「暑い〜・・・」
ぱたぱたと団扇で扇ぐその腕もだらけている。
その隣では、彼と同じように壁に背を預けて座っている乱菊がいた。
暑い日々
「本当、どうしてこうも暑いのかしら」
「現世の異常気象が、こっちにも影響してんのかもしれねぇな」
「そうだとしたら、早くその問題を解決して欲しいわ」
無言で伸びてきた手には団扇を渡す。
乱菊もまた元気の無い動作で扇ぎ始めた。
互いの非番が重なり、共に過ごそうと決めるまでは良かった。
しかし、今日は可能なかぎり体を動かしたくなくなるほどの暑さ。
二人は出かけることを諦め、こうして部屋で暑さにやられていた。
「あ〜、体中が汗で痒くなってきた!」
「風呂でも入ればいいだろ」
「動きたくないのよ、今は」
「じゃあ、氷でも体に当てとけ」
その谷間に氷を挟んでおけば、暑さなんて凌げるんじゃねぇの?
冗談で言ってみれば、乱菊は怒った口調で言い返す。
「のセクハラ。そんなに氷を詰め込みたいわけ?」
「俺だって無駄に動きたくねぇよ。自分でやれ、自分で」
「真面目に返さないでよ、冗談なんだから」
「そりゃまたキツイ冗談で」
「普段、が言う冗談よりはマシでしょう」
そんな酷い冗談を言った事があるだろうか、とは思考を巡らす。
その途中に、乱菊が口を開いた。
「今日って、本当に暑くない?」
「もうその言葉は禁句。分かりきった事は言うな」
何よ、と暑さで機嫌の悪い乱菊がを睨みつける。
それを見て、は静かに立ち上がった。
「カキ氷でも買ってくる」
「暑い中、ご苦労様」
乱菊は、本当に暑さに参ってるようだ。
いつもならば、自分の分も笑顔で頼むのに、それが無い。
少し心配し始めたは、乱菊に聞いた。
「お前は?」
「何が」
「シロップ。何味にするんだ?」
「買ってきてくれるの?」
「食べないのか?」
とにかく早く決めてくれ、と立ち往生なは彼女を即す。
その間も二人は暑さで汗が流れ出ていた。
「一緒に行くわ」
意外な言葉には息をのむ。
暑さでかなり頭がやられているのだろうかと本気で心配した。
「せっかく二人で過ごせるのに、その時間が勿体無いと思っただけよ」
よほど間抜けな顔をして立っていたのか、乱菊は照れながらも答える。
だが、は相変わらずボーっと突っ立っていた。
「お前が素直になるなんて、絶対に暑さにやられただろ?」
「だから、違うって言ってるでしょう!」
耳まで赤くして怒鳴る乱菊を前に、が豪快に笑う。
その事で、乱菊は彼に遊ばれていた事に気付いた。
「の馬鹿、さっさとカキ氷を買いに行くわよ。こうなりゃ何人前でも食べてやるわ」
「一気に食べると、頭が痛くなるって」
「知ってるわよ!」
すっかりのペースに取り込まれた乱菊は、その後もしばらくからかわれ続けた。
-back stage-
管理:似非乱菊、ここに登☆場☆
乱菊:て、それじゃ駄目じゃない!
管理:な〜んか乱菊さんっぽく無い・・・気が・・・大丈夫ですか?
乱菊:暑さで頭がやられたのは、アナタなんじゃないの。
管理:あはは、私の頭は元々やられてるからなぁ。
乱菊:駄目じゃない、それ!
管理:以上、短めでしたが夏の一時、でした。
2006.08.11
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