ふぁぁ。


今日も、いい天気だなぁ。



further step

『異動は命令ですか、そうですか』





詰所の屋根の上。
乱れた髪を正すこともしない、の意識が遠のいていく。
心地良く日の光に照らされながら、彼は眠りにつこうとした。


 「こんな所で何をやってるんですか、君」


刺々しい声によって、邪魔をされる。
しかし、は呼ばれても起き上がる気配は無い。

彼が無視して眠り続けようとすれば、相手の足踏みが体に響いて妨害された。
嫌々起き上がると、吉良が仁王立ちで、彼が逃げないように道を防いでいた。


 「あー、吉良か。市丸隊長なら、会ってねえぞ」

 「一応、僕は貴方の副隊長なので、接し方に注意して欲しいんですが」

 「それを言うなら、お前も俺に敬語を使うなよ。君付けで呼ぶくせに、ややこしいっつーの」


真央霊術院では俺が先輩だったから、心境が複雑なのは分かるけど。
こいつは、俺を敬ってるのか、部下にしたいのか、どっちなんだろうな。

吐いたため息を見せないよう、心の中で思いを吐き出す。
そんなには気づかず、吉良は指摘されたことを悩んでいた。


 「俺に用か?」

 「あ、はい。山本総隊長がお呼びです」

 「・・・無視したり」

 「できません」


ちっ、真面目な奴め。
舌打ちをしたは、何だか嫌な予感がして行きたくないと思った。
だが、なかなか腰を浮かさないでいると、吉良が睨んでくる。
よっぽど虫の居所が悪かった時らしかったので、彼はいそいそと動き始めた。






 「おお、やっと来たか。待たせるでない」


がいないと思っていた市丸隊長を含め、そこには各隊長が集結していた。
見上げられる視線よりも見下げられる視線を多く浴びているように思えながら、総隊長の前に着く。
忙しい人達が集まる理由となれば、大事であるのは間違いない。

やべぇ。逃げたくなってきた。
何か良い方法は無いかと頭をかいてみるが、その場から逃げる方法など、もちろん無い。


 「全く。こういう時ぐらい、髪を梳かしてくればいいものを」

 「こんな集まりに呼ばれるって分かってたら、逃げてました」

 「じゃろうな。何も伝えずに連れてきて、正解だったわ」


頼む、山じい。
一生の願いだ、頼むから厄介な事に俺を巻き込まないでくれ。

切に願う彼の心を読んだかはさておき、相手は単刀直入に用件を伝える。


 「実はな、『零番隊』という新たな隊を結成することになった」

 「丁重にお断りします」


厄介事が来てしまった、とあからさまに顔に出す。
は興味がないと言うのに、この男はまだ続けた。


 「 。お前を零番隊隊長に命ずる」

 「嫌だと言ったのが聞こえなかったのかよ、山じい!」


乱暴になったの口調に、六番隊隊長、七番隊隊長、そして九番隊隊長が眉をひそめる。
背筋が凍る思いで、は黙るしかなかった。


 「しかし、これは既に決まったこと。誰にも逆らうことはできん」


そして、相手の肝の据わった目に勝てるはずもなく。
それを伝えると、総隊長は会議を終了させた。
恐らく、が来るまでに彼等には詳しい話を済ませていたのだろう。
舌打ちをしたに、更木が近づいてきた。


 「よお、。何が不満なんだ?」

 「俺にとっちゃ、『三番隊第三席』が落ち着いてたから、変わるのが嫌なんだよ」


また、頭を掻く。
これはの癖であった。
髪の毛が常に整えられないせいで、余計に不潔だという印象を与えているのを彼は知っている。
しかし、本人は毎晩洗っていて清潔だと思っているので、周りのいう事など気にしていなかった。

剣八にとっては、もっと関係無い。
彼は、楽しい戦いができれば、それで良いのだ。


 「そうか。俺も残念だぜ、お前と今までみたいに戦えないって思うとな」


ニタリと不気味な笑みを見せた剣八の言葉に、は気づかされる。


 「ああ、それが無くなるのは、救いだな」

 「なんだ?俺と戦うのが、そんなに退屈か?」

 「疲れるんだ。殺し合いにならないようにするのは」

 「くっ。よく言うぜ、戦うのが好きなはずなのによ」

 「殺しじゃなかったらな」


まだに話があるという総隊長の一声で、会話が終わる。
部屋に彼等二人だけとなると、総隊長は口を開いた。


 「頼む、。極秘任務も与えられるこの隊は、お前にしか頼めないんじゃ」

 「極秘任務なら、隠密機動があるだろ」

 「そこだけでは処理しきれぬことをしてもらう」

 「そいつらの尻拭いをしろって言うのか?」

 「どう思ってくれても、構わぬ・・・頼んだぞ」


どうでもいいけど、詰所は何処かぐらいは教えてくれたって良いだろ。
何度目になるか分からないため息を吐くと、部屋を出ようとした総隊長が振り返った。


 「そうそう、隊員はお前と副隊長となるやつの二人だけじゃ」


ははあ、俺と副隊長だけね。
・・・二人、だけ?


 「わざわざ零番隊なんて作る必要なかったんじゃねえの!?」


そう叫び返したって、に返事してくれる者はどこにもいなかった。














-back stage-

管理:これは連載であって、長編では無いのでご注意を。話が飛んだりする可能性も有り?
市丸:めちゃくちゃ無責任な説明やで、それ。
管理:あとがきはダラダラ喋る暇はないよ!注意点を述べていきたいと思います。
    @この連載は、藍染隊長や市丸隊長らがいる時の話である。一護は高一だけど死神ではない。
    A零番隊の副隊長は在るが、名は無く、登場もほぼ無い状態で描いていく。
吉良:どうして副隊長の登場が少ないんですか?
管理:オリジナルキャラを作るぐらいなら、出さない方が良いかなと思って。
市丸:この連載の目的の一つは、女の子らを相手にすることやもんな。
吉良:面倒だからって設定のページ作らなかったら、あとがきがごちゃごちゃですけどね。
管理:うるさい。以上!

2007.03.22

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