「だから、ごめんってば!俺には彼女がいるの!」
道を歩いていると、辺りがやけに騒々しくなった。
on the way home
学校の授業が終わり、ルキアは一人帰り道をたどっていた。
黒崎一護の家に向かっているわけだが、誰にも出会わないよう遠回りをする。
すると、微弱ながらも霊圧を感じた。
ふとその方向を見つめれば、女の霊が脇道に立っていた。
しかし、立っているだけであった。
自分も相手も害がなければ問題が無いと考えたルキアは無視して歩き続けた。
『待っていたわ、愛しい人。』
後ろで先程の霊が口を開く。
だが、ルキアはそれも問題にはしなかった―たとえ、それに応答した者が現れても。
気にせずその場から離れると、しばらくして何かが近づいてくる気配を感じた。
「だから、ごめんってば!俺には彼女がいるの!」
振り向けば、青年が女の霊から逃げるように走ってきた。
事情が分かったルキアは哀れだと感じつつも、関わりたくはない。
このまま帰ろうとした。
「あ、こいつ!朽木ルキアが俺の彼女!」
「・・・は?」
だが、その願いも空しく散った。
青年はルキアを霊の前に盾のように差し出したのだ。
『ひ、ひどい。せっかく、運命の人に会えたと思ったのに!』
「あー、だからさ。成仏しなよ。させてやるから」
泣き崩れた女に青年は優しく声をかける。
ほぼ投げやりな言い方ではないかと、ルキアは感じたが。
『成仏したって、運命の人に会えるかどうか分からないじゃない!』
「そんな事言ったら、ここに留まってても会えるかどうか・・・」
『会えたわ、貴方に!』
どれだけ男に執着してるんだか、とルキアは心の中で呆れた。
しかし、青年は冷静に対応する。
「うーん。でも、成仏した方がいいって。ほら、昔の格好良い俳優とかいるかもよ?」
『・・・そうかしら』
「そう、そう。モデルとかもいるだろうし。運命の人がいる確立は高いだろ」
よほど格好良い人が好きなのか、女はすんなり成仏することを願った。
青年はおやすみ、と呟くと彼女の頭を撫でる。
次の瞬間、彼女の姿は消えていた。
一体、どんな魂葬なんだ?
目の前で起こった事に驚きを隠せずに立っていると、青年が振り向いた。
「ごめんね、朽木さん。勝手に俺の彼女だなんて言って」
改めて彼の姿を見れば、同じ学校の制服。
どこかで会ったかと思考をめぐらせながら、ルキアはお嬢様モードに切り替えた。
「いえ、お構いなく。失礼ですが、誰と喋っていたのですか?」
「誰って・・・幽霊に決まってるだろ」
何故、確信を持って言えるのか。
未だに彼が誰なのかを思い出せずにルキアは会話を続けた。
「幽霊?そんな、怖い事言わないでください。えっと・・・」
「あ、俺まだ名乗ってなかったね。、2年1組。よろしく」
先輩であるということは、ルキアが知らなくても不思議ではない。
だが、彼女はどこで自分の名前を知ったのかが気になった。
「先輩、何で私の名前をご存知なんですか?」
「美人転校生の噂は、こっちにも流れてくるんだ」
本当にごめんね、と謝られては許さないわけにはいかない。
『美人』と言われて気を悪くしなかったのもある。
「もう気にしてませんから」
「そう?よかった。・・・で、朽木さんも幽霊見えるんだ?」
話が原点に戻ってしまった。
いかにして誤魔化そうかと悩んでいると、に先手を打たれた。
「普通、『俺の彼女』なんて知らない人に言われたら、誰でも帰るんだけど」
「急に声をかけられて、驚いたんです」
「だからといって、空間に向かって喋ってるはずの俺を待つ必要がない」
そこまで言われてしまえば、反論が出来なくなった。
仕方なく、見えることは認めることにした。
「ええ、見えます。先輩が成仏させた所も見ました」
その答えに満足したのか、は笑みを浮かべる。
「うん。俺、何でか女の霊につかれやすいんだ」
そこまで聞いていない、と思いながらもルキアは微笑み返す。
「でも、ラッキーかも。朽木さんと出会えたうえに、同じ体質だったなんて」
「私は大した人間じゃありませんよ?」
「いやいや、かなり可愛いよ。おまけに俺の事も理解できそうだ」
そう言うなりルキアの頬にキスをすると、彼は彼女を置いて帰ってった。
「明日、クラスに遊びに行くから!」
振り向かずに手を振るをルキアは何が起こったのか分からず、日が暮れるまでその場に突っ立っていた。
- back stage-
管理:ルキア夢、書くの楽しかったです!
ルキ:何を言う。リクがなければ、書かなかっただろうが。
管理:あ、やっぱルキアはその口調が似合うね!
ルキ:話を逸らすな。
管理:そらしてないよー。苦労したんだから、お嬢様口調。
ルキ:お主も『お嬢様』ではないからだろう。
管理:ム。一応、環境的には『お嬢様』だぞ。
ルキ:性格は違う。
管理:(お前もだろうが!)
2005.10.10
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