に呼ばれて隊舎に向かうと、途端に背後の扉が閉められた。


 「・・・あ?」


何が起こってるのか分からなくて呆然としてたら、狂喜した更木の笑い声がする。


 「よお、やっと来たか」

 「更木・・・なんだよ、これは」


よく中を見てみれば、弓親と一角の他に、阿散井、檜佐木、射場副隊長もいる。
野郎しかいなくて、むさ苦しいな。


 「実はよ、ここにいるやつらで力比べをしねぇかって話になったんだ」

 「だったら、勝手にやってろ」

 「あ?も強制参加だ。ついでに言えば、一回戦の相手は一角だぜ」


人の意思を尊重する気が全くないな、こいつは。
戦うのが嫌だって言ったはずだろうが。


 「うぜぇ。必要でなきゃ、俺は戦わねえよ」

 「そんなこと言わずにやりなさいよ、。あたしのご褒美、欲しくない?」


出て行こうとした俺の前に、乱菊とやちるが塞がる。
そうか、乱菊のその言葉で参加してる野郎もいるんだな。
檜佐木と射場副隊長を見る。
それなら、あえて挑発してみるのも面白いかもしれない。


 「へえ。乱菊からの褒美、か。そりゃ、さぞかし刺激的だろうな?」

 「もちろん。あーんなことや、こーんなこと・・・してあげる」


さすがは乱菊というべきか。
俺の企みに気づいた乱菊が俺の背に手を回して密着してくる。
やりすぎだとは思うが、得をしたな、俺。
胸があたる感触がなんともいえない。


 「絶対、勝ってやる!」


近くで意気込んでる檜佐木と射場副隊長は、分かりやすくて面白いと思った。











 「一本勝負で勝ち抜いたやつが、俺と戦う。分かったか?」


更木の掛け声で、それぞれが相手と向き合う。
弓親と射場副隊長。檜佐木と阿散井。そして、俺と一角。
使えるのは、木刀のみ。

すでに始めている二組とは違い、俺たちはまだ構えている状態だ。


 「本気出せよ、。でなきゃ参加した意味がねえからな」

 「今までも本気出してなかったっけ、俺?」

 「いつも俺と戦って負けてたじゃねーか!」


ああ、そっか。
相手しろってうるさいから、適当に戦ってた気がする。


 「本気・・・出せっていうなら、出すけど」

 「だから、出せって言ってんだろ、さっきから!」


一角が木刀を握り締めて真っ直ぐ向かってくる。
それが俺の身体を貫こうとする前に、自分ので止めた。


 「なっ・・・」

 「ほらよ、俺の本気だ」


一角が気を抜いてる瞬間をついて、後ろに回る。
その背中に思い切り叩きこむと、その体は地に寝そべった。


 「てめぇ・・・卑怯すぎるぞ!やり直しだ、やり直し!」

 「はあ?一本勝負なんだから、これで終わりだろ」

 「あー!気に食わねえ!」

 「あはは、ちゃん、つよーい!」


やちるが俺の背に乗っかってきた。
お、重い・・・首が締め付けられる。
助けてくれたのかは分からないが、更木がやちるの首根っこを掴んで離してくれた。


 「でも、あたしもがそこまで強いとは思わなかったわ」


と、思ったのに、今度は乱菊が抱きついてくる。
何だ、今日はやけに密着してくるな。


 「は次の試合までのんびりしてろ。勝った方とやらせる」


更木が指した方向には、先に終わったらしい射場副隊長と檜佐木の対決が始まろうとしていた。
言葉に甘えて、七緒が淹れてくれた茶を飲む。


 「ん?お前、いつのまに?」

 「さんが試合に勝つ少し前に。他の隊長格の皆さんも来るはずですよ」

 「・・・何のために?」

 「あなたの実力を見るために、です」


そりゃ、いきなり第三席から隊長になったわけだから、気になるか。
それにしては、実力を見せられるような戦いではないと思うが。


 「・・・おい」


和んでいると、更木が声をかけてきた。


 「何だ?」

 「手ぇ抜くんじゃねえぞ」

 「駄目か?」

 「めんどくせぇのは分かるがな」


俺と戦うっていうのに、余裕じゃねぇか。
睨みつけてくる視線が嫌になり、無言を突き通す。
第一、まだ更木と戦うと決まったわけじゃない。
射場副隊長が勝ったのを見届けながら、次はどうするべきか考える。


 「あ。そうだった」


頭を掻いてるうちに、面倒になってきたから声をあげる。
こういう時は抜けたがってる状態だと知ってるはずなのに、七緒が聞いてくれる。


 「どうかしたんですか?」

 「仕事あったんだよ、現世に行く。忘れないうちに行っておかないと」


言ってすぐに俺は部屋を飛び出す。
なんとか更木に捕まらずに済んだ。
その代わり、怒鳴り声が飛んでくる。


 「戻ってこい、!逃げるんじゃねえ!」

 「また機会があれば、相手してやるよ!」

 「あは、ちゃんが逃げた!」


やちるが更木の邪魔してくれたおかげで、無事に脱出する。
ああ、今日は無駄に時間を過ごしたかもしれない。


 「久しぶりに屋根上ってみるか」


一瞬でも自分らしさを失くしたことに苦笑しながら、俺は隊舎へ向かった。













- back stage -

管理:結局、本当の実力っていうのは、皆に教えてあげない主人公です。
乱菊:ま、私は見れたからいいけどさ。他の人達へはどうするのよ?
管理:それは、おいおい?
七緒:疑問系ですか。
管理:それより、もっと女の子と絡めたいんですけど、上手くいかなくて困った。
乱菊:そんなの言われたって、それこそあなた次第でしょ。
七緒:頑張って下さい。
管理:うわ、冷たい・・・

2008.10.20

ブラウザでお戻りくださいませ