彼等の逢瀬は、朝から始まっています。
休日
「君!何度言えば分かるの!」
「んぁ・・・おはよ、桃・・・」
「だから、何でいつもあたしの布団の中に入ってるの!」
二人で休みを過ごす時、は決まって桃の寝室に忍び込む。
桃は気をつけているはずだったが、何故かそれを易々と潜り抜けていた。
「一緒に桃と朝を迎えたいだけじゃん」
最後には、の甘えた声と抱擁に桃が黙らされる。
彼女が照れて何も言わなくなると、は笑顔で彼女に口づけをした。
「おはよ」
「おはよう、君」
「今日はどうしよっか」
「新しくできた割烹店に行きたいな」
「うん、分かった」
もう一度腕に力を込めてから、彼は桃を解放した。
昼の時間帯よりも早めに店へ向かえば、あまり混雑はしていなかった。
まだ周りは新しい店に着目していないらしい。
小さな紙に書かれた料理に目を通して、二人は悩み始めた。
「どうしようかな」
「おすすめは?豚の生姜焼き定食」
「食べたい、かも。でも、あたし、蕎麦も食べたいかも」
話し合った結果、は豚の生姜焼き定食を。
桃は蕎麦定食を注文し、二人で分け与えることにした。
「美味い」
「うん、美味しいね」
「あ、半分食べる?」
「あたしは、そんなにいらないよ。君は?」
「俺も、一口でいい」
互いの料理を交換し、一口食べる。
満足げな笑みを浮かべた二人は、顔を見合わせた。
そして、声を揃える。
「こっちに変えても良い?」
二人して、相手が注文した方を好んだらしい。
問題がなかった二人は、笑いあいながら食事を済ませた。
「次は?」
「甘味処!」
たった今食べ終わったばかりだというのに。
苦笑するに、桃は頬を膨らませた。
「女の子特有の別腹なの」
「ふーん。どこにあるわけ、別腹って?」
桃のお腹を突いて、彼女を驚かせる。
「見えないところ!」
ますます顔が膨れ上がっていく。
面白がってがその頬を突いていると、彼女は怒って一人で歩き始めた。
慌てて、が機嫌をとる。
「二品、奢る」
「そんなに食べれません」
「別腹があれば、大丈夫だって」
「何でも?」
「・・・それで、桃の機嫌が直るなら」
財布の中身がどれだけあったか思い出しながら答える。
彼女は満面の笑みを浮かべた。
「じゃあ、許してあげる」
甘味処でゆっくりしていたら、いつの間にか日没が近づいていた。
もう帰らなければならない時間である。
「あっという間だったね」
「つまんねえの」
二人が別れるところに辿り着き、立ち止まる。
離れたくない気持ちから、二人の会話が進まなくなった。
「今度は、さ」
ぽつりとが呟く。
その顔は、少し赤かった。
「一泊旅行にでも行こう」
突然の誘いではあったが、桃は笑顔で返した。
「うん!休み、とれるように頑張るよ」
「日が何時になったか分かったら、教えて。合わせるから」
「はーい」
次の楽しみができる。
その時、どんなことが起きるだろうかと胸をときめかせる二人は、元気に別れた。
「と、いう感じでしたよ、隊長」
十番隊隊首室。
乱菊がにこやかに少年へ二人の逢瀬を報告した。
「なんで俺にそれを伝える」
「二人のこと、心配してるんじゃないかと思って。って、うちの隊員ですし」
そんな彼女に彼は冷静に物事をみる。
乱菊には言い訳ができないことだ。
「それが、お前が昨日一日サボってた理由か」
図星をつかれた彼女が逃げようにも、どこにも行けるはずが無かった。
-back stage-
管理:どっちがメインか分からない話!
雛森:もう少し、デートを増やせば良かったんじゃないのかな。
管理:・・・ごめん、これ以上「甘い」のを目指して書けなかった・・・
雛森:それが本音でしょ。
管理:うぅ、だから、最後は十番隊の二人に締めてもらいました!
雛森:いまいち締まってない気がするのは。
管理:流してくれ!
2007.07.31
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