「こりゃ、確かに人前には出せないね」
部屋の隅で震えて縮こまっている女の子を見て、は苦笑した。
maybe...
「えーと、とりあえず俺の名前でも紹介しとくか。って呼んで」
極力笑顔を見せて接するが、それでも緑色の髪の少女は怯えている。
この仕事をルルーシュから任されたことに文句はないが、は困った。
「変わり過ぎだろ、C.C.」
ぼそりと呟いた時の気持ちが表に出てしまったのか、彼女はびくりと体を反応させる。
怖がらせる気がなくても、全ての言動に反応されることは大変である。
まずは警戒心を解かせないといけない。
「とは言っても、俺が相手になれるとは思えないし」
本でも読ませておこうかと考えてから、ふと疑問を抱く。
「ねえ、文字って読める?」
「は、はい。少しなら・・・」
そう答えられても、C.C.はここ最近に生まれた人間ではないとルルーシュに聞かされている。
現在ある文字を読めるかどうか、は不思議に思った。
「何て言えばいいんだ?あのな、君の知ってる言葉と違うかもしれなくて・・・」
説明するより早い方法が浮かんで、は紙と鉛筆を用意する。
そこに一通りのアルファベットを記入してから、彼女へ見せた。
「分かるか?」
「はい」
基本的な形は変わっていないおかげか、理解はできたようだ。
読みやすそうな本を抜粋して、彼女に渡す。
興味深そうに文字を読んでいるので、ひとまずはくつろいでもらえるかもしれない。
「ちょっと出かけてくるけど、ここで待ってて」
サラダ、スープ、パン。
しばらくして、が食事を運んで戻ってくる。
少女は戸惑いながらも食べ物を見つめた。
「はい、食事。あ、嫌いなもん、ある?」
無言で首を横に振るが、手を伸ばそうとはしない。
「毒でもあると思ってるなら、大丈夫なんだけど・・・」
念のため、が一口ずつ食べてみせる。
その後、ゆっくりと少女は食べ始めた。
だが、途中でその手が止まる。
「どうした?」
「いえ、あの・・・あなたのお食事は?」
「ああ。食べる必要がないんだよ、俺。点滴で済ませてるから」
が口にした言葉を飲み込めない彼女は首を傾げた。
「てん、てき?」
「へ?あー、簡単に言えば、医者に面倒みてもらってるんだよ」
納得した彼女は食べるのを再開した。
しかし、また止まる。
「病気・・・ですか?」
「そのおかげで、あいつの側近でいられるから、悪い気はしないさ」
その言い草からして、彼の命が長くはもたないことを彼女は悟った。
「今までのご主人様は、優しくありませんでした」
何を思ったか、少女は自らについて話した。
の誠実さに刺激されたのだろうか。
「ご主人様やあなたを見たかぎり・・・今度のご主人様は、優しいのかもしれません」
微笑した彼女があまり緊張していないことに安心して、は微笑み返した。
「優しいよ、あいつは。一人じゃ不安だろうからって、俺に君の面倒をみるように言った男だから」
「ご主人様がそんなことを?」
「ほら、温かいうちに食べ終えた方が美味いぞ。その後、色々とこの世界について教えるよ」
急かされた少女は慌てて食事をとる。
怒られているとは感じていないはずだが、もはやこれは条件反射なのかもしれない。
あの気高きC.C.の姿を知る者としては、対応しにくい反応だ。
「まあ、これはこれで可愛いんだけどね」
ゆっくり食べるように、とは彼女の頭をそっと撫でて待ってあげた。
- back stage -
管理:たんに、15話以降に現れたC.C.さんを描きたかっただけの代物。
C.C.:見事な自己満足だな。
管理:おや、こちらには以前のC.C.さんが現れましたね。
C.C.:貴様が奴隷時代の私だと対応に困ってしまうからだろう。
管理:そうでしたっけ。とりあえず、これはこんな話があればいいな、と。
C.C.:そして、その後、暴力を振るわれて怖がる私へと繋げるのか。
管理:あ、それもいいよね。ていうか、早く戻ってきてよ、君!
2008.08.04
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