放してやらない
「ちゃん、みーつけた!」
十一番隊隊長の背中と同じくらい好きなの背中にやちるは飛びつこうとした。
だが、飛びつく前にかわされる。
そのせいで、やちるは冷たい廊下に寝そべることとなった。
「ちょっと、ちゃん!なんでよけるわけ?」
「悪い・・・なんか体が勝手に・・・」
苦笑いで口を尖らせるやちるをなだめると、彼女は何事もなかったかのように微笑んだ。
「ねぇ、一緒に遊んで」
「何して遊ぶわけ?」
特に仕事がなかったは快く引き受けた。
少しの間首をかしげた後、やちるはをしゃがむよう言う。
彼の顔が目の前にあることを確認すると、再び笑った。
「鬼ごっこ!」
「また、それ?もう飽きたんだけど」
「負けた方が相手の言う事を聞くってことで」
「しかも賭けか・・・面倒だな」
「いいでしょ。はい、ちゃんが鬼ね。」
立ち去ろうとした彼女をは肩をつかむと言った。
「捕まえた」
「早い!ていうか、数数えてからでしょ、捕まえるのは!」
「そんなルールは聞いてなかった気もするけど?」
ニヤリと笑ったに対して頬を膨らませていると、は立ち上がった。
「じゃ、次はやちるが鬼な」
それだけ言うと彼は瞬歩でやちるの視界から消え去った。
「あ、ずるい!ちゃん、霊圧消しちゃ駄目だよー!」
それから数十分。
相変わらず気配を消しているをやちるは見つけることができなかった。
「いつもはちゃんが鬼だから、どこに行くか全然分からないよー」
愚痴をこぼしても、誰も現れはしない。
「つるりん達にでも遊んでもらおうかな」
そろそろ飽きてきたので、十一番隊へ戻ろうと廊下を歩いた。
「もうお手上げ?」
声がする屋根へ目を向けると、やちるは睨みつけた。
「してないもん。ちゃんがルールを破ったから、遊んでないんだもん」
「へー。その割には、頑張って俺を探してたよな」
「し、してないもん!」
そっぽを向いて頬を膨らませているやちるへは降り立った。
しかし、彼女はを避けるように廊下を歩き始めた。
「さて、俺の言う事を聞いてくれるか?」
「何で聞かなきゃならないの」
「やちるが負けたからだろ」
「だから、負けてない!」
「そうだなぁ・・・一ヶ月金平糖無しにするか、抱きつくのを禁止させるか・・・」
「そんなできない事は聞かないからね!」
「だったら、一週間更木隊長に話しかけない」
「無理だよ!」
動かしていた足を止め、やちるはの顔を見上げた。
「仕方ない。将来は俺と結婚するってことで許してやるか」
「それなら、できるよ」
冗談で呟かれた言葉は意外にも受け入れられた。
「あー・・・俺が無理だ」
「もう今の聞き入れちゃったから、訂正は無しだよ!」
懸命に取り消そうにも、彼女はそうさせてくれなかった。
「俺、人生の選択間違えたかも・・・」
「変な事言ってないで、剣ちゃんに報告しに行こう!」
の手をとると、やちるは嬉しそうに走り出した。
-back stage-
管:あ、あれ?話が可笑しな方向にいったぞ?
や:何言ってるの、これでいいんでしょ?
管:うーん。こんな方向に行くつもりはなかったはz(やちるパーンチ☆)
や:これでいいの!
管:そ、そうですね・・・(怖いって、この子供!)
や:何か言った?
管:いえ!何も!
2005.12.17
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