「それじゃ、また後で」

 「ちゃんと時間通りに来なければ、私は帰っているからな」

 「分かってるって」



そう約束したはずだったのに。



目の前で、は親しげに他の女と何処かへ去ってしまったのを目撃してしまった。





get off that hand!





約束の時間から、既に二時間が経った。
なのに、私はこの待ち合わせした公園から離れようとはしない。
ここで待っていても意味が無いのを分かっているのに。
何を期待しているんだ、私は。


 「ごめん!すごく待たせた!」


そして、その期待を裏切らなかったに胸を撫で下ろしてしまう。
だが、ここは安心すべきところではない。


 「待ってなどいない。ここの景色が気に入って、しばらく立っていただけだ」

 「え、そんなにクレープが食べたかったの?」


しくじった。
今、私の前にあるのはクレープ屋のワゴンだけ。
ただ食い意地が張ってるだけに思われてしまいそうだ。
いや、実際、そう思われているな。


 「それなら、俺がたくさん奢ってやるよ」

 「詫びのつもりなら、足りないぞ。それに、私は機嫌が悪いんだ」


自ら告白して、どうする。
どうもを前にすると、素直な意見が出にくかった。
次からは待たせるな、と言えば済む問題なのに。


 「そう、だよな。二時間も遅刻した俺が悪いもんな」

 「しかも、浮気していたんだからな」

 「浮気?」

 「楽しげに他の女と何処かへ行っただろう。」


もう、どうにでもなればいい。
自分の口が塞がらない。


 「なかなか美人じゃないか。私でも惚れてしまいそうな女だ」

 「ああ、あいつね。見かけは綺麗だな」

 「そのまま帰ってこなくても良かったものを」

 「は?お前との約束があったから、戻ってきたんだろ」

 「約束の時間には来なかったがな。あの子とは、なかなか親密そうな雰囲気だったじゃないか」


こっちが責めれば、は大きくため息を吐いた。
私のこの態度に苛立ってるらしい、頭を掻きながら弁解をしてきた。
そんなもの、私が素直に聞き入れるはずもない。


 「あいつは、元カノ。近々結婚するっていう報告をしてくれただけだってば」

 「それだけなら、すぐに戻ってこれただろう」

 「仕方ないだろ。あいつが無理矢理、相手に会わせるとか言って引っ張ったんだから」

 「それで二時間もかかるわけがない」

 「はぁ。ここで話していてもキリがないし、ピザでも食べながら喋ろう」

 「私を餌で釣るつもりか?ピザでご機嫌取り、というにも弱すぎるぞ」


何かあれば、はすぐにピザという言葉を出してくる。
そんな子ども騙し、さすがに今回は通用しないぞ。
馬鹿にされてる思いが強くて、私はその場を立ち去った。


 「ちょっと待てって。もう少し、話を・・・あれ?」


掴まれた腕を振りほどこうにも、がさせない。
両手で私の二の腕の感触を確かめてから、さらに苛立たせる発言をした。


 「ぷにぷにしてるな。ピザの食べすぎか?」



愚かな男だ。
その台詞のせいで、私をピザで機嫌を戻させる方法は使えなくなった。
わき腹に蹴りをいれて、その場を離れてやった。











-back stage-

管理:何が書きたかったって、一番最後の「ぷにぷに」。
C.C.:お前も死にたいのか?
管理:ら、乱暴は止めて下さいー!
C.C.:全く。痴話喧嘩もさせたかったんだろう。
管理:そのはずなんだけど、ちょっとシリアスっぽくなっちゃったね。
C.C.:ギャグなんて書けたか、お前に。
管理:・・・C.C.は口調が難しいね!
C.C.:話を逸らすな。

2007.02.03

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